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2021.11.17

【#大きな犬と】鍼灸治療や抗がん剤以外の代替療法も充実!大きな犬に優しい「こうご動物病院(東京都多摩市)」訪問記

【#大きな犬と】鍼灸治療や抗がん剤以外の代替療法も充実!大きな犬に優しい「こうご動物病院(東京都多摩市)」訪問記

同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、健康や食事や遊びといった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)


今回のお役立ち情報「健康」

東京都多摩市にある「こうご動物病院」は、西洋医学だけでなく、鍼灸治療や自然療法にも力を入れていて、関節疾患や老化によって歩行しづらい大きな犬への鍼治療や、手術や抗がん剤以外の治療を大きな犬に受けさせたい飼い主さんが関東全域から訪れます。
院長の向後亜希獣医師に、「大きな犬の病気を治すだけではない病院」の統合医療について話を聞きました。

鍼治療で歩行可能になったラブラドールに驚いて…

西洋医学をベースに、東洋医学や自然療法なども取り入れた統合医療を提供する「こうご動物病院」。向後亜希院長が「病気を治すだけではない病院」を2009年に開院したのは、あるラブラドール・レトリーバーとの出会いがきっかけでした。
「勤務医の時代に、当時の院長が高齢のラブラドールに鍼治療を施すのを見学させてもらったんです。自力で歩けず、飼い主さんが後肢を補助するハーネスを持ち上げた状態で来院したのに、鍼治療に数回通ったら、だんだん自分の力だけで歩けるようになったのを目の当たりにして驚きました。鍼治療ってすごい! と」

その経験があったからこそ、向後獣医師は動物病院を開院する際、鍼灸治療やドイツの自然療法など、犬や猫の身体に優しい医療を提供できるようにしたいと思ったのです。

犬や猫の飼育経験も豊富な、向後獣医師

犬や猫の飼育経験も豊富な、向後獣医師

大きな犬もかかる可能性がある、鍼治療が有効な疾患は?

2021年現在、こうご動物病院では向後院長を含めて2名の獣医師が鍼灸治療をしています。
「大きな犬は、股関節形成不全(股関節異形成)や靱帯損傷など、関節疾患が多いですからね。
一例ですが、膝の関節炎を発症して脚を引きずっていた大きな犬に鍼治療を毎週1回行ったところ、4~5回目の治療後からスムーズに歩けるようになりました」(向後獣医師)

コリーに鍼治療をする向後獣医師

コリーに鍼治療をする向後獣医師

ミニチュア・ダックスフンドやフレンチ・ブルドッグが好発犬種である椎間板ヘルニアを発症するレトリーバーも、めずらしくありません。
椎間板ヘルニアの犬には、鍼治療が効果を示すことはよく知られています。

また、ウェルッシュ・コーギー・ペンブロークに多い遺伝性疾患として知られる変性性脊髄症(DM)を、シェパードやバーニーズ・マウンテン・ドッグ、ラブラドール・レトリーバーで発症するケースもあります。
後肢の麻痺から始まり、前肢や首などに麻痺が進行するDMの犬たちにも、鍼治療は病状の進行を遅らせる手助けになると言います。

「当院で多い時には1日20件近く、鍼灸治療の患者さんが訪れます。
ほとんどのコが、嫌がるどころか、気持ちよさそうに鍼灸治療を受けてくれますよ。
鍼灸や指圧によるツボ刺激は、氣の流れや血行が良好になることで、全身の状態が良くなるんです」と、向後獣医師は語ります。

西洋医学だけでない選択肢の多彩な医療

こうご動物病院では、西洋医学と併用するなどして様々な代替療法を提供しています。
鍼灸治療もそのひとつですが、そのほか、オゾン療法、ホモトキシコロジー、推拿(すいな)、漢方、バッチフラワー、酸素カプセルなどです。
専門家に依頼しての、整体やマッサージも提供しています。
このなかでも、多くの疾患の治療を補うために用いるという、オゾン療法とホモトキシコロジーについて、詳しく紹介します。

オゾン注腸を大きな犬に行っている様子

オゾン注腸を大きな犬に行っている様子

■ オゾン療法

オゾンガスを体内に入れる治療法。もともとドイツを中心としたヨーロッパで、人間の医療において行われています。
オゾンガスには、細胞の代謝を活性化させる作用、免疫系を調整する作用、消炎鎮痛作用、生体系の抗酸化を調整する作用、血栓症の予防となる血小板凝集阻害作用などがあると言われています。
大きな犬には、オゾンガスをお尻から注入する注腸法を用いるのが一般的。
「あっという間に終わり、苦痛はまったくありません。
オゾン療法が推奨される病気としては、アレルギーやアトピーなどの皮膚疾患をはじめ、関節疾患、消化器疾患、慢性腎臓病、心臓病、腫瘍、痛みを伴う神経疾患などがあります。
オゾン療法は副作用のきわめて少ない治療法なので、とくに免疫力が低下した高齢の大きな犬におすすめの治療法ですね」(向後獣医師)

ホモトキシコロジーのさまざまな製剤

ホモトキシコロジーのさまざまな製剤

■ ホモトキシコロジー

ドイツ人医師のハンス・ハインリッヒ・レケベック博士が確立した、自然療法のひとつ。ホモトキシコロジーの理論で病気を引き起こすと考える、有害な毒素(ホモトキシン)の解毒と排泄を促し、生体が元来備えている自然治癒力を回復するように導く療法です。
ホモトキシコロジーで使用される製剤には、錠剤、液剤、注射液、軟膏などがあり、副作用がほとんどないのが大きな特長です。また、自宅で投与できるので、病気や高齢の大きな犬を動物病院に連れて行くのが大変という飼い主さんにも使いやすいでしょう。
ホモトキシコロジーが使えるのは、腎臓病や肝臓病や膵炎などの消化器疾患、泌尿器疾患、循環器疾患、皮膚疾患、骨・関節・筋肉の疾患、腫瘍など。
「当院でもさまざまな病気で、ほとんど毎日ホモトキシコロジーを使用していますが、なかでも慢性腎臓病で、西洋医学と併用して使う例が圧倒的に多いですね。
また、ホモトキシコロジーはオゾン療法との相性も良いため、組み合わせて使用することも少なくありません」(向後獣医師)

抗がん剤を使わないがん治療とは?

こうご動物病院には、悪性腫瘍の患者が数多く訪れます。
「がんが見つかった場合、手術を勧めることも多いですよ。犬の年齢や状態によっては腫瘍を切除することが、もっとも効果的な治療法だと判断するケースもありますからね。
また、抗がん剤が高い効果を発揮するタイプの悪性腫瘍が見つかった時も、抗がん剤による治療を提案しています。
けれども、従来の抗がん剤には副作用がつきものなので、うちのコを苦しませたくないという飼い主さんも少なくありません。
高齢で、麻酔のリスクや手術の負担が高いケースもあります。
そのような大きな犬の飼い主さんに相談された場合、オゾン療法やホモトキシコロジーを使っています」(向後獣医師)

ソファも置かれ、2間続きにもなる広々とした診察室

ソファも置かれ、2間続きにもなる広々とした診察室

さらに、こうご動物病院では、人間においても副作用のない抗がん治療として知られる「高濃度ビタミンC」点滴治療も選択可能です。
「私は主に医師や歯科医師で作られた『点滴療法研究会』に所属して、高濃度ビタミンCの点滴療法について学びました。高濃度ビタミンCは、がん細胞だけを死滅させる副作用のない理想的な抗がん剤であると、米国国立衛生研究所などが発表しています。
高濃度ビタミンC点滴は、併用可能な抗がん剤の治療効果を高めつつ、抗がん剤の副作用軽減にも働くんですよ」
そう語る向後獣医師は、西洋医学の補てん的な位置づけで、あるいは抗がん剤を使用しない治療を望む飼い主さんの要望に応じて、オゾン療法、ホモトキシコロジー、ビタミンC点滴療法を行っているそうです。

サロンのように心安らぐ動物病院

向後獣医師が開院にあたりイメージしたのは、「動物病院っぽくないサロンのような落ち着く病院」でした。こうご動物病院は、そのとおりの空間です。
カフェのようなテーブルとチェアが設えられた待合室では、介護や歯磨きに関するセミナーや、向後獣医師が参加してのお茶会などが定期的に催されています。
広々とした待合室や診察室は、大きな犬でも快適に過ごせるでしょう。

陽光が降り注ぐ明るい雰囲気の待合室は、大きな犬が待つのにも十分な広さ

陽光が降り注ぐ明るい雰囲気の待合室は、大きな犬が待つのにも十分な広さ

「『この病院には喜んでうちのコは入ってくるんですよ』とか『このコにも私にもストレスがない、最善の治療法を検討していただけてうれしいです』、『小型犬よりもともと寿命が短い大型犬ですが、西洋医学だけでない治療のおかげで、我が家の大きな犬が良い状態で過ごす時間が延ばせたと感じています』といった飼い主さんからの感想を聞かせていただくのが喜びのひとつです。
飼い主さんと大きなワンちゃんの心の健康面も重視した診療を、これからも心がけていきたいですね」
そう言って、獣医大学の入学前は、カウンセラーを志して大学で心理学の学士も取得したという向後院長はほほ笑みます。

ライター:臼井 京音



取材協力

*1 病院横に11台分の駐車場あり。 こうご動物病院

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