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2022.04.06
ドイツの街角から ~私たちの街の世界遺産、ケルン大聖堂~
*1 この記事を書いた人:pochinski スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。
私が暮らすケルンはドイツ国内の各都市やヨーロッパの国々から鉄道でアクセスしやすく、毎日、多くの旅行者が訪れます。旅行者がケルン駅に降り立ち、正面口を出たとたんに目にする建物物、それがケルン大聖堂です。2つの尖塔が空高くそびえ、圧倒的な存在感を放っています。
ユネスコの世界文化遺産でもあるケルン大聖堂は、ケルンを代表する建築物として広く知られています。しかし、今に至るまでにはとても長い年月を要しました。
ケルン大聖堂の建築が始まったのは約770年前のことです。
それ以前にもほぼ同じ場所に聖堂がありましたが、建て替えや火災などで古い聖堂は取り壊され、1248年に3代目となる今のケルン大聖堂の建築が始まりました。
16世紀初頭には祭壇や礼拝堂、尖塔の一部などは完成していたものの、全体が完成する前に資金難や宗教改革の影響で工事が中断してしまいます。中断期間は約300年にも及び、未完成の尖塔の上には建築用のクレーンがずっと置かれたままだったそうです。
そして、工事の再開から約40年後の1880年にようやく完成。約157mの尖塔をそなえたケルン大聖堂は当時、世界で最も高い建築物でした。その後、第二次世界大戦ではケルンの市街地が爆撃されてケルン大聖堂も相当の被害を受けましたが戦後の修復工事を経て、1996年に世界文化遺産に登録されました。ちなみに、世界一の高さだった時期は19世紀後半のわずか数年でしたが、ゴシック様式の聖堂としては今でもヨーロッパ一の高さを誇っています。
これだけ古い建築物でもあるため、ケルン大聖堂はいつもどこかの箇所で修復工事が行われています。地上100メートル以上のところにある尖塔も例外ではなく、長い間、工事用の足場がかかっていました。その足場が昨年、10年ぶりに尖塔から取り外されてニュースになったほどです。
私は時々、ケルン大聖堂を見学に訪れます。ステンドグラスをはじめとする建物の装飾や絵画などに毎回新しい発見があり、ワクワクと楽しめる一方で、厳かな雰囲気に包まれている間に心が自然と落ち着くところが好きなのです。
建物内を一回りした後は礼拝堂の長椅子にしばらく座り、家族の幸せや世の中の平穏を祈ることも習慣となっています。神社仏閣でのお参りと混同している感じもするのですけれど。