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2022.07.06

ドッグショーは胸躍る異空間! ドッグショーの楽しみ方ガイド

ドッグショーは胸躍る異空間! ドッグショーの楽しみ方ガイド

(取材・写真 臼井京音)

みなさんは、ドッグショーを観戦したことはありますか? 今まで見たこともない珍しい犬種や憧れの犬種にリアルで会えることや、美しく整え、審査員の前でピタッと立ちポーズを決めたりする犬たちの姿を見られるのが、ドッグショーの醍醐味と言えるでしょう。
今回は、ドッグショーの楽しみ方を、初心者にわかりやすく紹介します!

ドッグショーはビューティーコンテスト!?

ドッグショーは、うちの子とは縁のない別世界のビューティーコンテストだと感じてるかもしれません。けれども、純血種と暮らしているのであれば、実際には“うちの犬”と深い関わりがある大切なイベントです。
それは、ドッグショーの目的が、長い歴史と手間をかけて生み出された多種多様な犬種を保護することにあるから。
犬たちは、猟犬、護衛犬、牧羊犬などとして、人の生活をずっと支えてきてくれました。それぞれの仕事の能力が十分に発揮できるよう、体格や性質はもちろん、被毛の質や色まで考慮のうえ選ばれた犬の交配が重ねられ、改良されながら犬種が誕生し、現在まで受け継がれています。

さまざまな犬種がドッグショーに勢ぞろい

さまざまな犬種がドッグショーに勢ぞろい

2022年5月現在、FCI(国際畜犬連盟)で公認されているのは、355犬種。
犬種ごとの特徴と個性を守り後世に伝えるために、ケネルクラブは1頭ごとに3~4代祖までの系譜を記載した血統証明書を発行し、ドッグショーで犬種の理想像に近い犬を評価しているのです。
目の前にいる純血種のうちの子は、そのすべてが先人の知識と努力の賜物だと言えるでしょう。ドッグショーに出場している犬は、うちの子と同じ祖先を持っている可能性も低くありません。
日本では1913年の初開催から今に続くドッグショーを、見に行ってみませんか?
犬種の魅力を最大限に引き出すべく、美しく整えられた犬たちがリングを颯爽と歩く姿に、きっと惹きつけられることでしょう。

ドッグショーを10倍楽しむためのマメ知識

ドッグショー観戦時のおもしろさが格段にアップする、お役立ち知識をQ&A方式で解説します。

 

Q1左腕にゼッケンをつけて犬を連れている人はブリーダーさん?

A.
出陳犬の審査スペースであるリングで、犬をコントロールしているのは“ハンドラー”です。プロのハンドラーのケースもあれば、ブリーダーがハンドラーを兼ねていることもあります。飼い主さんが“オーナーハンドラー”になることもできます。
観戦時は、ハンドラーと出陳犬と息の合った華麗な動きをお見逃しなく!
なお、ハンドラーのゼッケン番号を『出陳目録』(※インフォメーションカウンター内で販売されているガイドブック)で調べれば、出陳犬の犬種、名前と生年月日、両親犬の名前やオーナー名がわかります。

ラウンド時や歩様審査時、ハンドラーとの息ぴったり

ラウンド時や歩様審査時、ハンドラーとの息ぴったり

  

Q2審査の流れは?

A.

審査は通常、次のような流れで行われます。

①入場・整列  ②ラウンド(リング内をまわる) ③視審、触審、歩様審査の後、審査員から評価リボンが渡される ④整列 ⑤ラウンド ⑥1席~4席までの入賞犬決定(席次リボンが渡される)

触審では骨格構成などをチェック(オールド・イングリッシュ・シープドッグ)

触審では骨格構成などをチェック(オールド・イングリッシュ・シープドッグ)

  

Q3胸にバッジをつけた審査員は、どんなポイントを審査しているの?

A.
審査員(ジャッジ)は、ケネルクラブが定めている「スタンダード(犬種標準)」を基準にして、視たり触ったりしながら出陳犬の審査をします。
たとえば狩猟犬種であれば、持久力を温存できるように上下左右にブレず広い歩幅でスムーズに歩けているかなどが、歩様審査のポイントです。歩様審査には、円形に周る“ラウンド”だけでなく、三角形を描きながら歩く“トライアングル”や直線状に往復する“アップ&ダウン”などもあります。
視審では、犬の立ち姿を正面や側面や後方からチェックしたり、被毛の色、目や鼻の色、骨格構成などをチェックします。
触審では、被毛、骨格や筋肉、歯列や咬み合わせを確認します。

  

Q4さまざまな犬種が集まるドッグショーの審査の進み方は?

A.
ドッグショーの審査はトーナメント形式です。

■ 第1段階:犬種代表を選出

最初は、犬種ごとに行う「ブリード審査」から。クラスごとに審査します。そこで、オスとメスどちらか1頭の“ベストオブブリード(BOB)”を選出します。

※クラスは、ジュニア、インターミディエイト、オープン、ワーキング、チャンピオン、ベテランに分けられています。

ブリード審査の様子(グレート・デン)

ブリード審査の様子(グレート・デン)

  

■ 第2段階:グループ代表を選出

次に行われるのが、「グループ審査」。ジャパンケネルクラブ(JKC)が加盟している国際畜犬連盟(FCI)は、犬種を用途や形態によって10グループに分類していますが、BOBを獲得した犬を各グループごとに審査し、“ベストイングループ(BIG)”の入賞犬(4席、3席、2席、1席の順)をオスとメス混在でグループごとに決定します。

グループ審査。どの犬もピタリと整列した姿が壮観です

グループ審査。どの犬もピタリと整列した姿が壮観です

  

■ 第3段階:ベストインショー(BIS)の決定

各グループの1席犬(オス・メス混在)10頭の中から、BIS(4席、3席、2席、1席)を決定します。

■ 最終段階:3種類のファイナル審査

ジュニアインショー、ベテランインショー、チャンピオンシップショーの3種類のファイナル審査が行われます。

  

Q5リボンの色や形はどう違う?

A.
審査員に評価された犬は、色のついたリボンやロゼットと呼ばれる大きなリボンが授与されます。
グループ審査では、グループ1席に青、2席に赤、3席に黄、4席に白のリボンが渡されます。
BISには、ロゼットやトロフィーが授与されます。

「JKCサクラ・アニュアル・ショー2022」でBISに選ばれるとこのトロフィーを獲得できます

「JKCサクラ・アニュアル・ショー2022」でBISに選ばれるとこのトロフィーを獲得できます

  

Q6プードルやシュナウザーなど、ドッグショーの出陳犬のカットが独特な理由は?

A.
プードル(スタンダード・プードル)は、水漁犬としての仕事を担っていた犬種。そのため、水中で作業がしやすいように独特のカットが施されました。前肢と腰と尾先の毛は、水中で浮きの役割を果たすようにフワフワと丸く。心臓のある胸部は水中で冷えないように被毛を長く残し、逆に太もも周りは泳ぎやすいように被毛をカットしたのです。
護衛や小動物駆除を行っていたシュナウザーは、敵となる動物から大切な目や口を守れるよう、その周辺の被毛を長く伸ばしました。
そうした伝統的なカットスタイルが見られるのも、ドッグショーの楽しみのひとつです。

  

Q7パドックってなに? どんな空間?

A.
リングのそばに設けられた“パドック”は、ドッグショーの裏舞台。出陳する犬のための、楽屋のようなスペースです。
ここでは、トリマーが出陳犬を美しく整えていたり、ブリーダーがいずれショーに出す予定の子犬を場慣れさせていたりと、さまざまな光景が見られます。
一般客は気軽に入れるスペースではありませんが、そのような犬たちの様子を眺めるのも興味深いでしょう。

パドックで出陳前の最終チェックをされる、セント・バーナード。リング上でも多くの観客を魅了しました

パドックで出陳前の最終チェックをされる、セント・バーナード。リング上でも多くの観客を魅了しました

ドッグショー以外の楽しみも満載!

大規模なドッグショーでは、ワクワクできるイベントも同時開催されます。
「おぉ!」と、思わず歓声をあげてしまうのは、「ドッグダンス実演」をはじめ、「アジリティー」や「フライボール」などでしょう。
「災害救助犬実演」も、犬が持つ能力の高さを目の当たりにできます。
(※ドッグショーによりイベント内容が異なるので、事前に確認を)

「JKCサクラ・アニュアル・ショー2022」のイベントとして行われた「災害救助犬実演」では、観客も参加。大きな拍手がメインリング周辺に響いていました

「JKCサクラ・アニュアル・ショー2022」のイベントとして行われた「災害救助犬実演」では、観客も参加。大きな拍手がメインリング周辺に響いていました

全国各地から集まったドッググッズのショップやメーカーのブースが立ち並ぶ、ショッピングモールも見逃せません。

さらに、「愛犬健康しつけ相談」や「トリミング相談コーナー」などに立ち寄れば、一般の飼い主さんでもお役立ち情報をゲットできるでしょう。

ジャパンケネルクラブ(JKC)には、2022年6月現在、207犬種が登録されています。
単犬種(1犬種のみ)から全犬種まで、ドッグショー(展覧会)の規模はさまざま。JKCのホームページで、お目当ての犬種や規模のドッグショーを探して、ぜひ訪れてみてください。

ライター:臼井 京音

「血縁関係のあるジャーマン・シェパード・ドッグさんが出ているらしいんだけど、ちょっと眠くなっちゃったなぁ」

「血縁関係のあるジャーマン・シェパード・ドッグさんが出ているらしいんだけど、ちょっと眠くなっちゃったなぁ」

参考文献

*1 ジャパンケネルクラブ会報誌「ガゼット」、『全犬種標準書』(JKC)

  

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