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2022.12.07

犬の体臭はドッグフードと関係している?原因を知って正しくニオイ対策を!

犬の体臭はドッグフードと関係している?原因を知って正しくニオイ対策を!

同じ家に暮らす家族にしてみれば犬の体臭すらも可愛いものですが、周囲の人からしてみれば気になるかも…。
意外と気が付きにくい、犬の体臭。だからこそ、気を遣っているという方は多いと思います。
犬の体質によっては、体臭がきつくなりやすい種類もいます。

多くの飼い主にとって身近な問題である、「犬の体臭」ですが、最近ちょこちょこと"犬の体臭にはこのフードがオススメ!""このフードに変えたら体臭が改善されます!"というような宣伝文句を見かけることがあります。

実際、犬の体臭はフードの変更で改善されることがあるのでしょうか?
犬の体臭の原因と、そこから考えられる対策について改めて調べてみました。

DOG's TALK

この記事を書いた人:POCHIのペット栄養管理士 岡安

ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。

犬の体臭・獣臭の正体とは?

■犬自体が放つ獣臭

犬の体臭でもっとも指摘されるのが、いわゆる「獣臭」と呼ばれるニオイ。犬は人間とは違い、汗をかくために必要な「汗腺」と呼ばれる器官をほとんど持っていませんから、人間の体臭とは発生の経緯がちょっと異なります。

犬の獣臭の原因となる物質は、「低級脂肪酸」と呼ばれるものであることが分かっています。これは、皮膚に常に存在している常在菌が皮脂などを分解した結果生まれる物質です。その名の通り、脂肪酸の一種で、酸化が進むとニオイがより一層強くなります。

特定の犬種で、遺伝的に体臭が強くなりやすい犬もいます。皮膚からの分泌物が多い傾向にあるコッカースパニエル、シーズー、フレンチブルドッグなどでは皮脂が多く分泌されるため、獣臭がより強く感じられる傾向にあるようです。
また、小型犬よりも大型犬の方が皮膚の分泌物の量も体が大きい分多くなりやすいので、大型犬の方がニオイを感じるかもしれません。
それから、皮膚で菌が活発に活動しやすい条件がそろっている(一定の温度を保つ、適度な湿度がある、皮脂などの栄養がある)ため、短毛種よりも長毛種の方が、またシングルコートの犬よりもダブルコート・トリプルコートの犬の方がにおいやすい傾向にあります。

同じ犬であっても、タイミングによっていつもよりも獣臭が強く感じられる時は、皮膚から分泌される皮脂の量が多い、あるいは嫌なニオイを発生させる常在菌が多くなっていて、たくさんの低級脂肪酸が皮膚で作られている状態だと考えられます。

体臭が気になる犬と、そうでもない犬がいるといわれていますが、その原因には、皮脂の量と低級脂肪酸を作り出す菌のバランス、そして皮膚や被毛の状態などの複数の原因が互いに影響しあっているとみた方がよさそうです。

ドッグフードを変えることで犬の体臭が改善されるって本当?

前章で犬の体臭の原因となる主な要素を挙げましたが、これらの問題がすべてフードを変えることで改善されるのでしょうか?

 

■犬自体が放つ獣臭が原因になっている場合

犬の体臭のうち、獣臭の原因となる低級脂肪酸に注目してみると、ちょっとこれまでの原因とは違うものが見えてきます。
獣臭は皮脂を常在菌が分解した低級脂肪酸が原因で発生しますが、このニオイがきつく感じられる犬では、皮脂が過剰に分泌されている可能性があることは前述のとおりです。
犬の皮脂が多くなる背景には、偏った食事内容を続けているために、皮脂が多くなっていたというケースもあります。やはり、脂質をより多く含む食事を続けていたりすると、皮脂も多くなる傾向に。
実は脂質や炭水化物を消化して分解、吸収する際にビタミン類が多く消費されていることも、皮脂がより多く分泌されやすくなる一因になっているという説があります。
ビタミン類は皮膚の健康維持のためにも非常に重要な栄養素。皮膚の健康維持に関連するビタミン類として、ビタミンAが不足してくると、肌や粘膜の保湿・バリア機能が低下しやすくなることが分かっています。この働きを補おうとする過程で皮膚の細胞の入れ替わり(ターンオーバー)に異常が起きやすくなり、皮脂腺が多い部分の肌がギトギトしてくることも。

 

また、皮膚の細胞の入れ替わりが上手くいかなくなってくると、過剰に多くなった皮脂を餌にして菌が繁殖してより強くニオイを発生させることもあります。

そして、あわせて気をつけたいのはビタミンB群の不足。ビタミンB群は皮脂の分泌を抑える働きがあるといわれています。ビタミンB群が不足すると皮脂のコントロールがより一層難しくなり、どんどん強い獣臭を発生させていってしまうことにもなりかねません。

これらの情報を見ていくと、ビタミン類を摂取すれば犬の獣臭が抑えられるのか、と考えてしまいがちですが、やはり栄養はバランスよくが基本になってきます。普段与えているドッグフードの保証分析値をチェックして、今使っているものよりも脂質や炭水化物が低いものを選ぶようにしてみてはいかがでしょうか。
栄養バランスの整った食事を続けていくことで、徐々に皮膚の状態も改善されていき、結果的に皮脂の分泌量も健康的な状態になってニオイが軽減されていくこともあります。食事だけではなく、オヤツを与えすぎて栄養バランスに偏りが出ないように注意しましょう。

食事と犬の体臭、こんなアプローチも。

犬の皮膚に存在している常在菌。そのうち悪さをする菌が過剰に増えてしまうと、ニオイや皮膚トラブルの原因になってしまいます。しかしこの悪さをする菌を全部なくしてしまえば良い、というものではなくバランスが重要。悪さをする菌と良い働きをする菌、そしてどちらでもない日和見菌…それぞれが適度にバランスを維持する状態が理想的といわれていて、犬一頭一頭、理想的な菌のバランスも異なっているといわれています。
これって、腸内細菌と全く一緒ですよね。そんな腸内細菌のバランスを維持するのに役立つのが、プレバイオティクス。今、海外ではこのプレバイオティクスを食事で継続的に摂取することが、皮膚の健康的な細菌バランスの維持にも役立つのでは?という仮説をもとに研究が進められているのだとか。どんなプレバイオティクスが犬の皮膚の細菌のバランスに影響を及ぼすのかまでは分かっていないそうですが、これが特定できれば犬の獣臭問題へのひとつの心強い味方になってくれる気がします。

また、食事が変わることでどのように犬の皮膚の常在菌のバランスが変化するかを調べる研究も進められています。
先日発表された研究では、皮膚疾患のない8匹の犬の皮膚微生物群のサンプルを収集し、どんな菌がどれくらいどの犬の皮膚に住んでいるかを調査しました。その後、8頭は食事を30日間別のものに切り替え、皮膚の細菌たちにどんな変化が見られるかを調査したのだそうです。
その時の調査では、ブドウ球菌などの菌の数に変化が見られたとのことです。
食事に含まれる成分が具体的にどんな細菌の数に影響を及ぼすのかまでが分かれば、こちらもニオイに悩む犬のフード選びに大いに役立てられそうですね。

おわりに

今回は犬の体臭が本当にフードを変えるだけで改善されるのか、考えてみました。犬の体臭・獣臭の原因は1つではありません。複数の要素が重なって体臭となっているケースもあります。とはいえ、食事の内容を変えてみるのはひとつのアプローチになるかもしれません。食事に含まれる成分を今一度チェックしてみたり、場合によってはプレバイオティクスを積極的に食事に取り入れてみるのも良いかもしれません。現在も研究が進められているトピックのひとつですから、今後犬の獣臭を対策するためのフードが登場することに期待してしまいますね。

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