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2023.01.04
【#大きな犬と】ストレスフリーなお手入れ術~ハズバンダリートレーニングを活用して快適に!~
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬に特化した、遊びや健康、食事など暮らしの情報を集めていきます。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報ハズバンダリートレーニングを活用したお手入れ法
前回ご紹介したハズバンダリートレーニングを活かして、大きな犬も飼い主さんもストレスフリーなブラッシングと爪切り方法を、トリマーの細野明子さんに、教えてもらいます! ハズバンダリートレーニングを練習したら、ぜひ日常のケアを行う際に活用してください。
ハズバンダリートレーニングでストレスフリーのお手入れが実現!
前回の記事で紹介した、大きな犬の心身に負担をかけずに身体的なケアなどを受けさせるための「ハズバンダリートレーニング」。今回は、前回マスターした「チンレスト」「マット」「ゴロン」などのハズバンダリートレーニングを、いよいよ実生活で活用! 大きな犬も飼い主さんもストレスフリーな「お手入れ術」を、グルーマー(トリマー)である細野明子さんに伝授していただきます。
「無理強いする必要がなく、大きな犬が積極的にこちらへ来て、お手入れに協力してくれるようになるのが、ハズバンダリートレーニングのすばらしい点です。お手入れを行う人間としても、心のゆとりを持ってとてもラクにできますよ」(明子さん)
ではさっそく、ブラシの慣れさせ方と使い方、毛玉ケアの方法、爪切りのコツを教えてもらいましょう。
ブラシ好きにさせるコツ
ブラシを見ると、逃げ回る大きな犬もめずらしくありません。
「それは、痛い思いをするからでしょうね。中毛~長毛の犬にはスリッカーブラシという固定概念があるかもしれませんが、スリッカーブラシは先端が針のようになっていて皮膚にあたると痛いので、もしブラッシングが苦手な大きな犬であれば、100均などで販売されている人間用のブラシでもまったく問題ありません」(明子さん)
ここでは、まずはブラシ慣れのために、人間用ブラシ(犬用としては“ピンブラシ”と呼ばれるタイプに近いもの)を使用してレッスン法を教えてもらいます。
(1) ハズバンダリートレーニングでマスターした、「マット」からスタート。穏やかに語りかけるなど安心できる雰囲気を作りつつ、まずはブラシの背面で、やさしく大きな犬の背中などを撫でてあげます。ブラシ背面で撫でさせてくれたら、大きな犬が立ち上がらないように、飼い主さんも落ち着きながら静かにほめておやつをあげましょう。
■ POINT
すでにブラッシングが苦手な大きな犬に対しては、上記のステップを始める前に、ブラシそのものに慣らすところから練習を。ブラシを出して、ブラシを犬が見たらおやつをあげるといったプロセスを踏んで、ブラシに対する苦手意識をなくしてあげてください。
(2) ブラシに大きな犬が慣れてきたら、ピンをあててみます。飼い主さんもリラックスして行うのも、成功の秘訣。
(3) ピンをあてても大丈夫だったら、2~3回ほど、軽い力でブラッシングをして、おやつをあげます。
ブラッシングで毛玉予防&毛玉ほぐし
ゴールデン・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、スタンダード・プードル、グレート・ピレニーズなど垂れ耳で被毛の長い大型犬は、耳の付け根周辺、お尻周り、四肢の付け根あたりに毛玉ができやすいものです。
毛玉はできる前に、こまめなブラッシングで予防してあげましょう。
(1) ハズバンダリートレーニングの「マット」を活用すると、耳の付け根周辺のブラッシングを行いやすいでしょう。使用する道具は、コーム(くし)が耳まわりの毛には最適です。
(2) 毛の根元から、下に向けてほぐすようにして梳いていきます。これも、2~3回コームをかけるごとに、1回おやつをあげて。そうすれば、大きな犬がブラッシング好きになるはず。
お尻周辺のブラッシングは、大きな犬に立ってもらって「チンレスト」のハズバンダリートレーニングを活用すると、行いやすいでしょう。
(3) 台などを用意して、まずは「チンレスト」。おやつをあげる役割の家族に協力してもらえば、さらに行いやすいのでおすすめです。ブラシは、人間用でも犬用スリッカーブラシでも、大きな犬が慣れていれば使いやすいものでOK。
■ POINT
スリッカーブラシをぎゅっと握るのはNG。力を入れず、以下のようなスタイルでそっと握ってください。使用する際は、大きな犬の皮膚にピン先が当たらないようにするのも大切なポイント。
(4) 水平や下向きにブラシを動かす場合、鉛筆を持つような感じで軽く握るのが、ひとつの方法。
(5) 上向きや水平にブラシを動かす時は、親指と人差し指で挟むように持ち、中指を添え、薬指や小指は浮かせるようにすると、ムダな力が入りません。
では、ブラシを正しく持って、毛玉ケアを行いましょう。
(6) 毛量の多いところは、まず被毛をかき分けるようにして毛束をブロッキング。そして、少量の被毛を根元から少しずつブラッシングします。
(7) 人間用ブラシやコームを使用してもOK。できてしまった毛玉は、毛先からほぐすようにしてブラッシングを。なお、硬い毛玉はトリマーさんにまかせるほうが安心です。
「チンレスト」での爪切り方法
爪切りは、「チンレスト」をさせながら行うのがおすすめ。チンレストが得意になっていれば飼い主さんひとりでもできますが、大きな犬におやつをあげる家族がサポートしてくれれば、なお行いやすいでしょう。
(1) 犬が肢を後ろに蹴り上げるような自然な姿勢になるようにして、飼い主さんの手元に足裏を引き寄せます。
(2) 爪の肉球をぐっと前に押し出すように持つと、爪が前に出ます。そして、爪の先だけを切りましょう。
(3) NG!
肢を横に開くなど、大きな犬が日常生活でしない、不自然な姿勢でお手入れをしてはいけません。関節を痛めてしまう恐れがあるからです。
大きな犬の後肢の爪切りは、飼い主さんの姿勢も重要になってきます。
(4) 大きな犬の後肢は、抱えるようにして持つのがポイント。そして、肉球をぎゅっと押して、爪の先だけを切ってください。
(5) 飼い主さんから見て外側の後肢の爪を切る場合、まず、飼い主さんの股の間に犬の後肢を片方入れて抱えます。大きな犬は、飼い主さんに身体を預けている状態を作るのです。飼い主さんは自身の太ももで大きな犬の後肢を支えながら、爪を切ります。
「ゴロン」での足裏バリカン&爪切り方法
ハズバンダリートレーニングの「ゴロン」でマットに大きな犬を横に寝かせた状態で、ブラッシング、爪切り、そして足裏のムダ毛のバリカンカットなどを行うのも良いでしょう。
(1) 「ゴロン」をしている間にお手入れをしてもらえれば、大きな犬もラクです。ゴロンができる大きな犬には、バリカンを使って足裏の毛をカットするなど、さまざまなお手入れを行ってみましょう。
(2) 爪切りの瞬間にびっくりして起き上がらない大きな犬ならば、爪切りもゴロンの姿勢がおすすめです。
(3) 爪を磨く作業も、ゴロンの姿勢で行えると、飼い主さんも「早くしないと」と焦らずに行いやすいもの。
ハズバンダリートレーニングを活用するにあたって重要なことは、大きな犬がお手入れがイヤになって去っていったら、決して追わないこと。あくまでも、犬たちの自由意志でお手入れに協力してくれているというシチュエーションづくりが大切です。それを飼い主さんも意識して行うことで、最終的には大きな犬も飼い主さんもラクにリラックスしてお手入れができるようになるでしょう。
ライター:臼井京音、写真:蜂巣文香
■ 指導:細野明子さん
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