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2023.06.19

仕事の後は犬と乾杯!NZの「犬の地ビール」人気は国民性の現れ?~南半球のDog's letter~

仕事の後は犬と乾杯!NZの「犬の地ビール」人気は国民性の現れ?~南半球のDog's letter~

DOG's TALK

この記事を書いた人:グルービー美子

この記事を書いた人:グルービー美子

ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。

世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?共通してる?目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。

前回のニュージーランドからのコラムでお届けした、ペットイベントで人気となっていたのが「犬用のビール」。そもそも、なぜ犬用ビールを作りたかったのか、そのココロをちょっと深掘りしたくなり、作り手でもあるクレイジー・ウルフ社のサラ代表に聞いてみました。

犬と一緒にビールを飲みたい!

NZ最大級のペットイベント、アニマル・エキスポでも大人気でした。

NZ最大級のペットイベント、アニマル・エキスポでも大人気でした。

ニュージーランドにはアルコール好きの人が多く、金曜の夜などは仕事終わりにパブに寄る、いわゆる「飲みニケーション」も盛んなお国柄。
気の合う同僚や友人とお酒を酌み交わすのもいいけれど、なかには「うちの子(犬)とも一緒に楽しめたらいいのに」と考える人も。
そんな発想から広まった犬用ビールが、ニュージーランドで話題となっています。ニュージーランドで生産された「犬の地ビール」製造元のクレイジー・ウルフ社で、代表のサラさんが語ってくれました。

栄養満点な犬用ビール

見た目はビール、だけどNZの犬用地ビールは美味しいスープに近いもののようです。

見た目はビール、だけどNZの犬用地ビールは美味しいスープに近いもののようです。

クレイジー・ウルフ社で扱っている犬用ビールは、クラフティー・チキン、ビーフ・エール、ポーク・ラガー、ペール・ターキーの4種類。
見た目は人間用のビールそっくりで、思わずグイッといきそうになります。

とはいえ、もちろん犬用なのでアルコールもホップも含まれていません。
NZの犬用地ビールのメインの原料は、ボーンブロスと呼ばれるスープです。
鶏、牛、豚、七面鳥の骨をそれぞれじっくり煮込んで作ったもので、ミネラルやコラーゲンが豊富に含まれた栄養飲料なのだとか。

 

「アメリカやイギリスでは数年前から犬用ビールが人気でした。私は2018年に犬用ビールに出会い、これをニュージーランドでも作りたいと考えました」

そう語る代表のサラさん。
サラさんはスタッフォードシャーテリアのロコと、ハスキーとシェパードのミックスであるジャーと暮らしており、彼らの健康に役立つようなレシピを考えていたといいます。
「私は愛する犬たちにたくさんおやつをあげて、徹底的に甘やかしたい衝動と常に戦っていました(笑)。でもそうすると犬が太って不健康になってしまう。おいしくてヘルシーな犬用ビールが作れたら、長年の欲求が満たされると思いました」
 ちなみに社名は2匹の犬のニックネームからつけたとのこと。

「クレイジーはロコ、ウルフはジャーの愛称です(笑)」

ブルーベリー入りのご褒美ドリンクも開発

味見を担当した『ウルフ』ことジャー。

味見を担当した『ウルフ』ことジャー。

帰国後、早速犬好きの友人とともに犬用ビールの製造にチャレンジしたサラさん。ロコとジャーが味見を担当し、試行錯誤の末、2021年に手作りの犬用ビールをリリースしました。

「ボーンブロスには犬の筋肉や皮膚、被毛などを作るたんぱく質がたっぷり。また、きれいな水と少量のクエン酸、オーガニックのアップルサイダービネガーも加えています。消化器官や肝臓、腎臓にもいいんですよ」

さらに、カモ肉のボーンブロスをベースとし、ブルーベリーを使った犬用サイダー(シードル)も開発。
サラさん曰くこちらはビールよりもおしゃれで、特別な日のご褒美を想定しているそうです。
「ブルーベリーは犬のスーパーフードとも呼ばれており、ビタミンや食物繊維が豊富。抗酸化作用と整腸作用も期待できます」

暑い日は犬もビールを楽しみたい

ニュージーランドでは、美味しさはもちろん、見た目も楽しい犬の食事スタイルが人気です。

ニュージーランドでは、美味しさはもちろん、見た目も楽しい犬の食事スタイルが人気です。

サラさんたちが犬用ビールの販売を始めて約2年。
大きな広告は売っていないものの、口コミで評判が広がり、ニュージーランドでも注目されるようになってきました。
同社のSNSには顧客から送られてきた、ビールを飲む犬の写真がずらり。

眺めているとかわいくておもしろい犬たちの様子にほっこりします。
ビールもサイダーもキンキンに冷やす必要はないとのことですが、暑い日は犬たちも冷たいビールを喜んでいるそう。
ボウルに注いでそのまま飲ませるほか、フードにかけたり、冷凍してキューブ状にしたりと、さまざまなアレンジで楽しまれているようです。
いずれの写真を見ても、犬たちは飼い主と一緒に楽しい時間を過ごせる喜びを全身で表現しています。
やっぱり、犬にとっては飼い主と一緒に過ごす時間が何よりの宝物。楽しい時間を共有できる喜びは何物にも代えがたいのでしょうね。

「犬と楽しめるビールがあるなら、犬を置いてバーやパブに出かける必要はありませんよね。飼い主と犬が一緒にいられる時間を増やして、思い出をたくさん作ってほしい。それが私たちの願いです」
今後、飲みニケーションが盛んなニュージーランドで、ますます需要が高まる…かもしれません。

 

犬たちも飼い主と一緒にビールを楽しむことができてうれしそう。NZでは犬と同じ時間を共有することに、重きを置いている人も多いように感じます。

犬たちも飼い主と一緒にビールを楽しむことができてうれしそう。NZでは犬と同じ時間を共有することに、重きを置いている人も多いように感じます。

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*1  「犬の地ビール」クレイジー・ウルフ社