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2023.09.14
【#大きな犬と】車いすで生活の質が向上&ハッピーライフ
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、健康や食事や遊びといった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報車いす
ジャーマン・シェパード・ドッグのニモくんが、完全オーダーメイドの車いすを作ろうと思ったきっかけから、車いす生活になって生活の質(QOL)がどう向上したのか。車いす作成ドキュメントを含めて紹介します。
“ポチの車イス”を歩行補助ハーネスで訪れたニモくん
ジャーマン・シェパード・ドッグの12歳のニモくんを連れて、神奈川県厚木市にある“ポチの車イス”(偶然、ポチと名前が一緒です!)に、ニモパパとニモママが訪れたのは、6月半ばのこと。
スロープが設置されたワゴン車から、ニモパパのサポートを受けて降りてきたニモくんの身体には、歩行サポートハーネス(介護ハーネス)がつけられていました。
「大型犬だから、補助ハーネスを持ちながら前肢だけで歩かせるのは、私も妻も重くて大変です。車いすが使えるようになったら、ニモも快適だと思いますし、私たちも生活がラクになりますね」と、ニモパパ。
ニモくんは内臓の病気の手術のために数日前まで入院生活を送っていたのですが、シニアになって筋力が衰えていたこともあって、立ち上がることができなくなってしまったそうです。
「退院時に大学病院のリハビリの先生から、“ポチの車イス”のことを教えていただいたんです。それで、すぐに予約して来ました」と、ニモママは言います。
完全オーダーメイドのペット用車いすを作り続けて20年
神奈川県厚木市にある“ポチの車イス”で、完全オーダーメイドの犬用車いすを作成しているのは、木口光儀さん。
「2003年に、“犬友”からの依頼で初めて犬用車いすを作りました。私が人間用の義足や装具を作る職人であることを知っていて、頼ってきてくれたんです。試行錯誤した第一作目は、水道用パイプと買い物カートの車輪を使いました。1ヵ月間で、それはもう大量の試作品を作りましたね」と、木口さんは当時を振り返ります。
その後、口コミで評判が広がり、今はペット用車いす作成が本業になり、2023年までに作ったペット用車いすは、約1万台。小型犬から大型犬、そして猫やウサギなどのために、今もオーダーメイドで作り続けています。
「こちらへ来られるきっかけとしては、“犬友”やSNSからの情報を得てというのもありますが、大学病院を含む動物病院やリハビリ施設からの紹介が多数を占めます。
既製品の車いすが合わなかったケースも少なくありません。やはり、しっかり採寸をしてオーダーメイドで作るほうが、犬たちも動きやすいと思います。“ポチの車イス”も改良を重ねて今はパーツも少なくなりましたし、アルミ製なのでとても軽量です」(木口さん)
これまでは椎間板ヘルニアや変性性脊椎症(DM)を患った犬が多く訪れていましたが、今は、加齢に伴い歩行が困難になった老犬のための車いすを作ることが増えているそうです。
脚長ニモくんにぴったりの車いす作りがスタート
工房に入ったニモくんパパとママに、木口さんはまずヒアリングを実施。ニモくんの現在の状態や症状だけでなく、病歴やライフスタイルなども聞いていきます。
その後、採寸用車いすをニモくんにつけて、細かく寸法を測っていきます。
(※来店できない場合は、レンタル用計測キットを利用して飼い主さんが自宅で採寸して車いすを作成してもらい、後日宅配便で受け取ることができます。)
ニモくんが“ポチの車イス”の扉を叩いてから、ここまでおよそ30分間。
「このあと1時間半ほどで完成しますから、また受け取りに戻ってきてくださいね」
木口さんはそう言って工房奥の作業場へ、ニモくん家族は自動車で約20分のところにある服部牧場へ。
車いすの出来上がりを牧場で待ちながら…
服部牧場を訪れたニモくん家族は、羊のそばへ。
「シェパードはもともと牧羊犬だもんね~。どう? ニモ、車いすの出来上がりが楽しみだね」と、ニモくんの頭をなでるニモママ。
「いやぁ、久しぶりだなぁ、こうして屋外でくつろぐのは……。車いすができたら、きっとまた旅行に行けるな」と、ニモパパは微笑みます。
ご夫妻がハワイ生まれのニモくんとは、ハワイをはじめ、日本では訪れたことのない県はないというほどたくさん、一緒に車で旅行をしてきたそうです。
車いすを装着! 目が輝くニモくん
90分後に“ポチの車イス”に戻ったニモくんは、さっそく車いすを試着。
「どうかな? ニモはジャーマン・シェパードにしては長い四肢が自慢なんだよね」と、ニモパパとニモママはニモくんの様子をうかがいます。
装着した具合を確認し、もし高さなど調整が必要であれば、奥の作業場で最終調整を行うことになります。
ニモくんの場合は、ほんの微修正で済み、無事にカスタムメイドの車いすが完成しました。
この日は天気も良かったので、ニモくんは車いすで工房前の道路を歩いてみることに。
「そう、その調子その調子! いい感じですね」(木口さん親子)
「ニモ、久しぶりに歩いたな。自信を取り戻したかのような、いい表情だ」(ニモパパ)
「わぁ、ニモの目が輝いている!」(ニモママ)
みんなが、前足で一歩一歩しっかりと地面を踏みしめながら歩くニモくんを見て、笑顔にならずにはいられません。
「なにより、犬たちや飼い主さんのうれしそうな顔を見られるのが、車いす作りの最大の喜びです」と、木口さんは語ります。
この日、帰宅してからニモくんは久しぶりにシャンプーをしたとか。
「大きな犬なので、抱っこしてのシャンプーなどはむずかしくて。車いすがあれば、載せたままお手入れができるので助かります」と、ニモママ。
久しぶりに自力で歩いたことが刺激になったのか、ニモくんはその後、明らかに立ったり動いたりしている時間が長くなったそうです。
今秋には、ニモくんは色とりどりの落葉のシャワーを浴びながら、車いすでの散歩を楽しんでいることでしょう。
文・写真:臼井京音
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