- コラム
- 海外情報
2023.11.28
犬とのお出かけスタイルが変わる?ニュージーランドの公共交通機関について~南半球のDog's letter~
世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?共通してる?目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。
豊かな自然と大らかな国民性で、犬育てに良さそうという印象のニュージーランド。
日本と比べると犬が受け入れられる場面も多いようです。
一方で、長きにわたって「公共交通機関」に関しては、意外にも犬は受け入れられてこなかったようです。
ところが、そのルールにもついにメスが入ることになり…?
一体なぜ、このタイミングで犬たちが公共交通機関を利用するための議論が起こっているのでしょうか?
豊かな自然や暮らしやすい環境を守るための取り組みや人々の考え方の変化が背景にあるようです。
今回はそんな犬を取り巻く環境の変化についてご紹介します。
-
この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
大きな犬を連れてのバス乗車が可能に!
ニュージーランドは車社会。
多くの人が移動に自家用車を使用しています。
しかし、オークランドのような都市部では年々渋滞が大きな問題に。
また、近年はガソリン代も高騰。加えて環境保護の観点から、政府もなるべく公共交通機関を使うよう推奨しています。
オークランドの主な公共交通機関は、バス、鉄道、フェリーの3つ。
このうち鉄道とフェリーはもともと追加料金不要で犬や猫などの持ち込みが許可されていました。
そしてそのルールが遂にバスにも適用されることに。第1段階として2022年12月、キャリーケースに入る小さな動物を連れての乗車が可能になりました。
さらに今年5月から8週間のトライアル期間が行われた後、キャリーに入らない大きな犬の乗車も正式に許可されました。
乗車時はルールを守ることが大前提
バスはオークランドでメインといえる公共交通機関であり、大きな犬を連れて利用できるようになったのは嬉しいニュースです。
なお、いつでもどんな状態でも乗車可能というわけではなく、以下のとおりいくつかルールが設けられています。
・乗車できるのはオフピークタイムのみ(月~金の午前9時~午後3時と午後6時30分以降および土日、祝日)
・ペットの運賃は無料
・キャリーケースに入らない大きな犬はリードにつなぎ、ケージタイプのマズルガードを装着すること
・キャリーケースに入れる場合、キャリー自体が座席の下に収まるサイズであること
・ペットが車内を汚した場合は下車前に飼い主が責任をもって片づけること
・混雑している場合は乗車を断られることがある
・ほかの乗客の迷惑になる場合は乗車を断られることがある
・16歳未満が犬連れで乗車する場合は保護者の同伴が必要
・サービスドッグ(盲導犬、介助犬など)が乗車している場合は優先的にスペースを譲ること
・乗客1人につきペット1頭(匹)のみ乗車可能
・ペットを座席に座らせないこと
・スクールバスには乗車不可
・2階建てバスの2階部分には乗車不可
ちなみに盲導犬、介助犬といったサービスドッグはこの限りではなく、訓練時を含めてあらゆる公共交通機関を利用できます。
ほかの都市や国と比べた犬の公共交通乗車事情
オークランド以外のほかの都市ではどのようなルールになっているのでしょうか。
調べたところ、ニュージーランドの首都ウェリントンではバス、鉄道、フェリーともにキャリーケースに入れた状態であればオフピーク時のみ乗車可能でした。
南島にあるニュージーランド第3の都市クライストチャーチではバスに乗車できるのはサービスドッグ(盲導犬、聴導犬、介助犬など)のみ。
オークランド以外で大きな犬が公共交通機関を利用するのは、まだハードルが高い印象です。
日本・東京の場合は電車、バスともに各社によって規則が異なる様子。
JR東日本の場合、縦・横・高さの合計120cm以内のキャリーケースに入った状態で、キャリーと合わせた重さが10kg以内であれば有料で持ち込めるとのこと。ラッシュアワーは避けたほうが無難ですが、時間指定はありません。
先日仕事で訪れたノルウェーのオスロ、スウェーデンのストックホルムの交通機関はリードさえつけていれば基本的にいつでも犬連れで利用可能。
マズルガードの装着は不要で1人で複数の犬を連れていた人もおり、ニュージーランドや日本よりも犬たちと一緒に利用しやすい配慮を感じました。
ライフスタイルの変化とともに犬たちの暮らしも少しずつ変わっています。
ニュージーランドでは「犬とのお出かけは車で」が一般的でしたが、近い将来、バスや電車を利用する人がより増えるのかもしれません。