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2024.12.16

【管理栄養士が解説】ドッグフードに使用されるラム肉の健康効果は?

【管理栄養士が解説】ドッグフードに使用されるラム肉の健康効果は?

ラム肉は、L-カルニチンをはじめとする豊富な栄養素を含み、犬の健康を多方面からサポートします。
筋肉の強化や脂肪燃焼、体重管理を助けるだけでなく、消化がしやすく、人間向けの食材としては比較的珍しいため、アレルギーのリスクを低減できる点でも注目されています。
しかし、「うちの子」がおいしく食べてくれるのかと、購入を迷う方もいるでしょう。

本記事では、ラム肉が犬に与える健康効果と、ラム肉を使用したドッグフードがおすすめの犬の特徴を詳しく解説します。
愛犬の健康を支える最適なフード選びの参考にしてください。

ラム肉に豊富な『L‐カルニチン』とは?

L‐カルニチンは、ミトコンドリアに脂肪酸を届けられる唯一の物質です。
ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞小器官で、エネルギー産生やカルシウムイオン濃度の調整、脂質の酸化、免疫反応などの役割を担います。

通常、L‐カルニチンは必須アミノ酸のリジンとメチオニンが生合成して作られますが、ラム肉にはL‐カルニチンが豊富に含まれます。
L‐カルニチンにより、脂質代謝を促進したり、脳の機能を活性化させたりする効果などが期待できます。

■脂質代謝の促進

L-カルニチンは、脂肪酸をエネルギー源として利用するために必要不可欠なアミノ酸です。脂肪酸と結合し、エネルギー生成の場であるミトコンドリアへと運搬します。
ミトコンドリアで脂肪の燃焼が促進されると、体内に脂肪が蓄積しにくくなります。

また、脂質は糖質やタンパク質に比べ、エネルギー産生量が多いです。
持続的にエネルギーを供給できるため、安定したエネルギー代謝の維持に役立ちます。
筋肉細胞に多く存在するL-カルニチンは、脂肪燃焼の効率化に欠かせない物質です。

■脳の機能を活性化

L-カルニチンは、脳内で神経伝達物質であるアセチルコリンの合成を促進し、認知機能や記憶力の向上に寄与するとされています。
また、強力な抗酸化作用を持ち、ミトコンドリア崩壊の減少や神経細胞を保護する役割があり、酸化ストレスから脳を守り、老化の進行を抑える効果も期待されます。

L-カルニチンの摂取は、脳の健康維持や集中力の向上に貢献するため重要 と考えられています。

ラム肉とほかの肉類の栄養成分を比較

ラム肉は、牛肉やイノシシ肉に比べて低カロリー、低脂質です。また、鶏肉や馬肉、シカ肉と似た栄養成分であることも特徴です。

 

※100gあたり ※ドッグフードに使用される原材料は部位ごとに分けて考えない場合が多く、皮や複数の部位も含まれる場合がある

※100gあたり ※ドッグフードに使用される原材料は部位ごとに分けて考えない場合が多く、皮や複数の部位も含まれる場合がある

ラム肉が使われるドッグフードがおすすめの犬

ラム肉はL-カルニチンが豊富に含まれており、犬の健康維持をサポートします。
ここからは、ラム肉が使われるドッグフードがおすすめの犬を解説します。

 

■お肉の味が強いジャーキーが好きな犬

ラム肉は香りが強めで、お肉の風味をしっかりと楽しめるため、嗅覚で美味しさを判断する犬にはとくに魅力的です。
ジャーキーや手作りの肉感たっぷりの食事が好きな犬は、ラム肉が使用されたドッグフードを選択するとよいでしょう。
嗅覚が発達している犬には、ラム肉の特有の香りと風味は刺激的で満足感を高めてくれるため、食が細い犬にもおすすめです。

 

■チキンやビーフなどのアレルギーがある犬

チキンやビーフが原因のアレルギーを持つ犬には、ラム肉は代替タンパク源として有効です。
植物性タンパク質よりも動物性タンパク質の方が、犬の体に必要な必須アミノ酸が多く含まれ、アミノ酸スコアが良いことがあります。また、植物性タンパク質に比べると、胃液や酵素で分解しやすいため消化もスムーズに進みます。ただし、加工する方法などによっては必ずしもそうだとは言い切れない部分もあります。
また、野生の犬が主に動物性の食事を摂取していた食性に近い点からも、ラム肉はアレルギーを避けたい場合に理想的な選択肢のひとつと言えます。

 

■筋肉を強化したい犬

ラム肉はタンパク質が豊富であり、筋肉の強化や維持に役立ちます。
とくに、活発な犬やトレーニングをしている犬には、筋肉の発達をサポートする栄養が必要です。
さらに、ラム肉には皮膚や毛並みの健康を支える必須アミノ酸が含まれており、美しい毛並みを保ちつつ健康を促進する効果が期待できます。

 

■体重管理をしたい犬

ラム肉にはL-カルニチンが豊富なため、脂肪燃焼を促進する効果が期待できます。
ラム肉は牛肉の約3倍、豚肉の約7倍のL-カルニチンを含むとされており、エネルギー効率の向上に役立ちます。
体重管理が必要な犬は、ラム肉を取り入れることで余分な脂肪をため込まずに健康的な体型を維持しやすくなります。

まとめ

ラム肉は、L-カルニチンを多く含むため、脂肪代謝を促進し、エネルギー効率の向上や体重管理に役立つ優れたタンパク源です。
さらに、アレルギーの代替食材としても利用でき、筋肉や皮膚、毛並みの健康を支える栄養素も豊富です。

とくに、嗅覚で食を楽しむ犬やシニア犬に適しており、ラム肉を使用したドッグフードは幅広い犬のニーズに応えます。
ラム肉を活用したフードで愛犬の健やかな毎日をサポートしましょう。

ペット栄養管理士・管理栄養士:村瀬由真

*1 4年制大学の管理栄養学科を卒業。食事と栄養の知識を活用し、動物病院や給食委託会社での勤務を経験。現在はチワワや猫たちと一緒に暮らすライター