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2019.09.24

ビートパルプって一体なに?危険といわれる理由とは?

ビートパルプって一体なに?危険といわれる理由とは?

犬の毎日の食事であるドッグフード。できれば犬たちには少しでも長く、健康で楽しく長生きしてほしいと願うもの。そのために、犬たちにとって体に良くないものを食べさせたくない、と考えて色々調べたりすることが、いつの間にか趣味のようになっていたり。
ドッグフードの原材料について調べていると、「ビートパルプ」や「ビートファイバー」というものが入っているフードがあります。これは一部では危険だといわれることもあるようなのですが、果たして本当に危険なものなのでしょうか?
改めて調べてみましたので、ご紹介します。

※この記事は2022年8月17日に加筆修正されています。

DOG's TALK

この記事を書いた人:POCHIのペット栄養管理士 岡安

ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。

ビートパルプ=ビートファイバーとは一体なに?


ビートパルプとは、日本では甜菜(テンサイ)・サトウダイコンと呼ばれる野菜から取れる繊維質のことです。(「紙」のなにか、ではありません。)

もともと、テンサイは砂糖を作ることが可能で、日本国内で生産される砂糖の原材料としては全体の75%を占めています。もうひとつ、砂糖の原材料として有名なものといえばサトウキビですが、サトウキビから作られる国産の砂糖はテンサイから作られる砂糖の1/3ほどです。このように、テンサイは意外にも人間の生活に身近な野菜ということですね。
日本国内では北海道を中心とした寒冷地で、世界的にもヨーロッパなどで栽培されています。
ちなみに、サトウダイコンという別名がありますが、いわゆる大根とは全く異なる種類の野菜で、見た目が似ているためにサトウダイコンと呼ばれることがあるようです。

そんなテンサイから砂糖を作る過程で、絞った汁を取り除いた繊維の部分が牛や馬などの食事やペットフードの繊維源として使用されることがあり、これをビートパルプやビートファイバーと呼んでいます。

ビートパルプは犬に悪いもの、というのは本当?

テンサイ自体は人間用の食材ですので、危険ではないはずですが、副産物であるということからあまり良い印象を持っていない人も多いようです。
そして、ビートパルプは化学的な薬品を用いて加工されているため、犬たちにとっても悪影響がある、といった都市伝説もあります。
しかしながら、犬たちや猫たちのドッグフードやキャットフード以上にビートパルプが使用されることが多いのは、家畜用の飼料です。
牛などの食事に使用されることが多いようなのですが、これらの牛が化学的な薬品が残っているビートパルプを食べていたとしたら、私たちの食品の安全性の面で考えても不安になってしまいますよね。しかしこういった私達が食べる牛や豚の食事としてビートパルプが悪いものである、と指摘するような声はほとんどありません。
ビートパルプを精製する際の工程としては、主に乾燥や圧搾(圧力をかけて絞る)といった工程はありますが、何か有害な化学的な薬品を使用して精製するということはありません。

ビートパルプを使用しているからといって、直接悪いドッグフードだと結びつけるのは安易な考えと言えます。

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ちなみに、ビートパルプは競走馬の飼料としても使用されることがあります。実は、競走馬の食事には非常に厳しい制限があって、少し体調を崩してしまった競走馬が治療のための薬を使用したところ、出走前の健康チェック(ドーピング検査)で与えてはいけない物質が検出されたとして出走取り消しになってしまった事例があります。
競走馬はアスリート並みに化学薬品や化学的な成分に対する規制があり、厳しく管理されています。
このように、非常に細かく健康チェックをされている競走馬も食べることができるのがビートパルプという原材料なのです。

おわりに

ビートパルプをドッグフードに使用する背景としては、繊維質の供給源として使用するケースが多いようです。
同じようにドッグフードの繊維質の供給源としては、セルロース、エンドウマメ繊維、ポテトファイバー、トマトポマスなどがありますが、そんな中でもビートパルプは水溶性食物繊維と不溶性繊維のバランスが良く、お腹で働く有用菌の餌となり、腸内環境を整え良いウンチを作る能力がトップクラスです。
そして、その能力は多くのフードメーカーが認めているからこそ、使用されてきた原材料だともいえます。ただ、メーカーによっては「あえて」使用しないという考えを持っているところもあるようなので、それに関しては各メーカーやブランドの哲学や理念による、といったところでしょうか。

ビートパルプを使用しているから良い/悪いということではなく、チキンやビーフ、サーモンを使用しているフードがそれぞれあるように、犬たちのフードの原材料の選択肢の一つとして、ビートパルプいう原材料もあるのです。犬たちのフード選びの際には、さまざまな基準でフードを選ばれる方が多いと思いますが、犬たちにとって適切な栄養バランスであるか、アレルギーが出る可能性がある食材が使用されていないかなど、「ウチの子」にマッチしたフードを探すようにしたいですね。

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北米では、ビートパルプは砂糖を連想させるため、避けられる傾向があるようです。というのも、日本語名もサトウダイコンと呼ばれるように砂糖の原材料となるテンサイは、英語にするとSugar beetだから。なんだか甘そうに感じてしまうのも分かりますね。
でも、実際にはテンサイが砂糖の原材料になるとはいっても、絞り汁を舐めたところでかすかに甘味を感じる程度です。甘い砂糖になるのは絞り汁を煮詰めたあとのことですが、北米では日本とは全く違う理由があるのは少し面白いですね。