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2020.05.25

ドッグフードの原材料ラベル、コレってなに?ダイエットにも嬉しい?「繊維質」編

ドッグフードの原材料ラベル、コレってなに?ダイエットにも嬉しい?「繊維質」編

犬の食事であるドッグフードには、さまざまな原材料が使用されています。原材料として気にする方も多いタンパク質のほかにも、ドッグフードに使用されている原材料にはそれぞれ大切な役割があります。
今回はそんなドッグフードの原材料ラベルに記載されているものの中から、「これって何だろう?」となりやすい、わかりにくい名前の原材料「繊維質」編をご紹介します。

ドッグフードの原材料を見て、「これってどんなものなの?」など気になったときに参照していただけると嬉しいです。

まずは、知っておきたいドッグフードに繊維質が必要な理由


食物繊維がドッグフードに使用される理由としては、食物繊維には腸内細菌のエサとなって腸内環境を整えたり、うんちを固める働きがあるので、体を作るタンパク質などと同様に犬の健康維持に必要な栄養素とされています。野生の犬の仲間であるオオカミたちも、獲物の被毛の一部を食べることで繊維質を摂取していると考えられています。

また、食物繊維は消化器内では分解・吸収されないので、かさ増しのために使用されることもあります。通常のドッグフードでは、10%以下のことが多い繊維質ですが、ダイエット用のドッグフードでは10%以上のものもあり、ドッグフードの目的によって比率がかなり異なることも繊維質の特長のひとつかもしれません。

一般的に、食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。

水溶性食物繊維はその名の通り、水に溶けてとろみを出したり、ゲル状に固まる性質があります。水溶性食物繊維は主に腸内の有用菌のエサになり、水溶性食物繊維が十分でないと腸内細菌のバランスが崩れてしまい、悪さをする菌が増えやすくなるといわれています。

不溶性食物繊維は野菜などに含まれるものが多く、繊維状のもののほか、多孔質のものなどもあります。ぼそぼそとざらついた食感を持ちます。野菜のほかにも穀類や豆類、甲殻類の殻にも含まれています。
水分を保持して膨らみ、腸を刺激するほか、ウンチを固める働きもあり、スムーズな排便に役立ちます。

ドッグフードに使用される繊維質ってどんなもの?

それでは、ドッグフードに繊維質源として使用される原材料にはどんなものがあるのでしょうか?ダイエット用のドッグフードやオヤツに使われる繊維質はどんなものなのでしょうか?
改めて見返してみると、原材料表記では、〇〇ファイバーと表記されているもののように、繊維質とぱっと見ただけでわかるものとそうでないものが混在しています。ここではドッグフードに使用される繊維質源の代表的なものについてご紹介していきます。

ビートパルプ/ビートファイバー

繊維質といわれて思いつく方も多いものの一つが、ビートパルプではないでしょうか。
言葉としては「ビート」や「ビーツ」と呼ばれる根菜の繊維のことを指します。このビートの絞り汁には糖分が含まれているので、砂糖の原料となり、その工程ででてくるのがビートパルプになります。
ビートパルプはドッグフードや牛などの動物のフードの繊維質として利用されています。とはいえ、ドッグフードなどに使用されるときには糖分はほとんど含まれていませんし、ダイエットに活用しても問題ありません。
ビートパルプには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が絶妙なバランスで含まれていて、どちらも効率的に摂取できることから、ドッグフードによく使われている原材料です。ビート(ビーツ)はヨーロッパなどでは人間の食事でもよく使われる、彩りのよい赤紫色をした野菜の一つです。

以前の記事で、もっと詳しくビートパルプについてご紹介していますので、そちらも参考にしてみてくださいね。

トマトポマス

トマトポマスは、その名の通りトマトの繊維質のことを指しています。トマトを使った加工食品(トマトソースやトマトジュースなど)を作る際、余ってしまう皮の繊維質を使うことが多いようです。
トマトには抗酸化成分であるリコピンがたっぷり含まれていますが、トマトの皮であるトマトポマスには果肉以上にリコピンが含まれていることから、抗酸化成分と食物繊維のどちらも摂取できる食材として活用されおり、おからと同様、健康維持に嬉しい機能性成分が含まれています。
リコピンは抗酸化成分としても知られ、シニア犬などの体内で増えてしまった活性酸素によるダメージの対策として嬉しい成分。ダイエットだけではなく、活性酸素の働きによって進む細胞の老化にも嬉しい繊維質がトマトポマスなのです。

○○ポマスと呼ばれる原材料が使用されているときは、トマトポマスと同じようにその野菜の皮などの部分を使用していることが多いです。
「ポマス」自体はワインやオリーブオイルなどをしぼった後の残り物を表す言葉ですが、最近ではこのポマスを有効活用することで地球にやさしいエネルギーを作る研究も進められていて、地球環境保護の観点からも注目されている原材料だったりします。

■ ちなみに、ブランデーも。

白ワインのポマスを加工し、さらに発酵させることでブランデーは作られます。なんとなく、「しぼりかす」というと「副産物」や「残り物」というイメージがありますが、ホールフードの考え方をすれば自然の恵みである穀物や野菜、果物など、余すところなく全部食べようという方針で食事をすることに似ています。最近では大根やニンジンの皮をつけたままの調理法も多く出ていますよね。

サイリウム、オオバコ繊維

一度見ただけでは、何の成分なのか分かりにくい、サイリウム。これは、オオバコという植物の種子の繊維質の別名です。オオバコは、犬と散歩していると道端や公園などの日当たりがよく、多くの人が歩く道に生えていることが多い、とっても身近な野草です。
オオバコは、たくさんの人や物に踏まれると踏まれただけ大きく強く成長する、ちょっと変わった特長を持っている植物なのだそうです。そんな過酷な環境で育つオオバコの種は、水分を含むと膨れる性質を持ち、水溶性・不溶性の食物繊維が豊富に含まれています。厳しい環境で生き抜くために、種を保護するように繊維質が発達したのかもしれませんね。水分を含むと膨らむ特長は、少ない量の食事でも満足感を得られる、ダイエットのための工夫として活用されています。

さて、サイリウムは昔から漢方薬などにも使用されてきた原材料で、今でも健康維持にも活用されています。ダイエットやおなかの調子を整えるために、粉末にしたサイリウムを食事と組み合わせる方もいるのだそうです。

イヌリン

イヌリンとは、ゴボウやチコリ、菊芋、タンポポなどの一部の野菜に含まれている水溶性食物繊維の一種です。イヌリンは消化器系のなかでは分解されず、腸に届いたときに特に腸内細菌の数を増やす働きがあることが分かっていて、フラクトオリゴ糖が含まれており、優れたプレバイオティクスとして使用されることが多い成分です。
人間用の食事でも、ダイエットが必要な人のサポートとして活用の場が広がっていますね。
腸内細菌をしっかりと育てたい犬やお腹の調子が安定しない犬には、イヌリンが含まれているドッグフードを試してみると相乗効果が期待できるかもしれません。

 

おわりに

本日はドッグフードに使用されている繊維質の中から、何のために入っているのかわかりにくい原材料をピックアップしてご紹介しました。
皆さまの家にあるドッグフードの原材料表記を改めてチェックして、どんな繊維質が使用されているのかを見てみるのもたのしいかもしれません。「栄養素」と書くには躊躇してしまうほど地味な食品成分ですが、毎日摂取すべき体にとってはなくてはならないものです。ご存じ便秘の予防などの整腸効果、カロリーがほとんどないことから満足感を得られるダイエットへの活用だけでなく、血糖値上昇の抑制や血液中のコレステロール濃度の調整などの生理機能が明らかになっています。さらには有用な腸内細菌のエサにもなる繊維質の種類を知れば、犬の手作り食の幅を広げる助けになる、、、かもしれませんね。

DOG's TALK

北米では善玉菌をプロバイオティクスとしてフードへ配合することが主流ですが、ヨーロッパでは自前の善玉菌の増殖を助ける食物繊維をプレバイオティクスとして、フードに配合することが多いようです。