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2019.12.10
腎臓ケアが必要な犬にもオススメ。ブリの楽しみ方と栄養について【ペット栄養管理士監修】
冬に美味しい魚と聞いて、「やっぱりこれだよね」と思うのがブリ。そろそろスーパーでも肉厚のブリのお刺身を見かけることも多くなって来ましたね。お刺身でも、照り焼きでも、塩焼きでもとっても美味しいブリは、犬たちと一緒に楽しめる食材です。
ブリには脂肪分が多く、とろっととろけるような脂にはEPAやDHAといった犬たちに嬉しい不飽和脂肪酸が含まれていますし、腎臓が気になる犬にも嬉しいポイントがあります。
本日は犬たちに嬉しいブリの栄養についてと、美味しい取り入れ方をご紹介します。
ブリは栄養豊富でちょっぴりリッチ!
ブリに含まれている脂肪の量は、100gあたりで見るとドッグフードの原材料として人気の高いサーモンとほぼ同じ。関節や皮膚などの炎症を抑える作用があることで知られている不飽和脂肪酸・EPAの含有量では、サーモンよりも少々少ないものの、神経系の健やかな成長などに必要なDHAでは、引けを取らないほど豊富な量を含んでいます。
また、タンパク質もサーモンと同じように豊富で、アミノ酸全体でもサーモンと同程度にアミノ酸スコアが高い食品として考えられています。
もともとブリは季節によって回遊する地域を変えるという特徴がありましたが、養殖技術の向上により、通年で食べることができる魚になりました。やはり、旬の味わいをより感じることができるためか、冬になると特に天然物の寒ぶりが人気になる一方で、養殖ブリやその成長段階であるハマチでは、身の鮮度を維持するために抗酸化力を持つオリーブの葉をエサに活用するなどの新しい試みも行われています。(詳しくはこちらでもご紹介しています)
犬たちにとって身近な魚であるサーモンと比較すると、ブリはちょっぴり贅沢な魚。そのため、ドッグフードの原材料としては使われることはありませんが、だからこそ、犬たちにたまに取り入れる季節の食材としてリッチな風味を楽しんでみてください。
*1 文部科学省 食品成分データベースより 100gあたりの比較より
ブリはリンが少なく腎臓にも嬉しい魚
栄養豊富で美味しいブリですが、それ以外にも犬にとって嬉しいポイントがあります。
それは腎臓などをケアする時には気を付けたいリンがほかの魚と比較して低めになっているということ。とくにシニア期以降の犬たちは腎臓にトラブルが起こることが多いのですが、そういった犬にも与えられるというメリットがあります。
ブリのリンの数値は100gあたり130mgとされていて、この数値はマグロやカツオ、サーモンと比較して約半分です。(マグロ:270mg/100g、カツオ:260mg/100g)
それでいてタンパク質量は人気の食材であるマグロやカツオ、サーモンと遜色ないブリは、腎臓が気になるシニア期の犬たちのトッピングや手作り食のタンパク源としてオススメです。とはいえ、食べ過ぎには注意が必要ですので、適量をたまに楽しんでもらうようにしてくださいね。
犬に食べさせるなら、こんな方法はいかが?
ブリは犬たちも楽しめる美味しい食材です。生で食べられる新鮮なものであれば、お刺身のように薄切りにしたものやブリしゃぶを少しおすそ分けしてあげても良いと思います。
また、この時期スーパーに並ぶ切り身を使ってひと口大に切り、キャベツやニンジン、きのこなどと一緒に軽く湯通ししたものをドライフードにトッピングすればかなり豪華な冬の食事に。湯通しすることで、余分な脂が落ちて脂肪が多すぎるとお腹を壊してしまいやすい犬たちにも食べさせやすくなります。
また、冬野菜の白菜や大根などと一緒に煮込んでお吸い物風スープを作ってみても美味しいですよ。
寒い海の中を力強く泳いで「出世」していくブリは、縁起も良く、健康にも嬉しい成分が含まれています。犬たちと冬の体力づくりに、ぜひ楽しんで活用してみてくださいね。
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ちなみに、ブリという漢字は「鰤」と書きますが、これは師という漢字で「師走(旧暦の12月)」を表している、という説もあるのだとか。師走に美味しい魚だから、鰤。同じように春に美味しい魚に鰆(さわら)もありますし、ちょっと面白いですよね。
ブリは出世魚としても知られていて、成長段階によって呼び名が変わります。この成長段階ごとの呼び名も地域差があって面白いので、ぜひ調べてみてくださいね。