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2020.06.24
犬に「味噌」「味噌汁」を与えても大丈夫?塩分はどれくらい?
犬はおいしいものが大好きです。とくに大好きな飼い主が食卓などでおいしそうになにか食べていれば、「いいなあ、それ。同じもの食べたいなー」と言いたげな顔でジーっと見つめてきますよね。
だからそれがブロッコリーの温野菜であったとしても調味料がばっちりついていたら「ノー!これはダメ。食べてはいけないものなの」と、犬に言い聞かせたりします。でも‥‥。
「そもそもコレ。犬に食べさせてはいけない理由ってなんだっけ?」と、私たちに身近すぎる食品の中から今回は味噌汁などでもおなじみの「味噌」に注目してみました。
犬に味噌を与えても大丈夫?
日本人にとって、なじみ深い調味料の味噌。毎日、味噌汁を楽しんでいるという方も多いのですよね。そのほかにも、味噌田楽やみそ焼きなど、さまざまな日本の料理に使われていますし、きゅうりを食べる時に味噌で味付けして食べたりもしますよね。
そんなおなじみの味噌は、犬にとって危険なものなのでしょうか?
一般的な味噌の原材料は、大豆、(種類によって)米あるいは麦、種麹(たねこうじ)、そして塩と水です。味噌にもさまざまな種類がありますが、おおむね共通しているのはこれらの原材料です。
原材料としては、ドッグフードにも使用されることがある大豆や米、麦と麹がメインなので、とくに危険なものは含まれていないといえます。
しかし、やはり味噌の塩分が気になるという方も多いのではないでしょうか。
たしかに、味噌そのものの塩分は種類にもよりますが、100gあたり5~15%とかなり高いものもあります。わかりやすくグラムに直すと100gあたり、5~15gの塩が含まれていることになります。味噌をそのまま食べさせると、かなりの量の塩分になってしまうのでは?と心配になりますね。
では、犬の塩分接種の上限はどれくらいなのでしょうか?
犬の塩分摂取量の上限は?
まず、犬は全く塩分を摂取する必要がないのか、というと決してそうではありません。
塩に含まれるナトリウムには、体内を循環する血液量や細胞間液をコントロールする他、浸透圧の調整や酸とアルカリのバランスを保つなど大切な働きがあります。これらの働きは犬の健康維持のためにもとても重要ですから、犬もある程度は塩分を摂取する必要はあるのです。
人間では、塩分を過剰に摂取すると高血圧や動脈硬化につながる、とされていて、塩分を控える動きがありますが、犬では高血圧や動脈硬化と塩分の関係は証明されていません。また、AAFCOの基準ではナトリウムの下限値は決められていますが、上限値は決められていません。これは、犬は余分な量の塩分を排出することができるためともいわれていますが、塩分の排出機能が低下する腎臓病や血圧のコントロールが必要になる心臓病の犬、そしてそのリスクが高くなるシニア犬にとっては過剰な塩分は負担になります。
味噌には犬に嬉しい栄養はあるの?
味噌には犬にとってうれしい栄養素も含まれています。
大豆そのものには豊富にアミノ酸が含まれていて、畑の肉と呼ばれることもありますが、麹菌による発酵によってさらに栄養を豊富にしてくれます。
さらに、麹菌の発酵によって大豆のタンパク質は加水分解(加水分解についてはこちら:加水分解チキン、加水分解フィッシュ...これってどんな原材料なの?[#犬と食の一問一答])され、水分に溶けやすくなるほか、大豆タンパクの30%がアミノ酸の状態になるともいわれています。タンパク質をアミノ酸に分解するというのは、犬が食べ物を食べたあと、消化器系の中で行われているのと同じ処理です。そのため、大豆のまま与えるよりも、味噌の状態で与えたほうが、アミノ酸などの栄養はより吸収されやすくなります。
味噌には犬の必須アミノ酸が網羅的に含まれているほか、疲労回復などに役立つビタミンB類、抗酸化ビタミンでもあるビタミンEを含むさまざまなビタミン、亜鉛や鉄分などのミネラル類もしっかり摂取できるのです。
また、味噌には不飽和脂肪酸であるリノール酸が含まれているほか、レシチン(レシチンについてはこちら:シニア犬にもパピーにも。認知機能の発達と維持に、レシチン。)という成分は脳の神経系の発育や維持に必要な栄養素です。その含有量は、より豊富に含まれている食材と比較すると決して多いとはいえませんが、味噌はバランスよくさまざまな栄養を摂取することに向いている食材ということができるかもしれません。
■ 味噌を犬に与えるなら、こんな方法
犬に味噌を与えるなら、塩分を気にしつつ嬉しい成分を取り入れる方法で取りたいですよね。
そこでオススメなのが、日本人におなじみの「味噌汁」です。味噌そのものの塩分量は非常に多いのですが、味噌汁になると大人用のお椀1杯あたり1g前後の塩分量が目安です。
味噌汁には季節の野菜などを入れるご家庭も多いと思いますが、具にネギなどの犬にとって避けるべき野菜が入っていなければ冷や汁やスープの感覚で、水で薄めてフードに入れたり、オヤツ代わりにキュウリに少しつけて与えてもいいと思います。手作り食に使用する場合は、味噌をメインに使用するというよりは、ちょっとした風味付けなどに少量使用してみるのも、いいかもしれませんね。
おわりに
今回は、犬に味噌を与えてもいいのか、犬に味噌を与えたい時の方法についてご紹介しました。
味噌そのものに犬の健康に悪い成分はとくに含まれておらず、犬の体調に合わせて塩分量に配慮すれば嬉しい栄養を摂取できます。
どんなに良い栄養や成分でも摂りすぎたり偏ったりすると健康に影響が出るのは同じですから、たまに犬と一緒に楽しむ程度であれば、犬の食事の幅も広がりそうですね。
そういえば、昔は犬も味噌汁とご飯、お魚といった「日本の定食」のような食事を食べていましたね。日本に昔から住んでいる種類の犬にとっては、もしかすると遺伝子的に馴染み深い味わいとして記憶されている…かもしれませんね。