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2021.03.25
新しい形のグレインフリードッグフードを実現する、古代穀物とは?
最近、ヨーロッパやアメリカで話題になっている食材に古代穀物というものがあります。
ドッグフードでは、グレインフリーがメジャーになり、プレミアムドッグフードの中では穀物を使用しないものが多くなっているのが現状ですが、実はいま、古代穀物はドッグフードの原材料として注目を集めているそうです。
それは一体なぜなのでしょうか?古代穀物って一体どんなものなのでしょうか?
今回は、これからのドッグフードのトレンドにつながっていきそうな「古代穀物」のメリットと、グレンフリードッグフードの関係について調べてみました。
古代穀物ってどんなもの?
古代穀物は、現在一般的に使用されている穀類とどのような違いがあるのでしょうか?
古代穀物はその名の通り、一般的な穀物(小麦、米、大麦)を除いて、古い時代から食べられてきた穀類のことです。
一般的な穀物はドッグフードのトレンドにおいては、グレインと呼ばれて「犬が消化を苦手とする食べ物」として認識されているほか、アレルギー源になるという見方も多いですが、古代穀物はそれらの穀類とは種類が異なるということをまずは覚えておいてください。
古代穀物と呼ばれる穀類の多くは数千年前からエジプトなどのアフリカ~中東や、中南米で伝統的に食べられてきた歴史を持っています。これらの地域では後から小麦などの穀類が入ってきたことで、古代穀物はメインストリームから外れてしまったのですが、それゆえに古代から大きな遺伝的な変化が起きないまま現代に伝わっているとされています。
私たちが日常的に食べる機会が多い小麦はとくに品種改良が進んでいるといわれているので、遺伝子組み換え食品に厳しいナチュラル志向の強い欧米では人気が高まっている要因となっています。
日本でも伝統的に雑穀として食べられていたヒエや赤米、黒米なども古代穀物とされています。日本でも白米に雑穀を混ぜ込んだ雑穀米は健康志向の高い方に選ばれていますが、これと同じことが世界的なブームになっているといえるのかもしれません。
古代穀物を使用するメリットは?
今よりもずっと食べられるものが限られていた古代、人々の暮らしを支えてきた古代穀物は栄養価の面でメリットがあると考えられています。
その理由としては古代穀物の多くは、精白をせずに食べることで豊富な食物繊維やビタミン類、ミネラル類を効率的に取り入れることができるということがあります。
小麦などの穀物から摂取することが難しかった栄養を古代穀物は持っています。
また、古代穀物の栽培がおこなわれている地域は発展途上国であることも多いので、フェアトレードを行うことでこれらの地域の支援として活用できるという面も持っています。
健康へのメリット、そして地域への支援という側面から古代穀物をうまく活用することで、より豊かな暮らしを実現しようという動きを受け、ドッグフードでも古代穀物の使用がひとつのブームになりつつあります。
古代穀物にはどんなものがあるの?
古代穀物として注目されているものはいくつかありますが、その中でもとくにドッグフードなどへの活用の面で知っておきたいものをいくつかご紹介します。
■スペルト小麦、カムート小麦
スペルト小麦は現在広く利用されているパン小麦(普通小麦)の祖先にあたる古代穀物です。その歴史は古く、9000年以上前からヨーロッパで栽培されていたことがわかっています。非常に丈夫で栽培が容易な種類です。
その特長は、低GI食品であることにあります。GIとは、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食後血糖値の上昇度を示す指標のことです。小麦に含まれるでんぷんは糖に分解されますが、スペルト小麦のでんぷんは小麦と比較するとゆっくりと時間をかけて体内で分解されることがわかっています。この特長から、糖尿病の犬にも使用できる穀類として注目されています。
また、小麦アレルギーがある人が食べてもアレルギー症状が出にくいといわれていて、小麦の代用品としても人気を集めています。ただし、グルテンは含まれていますので、グルテンが苦手な犬に与えることは推奨されていません。
同じような特長を持っている古代穀物にカムート小麦があります。カムート小麦はなんと古代エジプトのファラオの墓から発見された小麦の粒を栽培したもの(!)がルーツになっています。
■黒米、赤米
日本で伝統的に栽培されてきた米の中でも玄米のぬかの部分に紫黒色素を含んだ米を黒米、赤っぽい色素を含んだ米を赤米と呼んでいます。これらの米は古代米とも呼ばれますね。
黒米と赤米には白米と比較して食物繊維は約6倍、マグネシウムは約4倍、ビタミンB1は約5倍含まれていてまさに栄養満点。
黒米の黒はブラックベリーやブルーベリーに含まれるポリフェノールの一種、アントシアニンの色。赤米の赤い色はタンニンによるものです。アントシアニンは眼の健康維持に、タンニンは消化器系の健康維持に役立つ成分と知られています。
これらの米は中国の薬膳では薬米と呼ばれていて、体調を整える食材として伝統的に使われていました。風味も豊かで甘みもある米なので、おいしく食べられて続けやすい古代穀物の一つです。
■アマランサス、キヌア
アマランサスとキヌアはヒユ科に属する穀物です。アマランサスもキヌアも、もともとはアステカ文化などが栄えた南米地域で食べられてきた「擬似穀類」と呼ばれる穀物です。注意していただきたいのが疑似穀類は、穀類によく似た見た目をしていたり、穀類と同じように使うことが出来ますが、イネ科ではない植物の種子を指す言葉です。
アマランサスとキヌアにはリン、マンガン、鉄などのミネラル類だけではなく、アミノ酸のリジンやタンパク質も豊富に含まれています。また、キヌアには犬が不足しやすい栄養素である亜鉛が豊富に含まれています。
グルテンを含まないのでグルテンが苦手な犬への食事の材料としてもよく使用されている原材料の一つです。
また、「グレインフリーなのに、疑似"穀類"が入っているのはなぜ?」という質問が寄せられることがありますが、ドッグフードにおいてグレインフリードッグフードの定義としてイネ科の穀類を使用していないことがあるため、イネ科ではない疑似穀類であれば使用していてもグレインフリードッグフードに分類されます。
キヌアについてもっと詳しく
■ヒエの仲間
ヒエも日本人にはなじみ深い穀物の一つです。縄文時代に中国から伝来した説や日本起源説があり、あわと並んで日本最古の穀物と見られています。寒さに強いため、寒冷地や高地でも栽培でき、伝統的に農耕に適さない土地でも利用されてきました。
栄養の観点では食物繊維が白米の約8倍含まれているほか、亜鉛が白米の約2倍含まれています。
■ソルガム(きび)
ソルガムは日本でも伝統的な穀物としてなじみ深い、きびの仲間です。きびの仲間は乾燥に強く、短い生育期間で収穫が可能になることが特長です。
白米よりもたんぱく質が豊富で、亜鉛や食物繊維、マグネシウムを含んでいます。古代穀物として注目を浴びているソルガムは黒っぽい色や赤っぽい色、黄色などさまざまな色合いのものがあります。これらのソルガムには黒米などと同じようにポリフェノールやタンニンなどの天然色素が含まれています。
また、小麦などと比較するとゆっくりと消化されていく特長があり、低GIというほどではありませんが、緩やかにエネルギーに代わっていく食品として注目されています。
また、グルテンを含まないのでグルテンが気になる犬にとっては安心して食べさせられる穀類の一つです。
おわりに
今回は世界的に人気になっている古代穀物についてご紹介しました。
古代穀物の多くは遺伝的に数千年前から大きく変わっていないというだけではなく、上手く活用すれば小麦などと比較してミネラル類やビタミン類などが多く摂取できる可能性があります。犬の必須栄養を網羅するためにもドッグフードには、嬉しい食材となっていきそうですよね。
グレインフリードッグフードでは、総合栄養食の栄養基準を満たすためにミネラル類やビタミン類などを添加する必要がありますが、それらの栄養の供給源として古代穀物が活用されるようにもなるかもしれません。
また、グルテンを含まなかったり、低GI食品としての活用が期待される食材もあるので、グルテンが苦手な犬や糖尿病などに悩む犬向けのドッグフードに活用されていくのかも注目したいですね。
それぞれの食材の特長をうまく組み合わせて、より使いやすく、安心なドッグフードが生まれていくことが期待されます。
ちょっとブレイク ポチっとクイズ
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問題:アマランサスやキヌアなどの「疑似穀類」を含むドッグフードは、グレインフリーに含まれる?
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正解:ドッグフードにおいてグレインフリードッグフードの定義としてイネ科の穀類を使用していないことがあるため、イネ科ではない疑似穀類であれば使用していてもグレインフリードッグフードに分類されます。