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2021.05.27
犬の自律神経失調症とは?犬の自律神経について知ろう。
季節の変わり目に犬の体調が崩れやすい、という話を聞いたことはないでしょうか。気温や気候の変化を受けて、犬が体調を崩してしまうことは想像がつきますが、その体調不良には自律神経が関係しているかもしれません。
犬が自律神経失調症になるとどのような症状が出るのか、調べてみると大切なことが分かってきました。
季節の変わり目の犬の体調管理と深く関係している自律神経とはどんなものなのか、どのような形で犬の体調に影響するのかをまとめてみました。
犬の自律神経の役割とは?
犬の体にはたくさんの神経が通っています。それらの神経の分類の方法に、それぞれの働きによって「体性神経(たいせいしんけい)」と「自律神経 (じりつしんけい)」に分ける方法があります。
見たもの(視覚)、聞いたもの(聴覚)、触れたもの(触覚)、味わったもの(味覚)、嗅いだもの(嗅覚)などの情報を脳に伝える働きを持っている知覚機能や、体を動かすという指令を出すのは体性神経の役割です。
一方で、自律神経は意思とは関係なく、体を一定の状態に維持するために働いています。
具体的には、体温や血圧、心拍数の調整、呼吸の調整、排泄、消化などが関係しています。
たとえば、食べものの栄養からエネルギーを作り、体温を一定に維持するのも自律神経によるものですし、暑い日にはパンティングで体温を下げますが、これも自律神経の働きです。酸素が薄い場所で呼吸の回数が増えるのも自律神経の働きによるものです。
このように、体を健康的な状態に維持しようとするのが自律神経の基本的な働きです。
この自律神経が十分に働くことができず、気温やストレスに適応できなくなっている状態を自律神経が乱れていると表現することがあります。
犬も自律神経失調症のような状態になると、これらの働きが低下してしまいさまざまな体調の変化がみられるようになります。自律神経失調症の犬が低下する機能には以下のものがあります。
■ 自律神経失調症によって影響が出る例
・体温や血圧、心拍数の調整
・消化、排泄などを行う
・エネルギー代謝をつかさどる
・気温や湿度、ストレスなどの状態に合わせて一定の体調を維持する
→自律神経には、興奮状態時に優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経の2つが含まれます。それぞれがアクセルとブレーキのように働き、バランスを取ることで、体の状態を一定に保っています。
とくに自律神経が乱れやすいのはなぜ?
体の働きを一定に保つ自律神経ですが、周囲の環境が目まぐるしく変わると、それに合わせて体内のさまざまな調整機能を働かせる必要が出てきます。
具体的には、以下のものが犬の自律神経に影響することが分かっています。
<季節に関係する要素>
・気温
・湿度
・気圧
・日光を浴びる量
<生活の中の要素>
・疲労
・食事の栄養バランス
・ストレス
自律神経に影響する要素には、気温や湿度、気圧、日光の量など季節の変わり目に変化が大きいものが多く含まれています。
このことから、一つ一つの要素の変化に対して調整を行っていくうちに、自律神経に徐々に乱れが生じやすくなるようです。
ですから、自律神経の乱れにはこれといった原因はなく、複数の要素が重なって起こると考えられているようです。
「寒暖差があると、なんとなく元気がない」とか「季節の変わり目に突然お腹の調子が悪くなる」というように、原因を特定するのが難しいトラブルでは自律神経の乱れが関係しているかもしれません。
自律神経を整えるこんなひと工夫
季節の変わり目に体調を崩してしまいがちな犬の自律神経へのアプローチとしてはどのようなものがあるのでしょうか。
いくつか対策をご紹介します。
■食事はバランスよくが基本
すべての基本となる食事は、やはりバランスを意識することが大切です。犬が喜ぶからといってオヤツをついついたくさん与えていたり、好き嫌いが激しくて主食となるドッグフードを十分に食べられていないようであれば、栄養のバランスが乱れてしまっている可能性があります。
まずは基礎となる総合栄養食タイプのドッグフードをしっかり食べさせることを意識しましょう。
それから、季節の変わり目に体調を崩しやすい犬には、念のため食べ慣れない物を与えないことがオススメ。また、亜鉛などのミネラル類が不足しがちになる手作り食も、注意が必要です。
■適度な運動はストレス発散と季節の移り変わりを感じるためにも大切
犬にとって楽しみのひとつである散歩ですが、運動量を確保するだけではなく、外の空気を感じることもとても大切。
季節の移り変わりを肌で感じることは、自律神経の健康維持にもつながります。また、日が出ている時間に散歩ができるようであれば適度な日光浴を意識してみるのもいいですね。
気分のリフレッシュになるだけではなく、季節ごとに合わせた体調を整えるためにも散歩の時間を有効活用したいところです。
■生活環境の改善でリラックスを。
犬の暮らす環境を整えることも自律神経の健康維持には大切なことです。犬がリラックスして、落ち着けるような環境づくりを意識しましょう。
衛生面や騒音、ストレスの原因となるような要因があると犬の神経も刺激されてしまい、交感神経が優位になる時間が長くなってしまいます。適度な興奮とリラックスの切り替えが行えるよう、犬の暮らす環境は清潔で安全な状態を維持していきましょう。
■ハーブでじっくり体調管理も。
自律神経の健康維持には、すぐに効果が出る治療薬や治療法は現時点ではないといわれています。
ですが、これまでご紹介したちょっとした暮らしの中のポイントと合わせてハーブを組み合わせてみてはいかがでしょうか。
ハーブの中には、犬の神経系の健康維持に働きかけるものもあります。代表的なものではカモミールやバレリアン、スカルキャップなどがあります。
犬の健康維持のために配合されたハーブたちの力は、季節の変わり目を過ごしやすくしてくれます。
おわりに
今回は季節の変わり目に乱れやすい犬の自律神経についてご紹介しました。
自律神経そのものは、日々の生活の中で体調を一定に保つために働いている、なくてはならないものです。ですが、季節の変わり目には温度差や気圧、日照時間などの変化が大きく対応しきれずに乱れが生じがち。
寒暖差が激しい時期や不安定な気候が続くといつも決まって体調を崩してしまう、という犬は食事に気を付けたり、散歩時間の調整を意識的に行うなどの対策に合わせてハーブを取り入れてみるのもオススメですよ。
犬たちの体調の変化をみながら、できそうなことから試してみてくださいね。