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2024.07.22

夏特有のストレスとは?対策やストレス軽減食材を紹介【管理栄養士監修】

夏特有のストレスとは?対策やストレス軽減食材を紹介【管理栄養士監修】

夏休みに犬と一緒に楽しみたいイベントも多いですよね。
天気の良い日は、外で走り回ったり、水遊びしたりと夏ならではの遊びもあります。

しかし、普段は異なる環境の場所や音、猛烈な暑さが犬がストレスの原因になっているかも…。
犬の体調の変化にも影響するストレス。元気に犬と夏を楽しむために、ストレス対策をしていきましょう。

本記事では、夏特有のストレスの原因や対策の解説、管理栄養士がおすすめするストレス軽減食材を紹介します。
犬の普段の食事にプラスできるので、ぜひ参考にしてみてください。

犬にはストレス!夏特有のストレスの原因は?

犬が感じる夏特有のストレスの原因には、代表的なものとして以下のようなものがあります。

  • ■花火や雷の大きな音
  • ■レジャーや旅行での環境変化
  • 熱中症リスクもある暑さ
  • 夏休みの子どもがいる家庭では騒がしい

花火や雷の大きい音

犬は大きな音が苦手です。聴覚が優れている犬は、人より広い範囲や音の強弱を聞き分けられます。
人の耳にも大きいと感じる花火や雷の音は、犬には恐怖の対象です。
綺麗な花火を一緒に見たいと思う飼い主さんも多いと思いますが、パニックになり、怯えることもあるため、嫌がっている様子が見られたら無理強いするのはやめましょう。

また、大きな音を伴う落雷や花火だけではなく、停電や花火の火薬の匂いが、怖い経験と結びついてトラウマになる場合もあるでしょう。
しっぽが下がり、落ち着きなく歩き回るときや、物陰に隠れる行動はストレスを感じているサインです。

レジャーや旅行での環境変化

夏休みにレジャーや旅行に犬も一緒に出掛けるシーンもありますが、犬にはストレスがかかる場合もあります。
もちろん、飼い主さんと同じく環境の変化を楽しめる犬も多くいますが、神経質な性格の犬は、普段とは異なる自然の空気や匂いなどの環境変化に敏感になり過剰に反応してしまうことも。

また、ペットホテルを利用する機会もありますが、環境の変化に敏感な子には 、ストレスの原因になる可能性があります。

熱中症リスクもある暑さ

暑さは犬にもストレスを感じさせます。
犬が暑さを感じた際、舌を出してハアハアと呼吸するパンディングと呼ばれる口呼吸をし、唾液を蒸発させて体温を下げようとしますが、汗で熱を発散できる人よりも体温調整が苦手な動物です。厳しい暑さは、肉体的なストレスになります。

また、暑さで散歩時間が減少し、運動不足になることも、ストレスに結び付くケースも。
パンディングが多い、ぐったりしている、食欲が低下している場合は、暑さによるストレスのサインの影響も考えられます。

夏休みの子どもがいる家庭では…

子どもがいる家庭では、夏休みの時期に昼間も騒がしくなり、犬にとってストレスになっていた、なんてケースもあるようです。
飼い主が仕事や学校に行き留守番する犬は、人がいない時間帯にゆっくり寝ていることが多いでしょう。
夏休みになり、人の生活習慣が変化すると、寝る時間である昼間も騒がしく、夜遅くまで飼い主家族と遊ぶことも増えます。

犬が家族の生活にあわせることで、遊び疲れが取れず、ストレスに結び付くこともあるため、注意が必要です。

夏のストレスサインが見られたら…

犬のストレス緩和方法は、リラックスできる環境を作ることや安心できるよう飼い主とのコミュニケーションを増やすことが大切です。

■リラックスできる環境作りをする

犬が、リラックスできる環境を作り、遊びの時間とメリハリをつけるとよいでしょう。
犬にとって最適な温度21~25℃、湿度は50~60%程度に保ち、静かで安心できる空間を確保します。
普段昼間に寝ている犬には、変わらず休めるように人の気配を感じさせてない区切られた空間も必要です。

また、旅行に連れていく場合も、慣れない環境で休めないことがあります。
普段使っている匂いが付いたベッドやタオルを旅行先にも持っていくのもおすすめです。

■飼い主とのコミュニケーションを増やす

ストレスを感じる時、犬の中では不安や苛立ちの感情も芽生えます。ストレスが溜まっていると、普段は取らないような攻撃的な行動が出たり、問題行動という形で表出する子もいます。

ストレスのサインに気が付いたら、その原因から遠ざけるだけではなく、飼い主とのコミュニケーションを増やし、安心させてあげることも大切です。
(中には「構いすぎ」がストレスになっているケースもあるので、その場合はそっとしてあげることも必要です)

また、運動不足気味の場合は、夏の間は朝や夜間の涼しい時間帯に散歩に行き体を動かすことや、室内でできる遊び、水遊びでストレスを解消するのもオススメ。
犬と楽しめるレジャーや旅行には、冷暖房完備の室内ドッグランを常設した施設が人気です。

【管理栄養士おすすめ】ストレスを和らげる栄養素

犬の夏ストレスのサインが見られた時におすすめの栄養素を紹介します。
美味しく食べて、ストレスケアを無理なく取り入れながら夏を楽しみましょう。

 

■トリプトファン

トリプトファンとは、犬が食事から摂取する必要がある必須アミノ酸のひとつです。
幸せホルモンであるセロトニンを生成するアミノ酸で、夜になると睡眠を促すメラトニンも生成します。

【トリプトファンが豊富な犬におすすめの食材】

  • バナナ
  • 大豆製品
  • チーズ
  • ヨーグルト
  • 鶏ささみ、鶏むね

バナナやチーズを犬に与える際は、高カロリーにならないよう、少量にしましょう。鶏ささみや鶏むね肉は、加熱をし、小さくカットしてあげるのがおすすめです。

 

■大豆イソフラボン

大豆イソフラボンは、ストレスがかかると分泌されるコルチゾールを合成する酵素の働きを抑制します。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た構造を持ち、抗ストレス作用に効果が期待されます。


【大豆イソフラボンが豊富な犬におすすめの食材】

  • 大豆製品:豆腐、納豆など


大豆食品を与える際は、柔らかくゆでてすりつぶすか、小さくカットしているひきわり納豆や豆腐、おからなどの加工品が消化されやすくおすすめです。

 

■GABA

GABA(ギャバ)とは、神経の興奮を抑える働きがあるアミノ酸のひとつで、精神的な緊張感を軽減し、リラックスさせる効果が期待されます。
また、腸内で善玉菌として作用する乳酸菌は、腸管にあるGABA受容体を刺激し、脳内でGABAの生産を促します。
GABAが含まれる食材や腸内環境を整える乳酸菌を含む食材の摂取がおすすめです。


【GABAが豊富な犬におすすめの食材】

  • 発芽玄米
  • トマト
  • かぼちゃ
  • じゃがいも


発芽玄米は、消化しにくい食物繊維の量が多い食材です。犬に与える際は、粥状にしたり、フードプロセッサーで粒感をなくしたりと工夫しましょう。

 

■ビタミンB群

ビタミンB群は、エネルギー代謝に関与する補酵素の役割があります。
ストレスがかかると疲れやすく、倦怠感が残りやすくなります。
とくにビタミンB6は、トリプトファンがセロトニンを生成するのに関わるため、先述のトリプトファンを含む食材と一緒に摂取すると利用効率が高まります。


【ビタミンB群が豊富な犬におすすめの食材】

  • レバー、ラムなどの肉類
  • うなぎ、カツオ、マグロなどの魚介類
  • 緑黄色野菜
  • 大豆製品
  • 玄米


動物性タンパク質の肉や魚は、エネルギー源になる食材のため、ビタミンB群とともに接種するとよいでしょう。
レバーは犬の嗜好性も高く、食欲が低下しているときにも役立ちます。

 

まとめ

本記事では、夏特有の犬のストレスを解説しました。
楽しいはずのレジャーや旅行が犬にとってストレスにならないよう、犬がストレスを感じる原因を理解し、和らげられるとよいでしょう。

ストレス軽減が期待できる食材をいつものご飯にプラスして、犬と一緒に夏を楽しめると良いですね。

ペット栄養管理士・管理栄養士:村瀬由真

*1 4年制大学の管理栄養学科を卒業。食事と栄養の知識を活用し、動物病院や給食委託会社での勤務を経験。現在はチワワや猫たちと一緒に暮らすライター