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2024.09.18
【管理栄養士監修】秋バテの犬に多い体調不良の症状は?消化に良い食事方法
暑すぎる夏が終わり秋の気配が近づいても、日中の残暑が厳しい一方、涼しくなる朝夕との寒暖差に悩むこともあるのではないでしょうか。
犬も人と同じで、季節の変わり目は体調不良に陥りやすく、夏からの疲れが蓄積され、なんとなく元気がないように見えませんか?
体調不良が起こりやすい「秋バテ」は、食欲不振のほか、体力低下や倦怠感など注意すべき症状が起こりやすいです。
秋バテしている時は、食事の与え方の工夫をするのもオススメです。
今回の記事は、秋バテ中の犬への食事の与え方を管理栄養士が解説します。お腹に負担をかけない消化の良い食事で秋の体調管理の参考にしてみてください。
犬の秋バテで起こりやすい症状や原因
秋バテのような症状がみられる原因は、夏の暑さで蓄積した疲労感や、気温変化に追いつけないことです。
また、本来の犬の特性では、季節の変わり目には冬を迎える準備で被毛がフワフワになったり、脂肪を溜めやすくなったりしますが、例年の暑さで秋を感じにくくなっていることもあります。長引く暑さに犬たちの体調もついていけなくなっているのかもしれませんね。
■夏バテからの食欲不振が続く
夏の暑さで食欲が落ちている場合、秋になっても残暑が厳しく食欲が戻らないこともあるでしょう。
犬は胃もたれや胸やけに似た症状を起こしている可能性が高く、胃腸の動きが低下しているかもしれません。
1か月以上食欲不振が継続し、食事量が減っている場合は、体重が落ちている可能性が高く、免疫力も低下している可能性があります。
高齢の犬や持病がある犬では「たかが夏バテ」とは言えない注意が必要な状態です。
■運動不足で体力が低下する
夏の暑さを避けるために散歩量が減り、運動不足で体力が低下して秋バテを起こしている犬も多いでしょう。
残暑が厳しい秋も、日中の散歩はアスファルトが高温になりやすく、散歩時間が限られることもあります。
運動する機会が少ないと筋肉量も低下しやすいため、基礎代謝も下がり肥満になる要因にもなります。また、エネルギーを必要としないため、食欲不振を加速させる原因の一つとも言えるでしょう。
■寒暖差により疲れやすくなる
季節が秋に近づいてくると昼間は、夏場と同様気温が高いものの、朝夕は涼しくなり、気温差が10℃以上ある日も稀ではありません。
寒暖差は、疲労感や倦怠感を感じやすく、体温のコントロールに影響する自律神経のバランスが乱れることもあります。
自律神経とは、交感神経と副交感神経があり、適度に緊張とリラックスを繰り返すことで、身体の機能を正常に保ちます。
気温の変化に応じて、脂肪分解や血管収縮などを促進、抑制する作用で体温をコントロールしますが、1日の中で気温差が大きいと身体に負荷がかかり、自律神経が乱れる原因になります。
犬の秋バテ回復への対処方法
犬が秋バテで元気がないと感じたら、食事や運動量を工夫して、無理のないように回復に向かう体のサポートをしていきましょう。
ただし、下痢や嘔吐など明らかな体調不良が見られたときは、必ず動物病院を受診し適切な処置をおこなってください。
秋バテで元気がいつもよりない程度の場合は、3日程度観察しても良いでしょう。具体的に回復傾向にある場合は以下のような傾向が見られます。
- 完食はしなくても半分以上は自らの意思で食事を摂ろうとする
- うんちの様子(硬さ、色、頻度など)は正常である
- 運動量が増加傾向にある
- 遊びに誘えば興味を示してくれる
- おやつなら食べる
涼しくなれば回復することも多いため、軽度の秋バテの場合は、薬の服用や治療食が必要ないケースもあります。心配な場合は、獣医師に相談してください。
秋バテしている犬には消化に良い食事を
秋バテして、食事量が減った場合、栄養が不足するのではと考える方も多いでしょう。
しかし、食欲不振の犬に高栄養な食事を与えると、消化不良を起こしたり、嘔吐や下痢などの症状が現れたりと、かえって逆効果になることも。
まずは、食べやすく消化に良い食事を与えると、身体に負担をかけずに回復を手助けできるかもしれません。
■ふやかしたドライフード
普段の食事をより消化性を高くするためには、ドライフードをふやかして与えるのもオススメ。
ドライフードをふやかす際は、30~40℃のぬるま湯を使用します。1食分のドッグフードが被る程度の少量のぬるま湯を入れ、5~10分放置すればOK。
出来上がりの硬さや水分量は、犬の好みで調整してみてください。
熱すぎるお湯は栄養価が変わるおそれがあり、一度に食べきれない量のふやかしは、傷ませてしまう可能性もあるため注意しましょう。
ふやかす際はスープタイプのウェットフードを活用するのもオススメです。
ふやかした場合、普段の食事よりかさが増すため、完食しにくいものの、無理にすべて食べさせる必要はありません。
また、ふやかしの手間を省きたい場合は、ウエットフードを活用するのも良いと思います。
■ペースト状の手作り食
犬の嗜好性が高い傾向にある手作り食も、食欲を刺激できます。
噛まずに飲み込むことが多い犬は、胃腸内での分解、消化に時間を要しますが、手作り食をペースト状にし、食べやすくすると、消化の負担をかけにくくなります。
手作り食を作る際は、栄養バランスが良くなるように、複数の食材を活用するとよい でしょう。
鶏肉や豚肉などの肉類、鮭や鯖などの魚介類でタンパク質を補いつつ、ビタミンやミネラルの摂取ができるサツマイモやブロッコリー、リンゴや梨の野菜、果物もおすすめです。
とはいえ、総合栄養食のように理想的な栄養バランスを手作り食で実現するのは難しいため、長い目で見て特定の栄養に偏りがないように工夫してください。
手作り食は、総合栄養食のトッピングに活用したり、おやつに与えたりするのも嗜好性を高めやすく、食欲がないときにも適しているでしょう。
■栄養価が高い犬用ミルク
食欲がないときには、少量でも高い栄養価が摂取できる犬用ミルクを活用する方法もおすすめです。
ペットショップや通販サイトでも購入しやすい子犬用ミルクやヤギミルクを活用するとよいでしょう。
子犬用ミルクは、母乳に似た栄養素が含まれるため、免疫力を高める効果も期待できます。
また、ヤギミルクは比較的アレルギーを起こしにくく、消化性が高いため、胃腸に優しいといわれています。
ぬるま湯で溶かして飲むのはもちろん、ふやかしたドライフードやペースト状の手作り食にふりかけるトッピングとしても適しています。
まとめ
体調不良が起きやすい季節の変わり目は、犬も秋バテしやすい時期です。
遊びや散歩を増やして運動量を確保や、過ごしやすい温度の部屋で生活する工夫をし、食事から体力を回復するのもよいでしょう。
回復食は、胃腸に負担をかけにくい消化に良い食事を与えてください。ふやかしのドライフードやペースト状の手作り食、犬用ミルクを活用し、犬と元気に飽きが過ごせるよう工夫しましょう。