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2026.04.08
ご存知ですか?法改正でNZの賃貸物件がほぼすべてペット可に!~南半球のDog's letter~
世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?!共通してるかも?!と思える目新しいドッグライフ情報。今回は、昨年新たに施行された、ペットに関する賃貸法についてご紹介します。


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この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
2025年12月に賃貸法が改正
2024年の調査によると全世帯の約63%がペットを飼育し、人口およそ530万人に対し、約83万頭の犬がいるニュージーランド。住民の6人に1人が犬と暮らしている計算になるのですが、少し前までオークランドの賃貸物件は、そのほとんどがペット不可でした。大家と交渉すればOKになることもままあったのですが、飼育数が126万に上る猫はよくても犬にはNGを出されるケースが多く、持ち家でない限り犬を飼うことを諦める人も少なくなかったようです。
ところが、その潮目が大きく変わったのが2025年。1月30日に改正され、12月1日に施行された新しい賃貸法により、ほぼすべての賃貸物件がペット可になったのです。今回はその内容について詳しくご紹介します。
新賃貸法のペットルールとは?
新しい賃貸法では、ペットの飼育に関しては大家に申告して許可を得る必要があるものの、大家は基本的に拒否権がないとのこと。正当な理由があれば拒否できますが、それが認められない場合は法律違反となり、最大1500NZドル(約14万円)の罰金が科されるそうです。
正当な理由の例として挙げられているのは、①ペットを飼うには物件が狭すぎる、②物件にフェンスがない(一軒家で犬を飼う場合は基本必要)、③飼い主である入居者が犬の登録やマイクロチップ装着、去勢・避妊といった義務を怠っている、など。新しい法律の一部は2025年12月以前からの入居者にも有効で、それまでペット不可物件に暮らしていた人もペット飼育の申し入れができるようになりました。
その一方、大家はこれまで禁止されていたペット敷金(最大で家賃の2週間分)を入居者に求めることが許可されます。ペット敷金は通常の敷金(家賃4週間分が一般的)とは別なので、入居者の初期費用は増えることに。ただし、法改正以前から大家の許可を得てペットを飼っている人にはペット敷金は適用されません。また、ペット飼育を理由に大幅に家賃を上げることも違法なので、その点入居者は安心してよいようです。
ちなみに介護犬や盲導犬の飼育には大家の許可は不要。ペット敷金も必要ありません。
法改正の背景とは?
オークランドの集合住宅。かつては一軒家がほとんどでしたが、都市部では集合住宅が主流になりつつあります
ペット飼育が大幅に緩和された今回の法改正。大家側の反発は強かったようですが、それでも可決・施行されたのは、ペット大国であるにもかかわらず賃貸での飼育が難しかった“社会の矛盾”を解消するためといえます。
ニュージーランドはこの10年ほど慢性的な住宅不足で、ペットの飼い主はさらに選択肢が狭まり、借りられる家がないことからペットを手放すケースが増加し、社会問題となっていました。従来の「ペット不可」は完全に大家の裁量によるもので、入居者は抗うすべがなく、立場が弱すぎると不満の声が高まったのも理由のひとつです。
また、家庭内暴力(DV)を受けている女性の半数以上が「ペットが心配で家から逃げ出せない」と訴えていたことも背景にあります。ニュージーランド最大のDV被害者支援団体Women’s Refugeの調査では「ペット可の賃貸物件が見つかればすぐに逃げられる」と回答した女性が7割以上いたそうで、法改正により家庭内でのトラブルに悩む人々の救済にも役立つと期待されています。


