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2023.08.23
増粘剤の安全性とドッグフードに使用される理由について<これってどんな原材料?>
犬の健康維持に役立つ成分を含んだり、安全性の高いドッグフードを選びたいですよね。ドッグフードの原材料や成分について知ることは、犬の健康管理をするうえでとても大切なことです。
この記事では、ドッグフードに使用される原材料の中から「増粘剤」「増粘安定剤」に分類される原材料や成分についてご紹介します。
増粘剤と聞くと『添加物』『化学的なもの』『危険な成分』というイメージを持っているという方も多いのではないでしょうか。
添加物は、悪者として語られがちですが、実は必要な時もあります。今回は、増粘剤や増粘安定剤はどのようなもので、安全性に関して問題はないのか、そしてなぜ使用されているのかなど、改めて調べてみました。
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POCHIのペット栄養管理士 岡安
ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。
ドッグフードに使用される増粘剤、増粘安定剤とは何か?
ドッグフードに使用される増粘剤や増粘安定剤は、いわゆる添加物に分類される原材料です。
「添加物」に対して悪い印象を持つ方も多いとは思いますが、現在私たちが日常的に使用している総合栄養食のドッグフードを作るためには、添加物が必要不可欠というのが現実です。「でも、無添加ドッグフードってありますよね?」と疑問に思われた方もぜひ、最後まで読んで見てください。
■ドッグフードの添加物について
ドッグフードに使用される添加物には、栄養バランスの調整や品質の安定、酸化の防止や形状の安定など、さまざまな目的があります。これらの添加物を一切使用しないドッグフードでは、栄養バランスの偏りが見られたり、品質が安定しなかったり、酸化が進みやすく極端に賞味期限が短くなるといったことが起こりやすくなります。
場合によって、添加物を使用していないフードは保存時の安全性という面で不安になるというのが正直なところです。
また、犬の健康への意識が高まったため、とくにプレミアムドッグフードに分類されるものでは、人間の食品と同レベルの安全性を意識した添加物=食品添加物が選ばれる傾向にあります。
■食品添加物とは?
食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料などのほか、増粘安定剤や粘結剤などを含み、食品の保存・加工の目的で使用されるものです。
日本では厚生労働省で定められていて、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、安全性が認められる場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認められています。
使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査し、その範囲内の使用に制限するなど、安全の確保に努めています。
【こんなものも添加物に含まれます】
・ビタミン類(栄養バランス調整のため)
・ミネラル類(栄養バランス調整のため)
・酵素(加工、栄養バランス調整のため)
一見すると天然由来のものを使っているように見えるドッグフードでも、実は添加物を使用しているというケースが少なくありません。
*1 厚生労働省
ドッグフードに増粘剤、増粘安定剤が使用される理由
ドッグフードで増粘剤、増粘安定剤が使用されるのは、主にウェットフードです。ウェットフードには、さまざまなタイプがありますよね。
素材の質感を残したままものや、プリンのように固まっているもの、ほとんどがスープ状になっているものなど、その食感もさまざまです。
主に増粘剤や増粘安定剤が使用されるのは、ウェットフードの食感を良くすることで嗜好性を上げたり、固形分と水分の分離を防ぎ、品質を安定させる目的です 。
また、子犬用や高齢犬用のウェットフードでは、飲み込みやすさや噛みやすさなどを調整する目的でも使用されています。
とくに近年人気となっている、スティックに入ったペーストタイプのオヤツなどでは絶妙な食感を出すために使用されています。
また、ドライフードで増粘剤や増粘安定剤が使用される場合は、食材を均一に混ぜやすくしたり、粒状に形成しやすくするために使用されることが多いです。
増粘剤、増粘安定剤の安全性は?
増粘剤そのものは、犬の健康に影響する成分だとの報告はありません。特に、近年のプレミアムドッグフードで使用される「食品添加物」の基準を満たしたものでれば、基本的にはペットフード安全法もあり、安全性が証明されているものばかりです。
とはいえ、カラギーナンのように過去に「発がん性がある」などとうわさされていたものもあります。(※カラギーナンについては別記事を参照してください)
それぞれ増粘剤・増粘安定剤がどんな食材から作られているのか、どんな特徴があるのかぜひチェックしてみてくださいね。
■キサンタンガムとは
キサンタンガムは、でん粉(穀類・イモ類等)や糖類から微生物の活動で作られる、いわゆる天然発酵によって作られる多糖類のひとつです。
キサンタンガムは、主にとろみをつける目的で使用されることが多いようで、片栗粉の代用として使われることもあるようです。
キサンタンガムは、耐熱性が高く、さらに冷凍解凍にも耐性があるという特長もあり、ドッグフードでも幅広い場面で活用されている素材です。
微生物が穀類やイモ類のデンプンを発酵させることで作られますが、アレルゲンとなるのはタンパク質ですので、キサンタンガム自体がアレルギー源となる可能性は比較的低いといえます。
食品添加物であり、安全性が保証されている成分です。
■グァーガムとは
グァーガムとは、マメ科の植物である「グァー」の種子から抽出される天然由来の多糖類です。比較的低温でも水に溶けやすく、アルカリ性の環境だと粘度が下がるという特長を持っています。
人間用の食品では、アイスクリームや調味料、焼き菓子、パンなどで使用されることが多いようです。
また、キサンタンガムとの相乗効果があるといわれていて、組み合わせて適度な粘り気を出したり、形を保つために使用されます。
こちらも食品添加物であり、安全性が保証されている成分です。
■ペクチン
植物由来の多糖類で、主に果物に含まれる食物繊維の一種としても知られています。リンゴの搾滓やレモン、グレープフルーツ、ライム、オレンジなどの柑橘類の皮を原料とするもので、ジャムを作る時にとろみを出しているのはこのペクチンです。
とろっとしつつもぬめりが比較的少ないので、べたつきにくい食感が特徴です。
とろみをつけてくれる食品添加物でありながら、水溶性食物繊維としても非常に有用で、腸内細菌のえさとなり、健康的な腸内環境を維持する目的でも活躍します。
■ゼラチン
身近なゲル化剤としてよく利用されている「ゼラチン」。なんと5,000年以上前の古代エジプト人も利用していたという歴史ある素材です。ゼラチンの最大の特長は、タンパク質の繊維=コラーゲンでできていることです。
増粘剤を使用したドッグフードを選ぶ際に注意する点は?
今回ご紹介した増粘剤や増粘安定剤は、基本的に安全性が保証されている食品添加物ではありますが、犬の健康維持のためには注意したいポイントもあります。
まず、キサンタンガムやグァーガム、ペクチンといった多糖類=食物繊維を含む食品は、基本的には安全なのですが食べすぎるとウンチがゆるくなる傾向があります。
それから、ゼラチンはほかの増粘剤と異なり、タンパク質由来の成分ですので、特定のタンパク源にアレルギーが出ることが分かっている子は注意が必要になるかもしれません。
おわりに
今回は、ドッグフードに使用されることがある増粘剤、増粘安定剤についてご紹介いたしました。なんとなく添加物に悪いイメージを持つ方は多いと思いますが、基本的には安全なものが使われていることが多い傾向があります。
ただ、食べすぎるとおなかがゆるくなりやすかったり、食物アレルギーがある場合には注意するべきケースもあります。
使用されている原材料で気になることが合ったら、ポチのコンサルティングサービスでお気軽にお問い合わせください。