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2024.07.29
【ペット栄養管理士監修】犬の早食いは危険?早食い防止対策を実践してみた
犬にご飯をあげるとすぐに完食してしまう…。誰かに急かされたりしているわけでもないのに、ガツガツ食べる子っていますよね。
量が足りないのかしら?早く食べ過ぎて吐き戻してしまわないかしら?と悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
早食いは、野生の頃の犬の習性が関係しています。また、犬種や個体差による性格の違いが影響するとされています。
しかし、犬の早食いが危険なこともあるのです。
本記事では、犬の早食いの危険性を解説します。実際に試した早食い対策も紹介するので、“うちの子”に適した対策を探してみましょう。
犬の早食いに注意が必要といわれる理由とは?
犬の早食いが危険だといわれる理由には、吐き戻しが増えることや、歯周病、胃拡張、胃捻転などのリスクがあるといわれています。
■吐き戻しが増える
早食いは吐き戻しや誤えんのリスクになります。
早食いにより、十分に噛み砕かれていない食事が胃の中に入ることで、胃の中で膨張しその刺激で吐き戻してしまうためです。
本来、犬は食べ物を丸のみにする習性がある生き物なので、ある程度の量までは問題ないことが多いのですが、ドライフードが胃の中でふやけると、やはり吐き戻しのリスクは高くなります。
また、当たり前のことですが、早食いにより一口で飲み込む食事の量が多いと、喉に詰まらせる原因にもなります。
■胃拡張や胃捻転のリスクが増える
早食いする際に、空気を吸い込むため、胃拡張や胃捻転のリスクが増えます。
胃の許容範囲を超えて膨らむ胃拡張や、拡張した胃がねじれる胃捻転は、吐きそうなしぐさを繰り返す空嘔吐やえずきがサインです。
骨格の構造で胸が深い大型の犬種に起こりやすいとされます。
胃捻転が起きた場合、数時間で処置しなければ、命の危険もあるため早食いをさせない工夫が大切です。
【実践】犬の早食い防止策は?”うちの子”に適したおすすめの対策が知りたい!
我が家のチワワで実践した早食い防止策を紹介します。
食欲旺盛で好き嫌いも少ない子ですが、吐き戻しが多く悩んでいました。
私が実際に試してみた5つの対策方法を紹介するので、“うちの子”に適した対策を見つけてみてください。
■<対策1>早食い防止食器を活用する
早食い防止の食器は、内部に凹凸があり、顔や舌の角度を調節しながら食べる必要があるため、食べるスピードを遅くする効果があります。
食べにくさで必然的にペースが遅くなり、食器を変えることで手軽に実践できたため、飼い主の負担も少なく、取り入れやすかったです。
また、下を向かなくてもよい高さのある食器は、首を下げ過ぎないためおすすめです。
食器の高さが出ることで、口から食道、胃までの流れがスムーズになり、吐き戻しや誤嚥のリスク軽減につながります。
さまざまな凹凸の食器や、皿に装着できるスローフィーダーもあるので、適したものを選びましょう。
■ 【実践してみた感想】
うちの子には効果がありました。
写真の右側ピンクの食器ではゆっくりになるものの、写真の左側の凹凸の少ない白の食器では、効果は低めです。
使用する食器でペースが変わるので、犬の口のサイズに適した凹凸があるものを見つけると良さそうですね。
■<対策2>知育おもちゃを活用する
知育おもちゃは、遊んでいるとフードが1粒ずつ出てくるタイプがあり、自然に食べるスピードを抑えられます。
普段の食事量を減らし、知育おもちゃで遊ばせれば、運動の時間にもなり、ストレス緩和や運動不足解消にも期待できます。
知育おもちゃの活用以外にも、飼い主との遊びの中で直接手から与えるのも、ご褒美になり犬も楽しく取り組めるはずです。
■ 【実践してみた感想】
初めての知育おもちゃは、使い方が分からず慣れるまで遊んでくれないこともありました。
フードが出る仕組みを理解したら遊ぶようになったものの、写真中のクッションタイプの知育おもちゃは、1つずつ見つけるのではなく、ひっくり返してしまうようになりました。
正しい遊び方を覚えさせる工夫も必要だな…と反省です。
■<対策3>少量ずつ与える頻回食にする
早食い後の嘔吐を防止するためには、少量頻回食もおすすめです。
1日の食事回数を3~5回にしたり、1回の食事で器に盛るのを2~3回に分けたりと工夫します。
食事の回数が多いと少ない量でも満足感を得やすいといわれています。
頻回の食事で、コミュニケーションを取りながら与えることで、犬との信頼関係が構築できるメリットもあるでしょう。
しかし、何度も食事の時間を確保する必要があるため、飼い主の負担は大きく、日中留守にする機会が多い場合は実施しにくい点もネックです。
■ 【実践してみた感想】
うちの子の場合、嘔吐回数は減少しましたが、早食いは変わりません。
リスクは軽減できないため、最適な早食い防止策ではありませんでした。
■<対策4>ウエットフードやふやかした食事に変える
早食い防止には、ウエットフードやふやかしたドライフードの食事に変更することもひとつの選択肢になります。
水分量があるぶん、給与量の目安が多くなるのでドライフードよりもたくさんの量を食べる必要があり、腹持ちも良く満腹感が得やすいため、肥満防止に適しています。
しかし、ウエットフードはドライフードに比べ、高コストなケースもあり、食べる量が多い、大型犬には向かないこともあるでしょう。ドライフードをふやかす手間もかかるので、飼い主の負担もあります。
■ 【実践してみた感想】
うちの子の場合、ドライフードをふやかした際は、食べる量が増えても早食いは変わりませんでした。
また、多頭飼育の我が家では、どうしてもウエットフードはコストパフォーマンスが悪くなってしまい、毎日の食事として継続するのは難しいかな、という判断になりました。
■<対策5>【多頭飼い】別々の部屋で食事する
多頭飼いが原因で早食いの犬もいます。
集団で狩りし、獲物を確保していた犬は、早く食べないと自身の分がなくなってしまう、と考える習性があります。
別々の部屋で食事を与えることで、他の子に食事を取られる心配もなくなり、ゆっくり食べるようになる子もいます。
ケージやクレートで隔離するのも、本能で早食いする子には向いているでしょう。
■ 【実践してみた感想】
私と暮らす5頭のチワワのうち、1~3歳の3頭に別々で与えたところ、初めは変化がないものの、徐々にペース配分できるようになり、今では一緒に与えても早食いすることが減りました。
7歳、4歳の2頭は、一緒に食べることが当たり前になっていたためか、そわそわと不安感を抱き、食いつきが悪くなりました。
犬の性格や年齢、生活環境に配慮しながら、早食い防止食器や頻回食と併用しながら、ペース配分を調整する訓練をおこなうとよいでしょう。
まとめ
本記事では、犬の早食いの危険性について解説しました。吐き戻しや歯周病、胃捻転など犬の健康被害につながるリスクもあるため、できるだけ早食いさせない工夫をしたいところです。
早食い防止食器や知育おもちゃを活用しながら、ゆっくりと食べる習慣づけができると良いでしょう。
早食い防止対策はさまざまありますが、“うちの子”に適した対策が見つかるよう、犬と一緒に楽しみ、試せるとよいですね。
ペット栄養管理士・管理栄養士:村瀬由真
*1 4年制大学の管理栄養学科を卒業。食事と栄養の知識を活用し、動物病院や給食委託会社での勤務を経験。現在はチワワや猫たちと一緒に暮らすライター