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2024.09.02

犬は夏でも冷え性になる?!意外と気が付かない注意点や対処法を解説

犬は夏でも冷え性になる?!意外と気が付かない注意点や対処法を解説

ここ数年、異常なまでの高温な日が続き、夏の間はエアコンなしの部屋での生活が危険なレベルとなっています。
犬との生活も、エアコンを付けっぱなしにした涼しい部屋で過ごし、暑さを避けるために散歩の回数や時間を減らしている方も多いのではないでしょうか。

今、暑い夏のライフスタイルの変化で気を付けたいのは、エアコンの効いた部屋にとどまることで思いのほか冷え性気味になり、基礎代謝量の低下やシニア犬の関節痛などが起こりやすくなることです。

本記事では、動物看護士の経験がある筆者が、残暑を乗り越えるための犬の健康維持について解説します。気が付かないうちに健康リスクを高めないためにも、参考にしてみてください。

夏に起こる犬の冷え性の原因

犬も人と同じく冷え性になることがあります。
冷え性とは手足に存在する毛細血管の血流が滞り、冷えてしまう現象です。
暑い夏にも起こる犬の冷え性は、エアコンの効いた部屋や、散歩の時間が短くなり運動不足が原因な場合が多いでしょう。

 

■涼しすぎるエアコンの風

近年の暑すぎる気候の影響で、エアコンをつけっぱなしにしている家庭も多いでしょう。エアコンの冷たい風は、床近くに滞りやすく、犬と人間では体感温度が犬のほうが低く、犬は人よりも涼しいと 感じている可能性があります。
また、床で寝ている場合や、冷感素材のベッドなどを使っていると、体が冷えてしまうこともあるようです。

 

■運動不足によるエネルギー代謝量の低下

日中の散歩は、暑すぎるため外に出る機会も少なくなり、運動の時間が確保しにくいことが原因となり、結果的に代謝が低下することもあります。運動不足により、基礎代謝が落ちやすく、血液の循環が悪くなると体温が上がりません。
とくに、シニア犬は年齢とともに代謝も悪くなるため、エネルギー代謝量が低下し、冷え性になりやすいといえます。

 

夏に起こる犬の冷え性の注意点

冷え性になると、手足などの末端組織が冷たくなるだけでなく、食欲が低下したり、関節に痛みを生じたりと犬の健康に悪影響を及ぼす危険もあります。

 

■食欲の低下

人間の場合、エアコンによる冷え性である「冷房症」は倦怠感やだるさがあります。また、お腹が冷えることにより、胃腸の働きも悪くなるため、食べたものを消化するのに時間がかかりやすくなります。これらの症状が犬にも見られることがあります。
冷え性により、消化不良や食欲不振が起こり、免疫力も低下するでしょう。食べられないだけでなく、胃腸の機能が落ちることで便秘や下痢、軟便などの原因になる場合もあります。

 

■太りやすい体質の促進

体が冷えた状態が続き、結果として運動量が減ると、基礎代謝量を低下させる筋肉量も少なくなります。基礎代謝が下がると、エネルギーとして脂肪が使われないので、太りやすくなります。
食事量が変わらない場合はとくに肥満に注意です。食べた栄養素が消費されず、脂肪に変換されて体内に蓄積しやすくなるでしょう。結果的に夏太りに至ることも少なくありません。

 

■シニア犬に多い関節痛

冷えることにより関節に痛みが生じやすくなります。そもそも関節付近は、血管や筋肉が少なく、温める機能がありません。
エアコンの冷たい風がダイレクトに伝わりやすく、血管収縮や筋肉のこわばりが起こり、関節に痛みを感じます。関節痛というと寒い時期に起こるもの、というイメージを持つ人は多いですが、暑い時期にもエアコンによって起こることがあります。
とくに、関節の軟骨がすり減るシニア犬に多いため、より注意が必要です。

 

夏に起こる犬の冷え性の対処法

■適度な遊びや散歩で運動する

日中の暑さを避けるため、散歩での運動量が減っている場合も、エネルギー代謝を活性化させるために、適度な室内遊びで、運動時間を確保しましょう。

室内では、休憩を取りながら運動させるとよいでしょう。小型犬の場合、部屋の中で走るだけでも十分な運動量を確保できます。
また、プールや川遊びなど、水を使った遊びは全身運動になります。ちなみに我が家では、お風呂に30℃程度の水を入れ、水遊びを楽しんでいます。

 

■犬が快適な部屋の温度を維持する

犬が過ごしやすいと感じる生活環境を維持できるよう、温度計や湿度計を活用しましょう。一般に犬が快適と感じる気温は25℃前後、湿度は50~60%程度が理想です。犬の目線に合わせ、低い場所で計測するとよいでしょう。

短毛や小型犬には服を着せたり、冷えやすい床や寝床に毛布やタオルを活用したりと、冷えから身体を守る工夫をしましょう。また、犬自身が温度調節できるよう、エアコンを付けていない部屋に出入りできるようにするのもおすすめです。

 

■身体を温める食材を取り入れる

普段のドッグフードに、身体を温める作用のある食材を取り入れるのもおすすめです。
温熱性食品と呼ばれる、タンパク質の多い食材(とくに鹿、鶏、羊や鮭、ブリ、マグロ)、納豆、かぶ、かぼちゃがあげられます。

体温程度に温めた水やスープ、ウエットフードを加えるのも、食欲を高められます。

夏が旬のキュウリやトマトなどの野菜や、スイカなどの果物は、水分補給としても活用できますが、身体を冷やす食材といわれているので、冷え性が気になる犬には与えすぎないようにしてください。

 

まとめ

本記事では、暑い夏にも意外と起こる犬の冷え性について解説しました。
散歩時間が減り運動量が少なくなること、エアコンの効きすぎる部屋で過ごすことで起こりやすく、とくに近年の暑すぎる気象が続くときは注意が必要です。

エアコンによる冷え性は、室内でできる遊びや快適に過ごせる温度や湿度の維持、食事のひと手間で改善できるため、犬との夏の暮らしを見つめ直してみましょう。

ペット栄養管理士・管理栄養士:村瀬由真

*1 4年制大学の管理栄養学科を卒業。食事と栄養の知識を活用し、動物病院や給食委託会社での勤務を経験。現在はチワワや猫たちと一緒に暮らすライター