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2024.10.21

【要注意!】犬に与えられない飲み物は?理由と対策を紹介

【要注意!】犬に与えられない飲み物は?理由と対策を紹介

タンパク質や脂質など五大栄養素と並ぶくらい、水分補給は重要です。
日本の水道水は安全性が高く、犬にそのまま与えても問題ないものの、より健康に良い形で水分を与えたいと考える飼い主さんも多いのではないでしょうか。
また、人が飲んでいる飲みものに興味を持ったので、つい与えてしまったことがあるという方もいると思います。

犬に適さない食べ物と同様、注意が必要な飲みものもあります。
今回の記事では、犬には注意が必要な、人が一般的に飲む機会が多い飲みものについて解説します。犬の健康を維持できるよう、参考にしてみてください。

犬には注意が必要な飲みもの

犬の体内で、処理できない成分が含まれる飲みものは、体調を悪化させる可能性が高く、重篤な症状を発症させる場合もあります。
アルコールやカフェインを含む飲みものなど、誤って飲まないよう注意し、もし飲んでしまった場合は、できる限り速やかに動物病院で適切な対処をおこないましょう。

 

■アルコール

犬はアルコールを分解する能力がありません。
人間の場合、ほろ酔い状態になるとリラックス効果も期待できるため、適度な飲酒は問題ないものの、特に小型犬は少量でも危険です。

アルコールを飲んだ後、30分程度でふらふらしたり、ぐったりしたりするなどの症状が現れ、呼吸困難や意識障害になると命の危険性も高まります。
アルコールを含む、ケーキや発酵前のパン生地、消毒液などの誤食、誤飲も注意しましょう。

 

■コーヒー

コーヒーには、カフェインが多く含まれます。
犬はカフェインを分解する機能が人間よりも弱く、中枢神経を刺激しすぎて、中毒症状を引き起こすことがあります。

一般的なコーヒーのカフェイン含有量は、100mlあたり約60mgです。
犬の体格やカフェインの摂取量により症状は異なる、または症状を発症するのに時間を要するものの、約20mgのカフェインを摂取すると症状が現れるといわれます。

少量でもコーヒーを飲んだ場合は、落ち着きがなくなる、不整脈、けいれんなどの症状が起こる可能性があります。

 

■お茶

緑茶、紅茶、ウーロン茶などのお茶にも、コーヒーと同様にカフェインを含みます。
また、ポリフェノールの一種であるタンニンの含有量も多く、犬には適さない飲みものです。

タンニンは、抗酸化作用がある成分ですが、与えすぎると下痢や便秘を引き起こす可能性があります。
また、高齢期の犬や腸の機能が低下している犬には、消化する際の負担になることもあるでしょう。

カフェインやタンニンが含まれないコーン茶や豆茶、麦茶などは問題ないものの、無理に与える必要もなく、水で十分です。

 

■ココア

ココアはチョコレートと同様、カカオが主原料の飲みものです。
カカオにはテオブロミンが含まれ、犬の中枢神経を刺激します。

症状は数時間から半日程度で現れ、嘔吐や下痢、消化不良、失禁、心拍数の低下などを引き起こします。
誤飲から時間が経過していない場合は、動物病院で催吐処置をおこなうことが一般的です。

ココアは、チョコレートよりも高カカオで、テオブロミンの含有量が多いため、ココアパウダーを使用するパンやお菓子の誤食にも注意しましょう。

 

■エネジードリンク

エネジードリンクも、カフェインが豊富に含まれます。
また、糖分やアミノ酸など栄養価が添加されている商品も多く、犬が飲むとさまざまな成分が過剰摂取になる可能性が高いです。

カフェインはコーヒーやお茶と同様な症状を発症するため、危険性が高いです。
糖分やアミノ酸などの栄養添加物は、ドッグフードにも使われることがあり、危険はないものの、カフェイン入りのエネジードリンクから摂取する必要はありません。

エネジードリンクは犬が好む甘みが強いため、誤って飲まないよう注意してください。
ドッグフードに栄養価をプラスしたい場合は、栄養補給できる犬用の商品を選択しましょう。

 

犬に与えすぎると良くない飲みもの

犬の水分補給は水道水が適しており、さまざまな飲みものを与える必要は基本的にありません。
逆にできる限り控えることがおすすめですが、与える場合は、与えすぎないように量に注意しましょう。

 

■牛乳

犬が牛乳を飲むのは、少量、または薄めれば問題ありません。
牛乳には、乳糖が含まれるため、乳糖を分解するラクターゼと呼ばれる酵素が少ない犬は、上手く分解できずに下痢になりやすくなったり、便のニオイがきつくなったりします。
同様な乳製品でも、チーズやヨーグルト(上澄みの水分「ホエイ」には乳糖が多いため注意)は製造過程で乳糖は除外されるため、お腹を壊しにくく、犬も食べられます。

また、犬用ミルクやヤギミルクなど、犬がおなかを壊しにくいミルクを与えた方が安心です。

 

■ミネラルウォーター

ミネラル成分を含むミネラルウォーターを与えても問題ないものの、豊富に含まれるミネラル成分の排出に負荷がかかる場合があります。

ミネラルウォーターには、硬水、軟水があり、硬水にはカルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラル類が多く含まれます。
とくに腎臓に疾患のある犬や、子犬に硬水を与えることは避けた方が安心です。

犬は基本的に水道水でも問題なく、ミネラルウォーターを飲ませる必要はありません。断水時などやむを得ない事情で与える際は、ラベルに記載される水の種類を確認し、ミネラル成分の含有量が少ない軟水のほうがより望ましいです。

 

■炭酸飲料や野菜ジュース

コーラやサイダーなどの炭酸飲料や、野菜ジュース、りんごジュースなどは、糖分や食品添加物が多く使用されている商品もあります。
市販のジュースには、犬に適さないブドウやタマネギなどのエキスが含まれることもあり、注意が必要です。

一方、水に二酸化炭素を溶かした炭酸水は、消化器官が弱っている場合は刺激になるので控えた方が安心です。
また、野菜や果物を絞り作る手作りのジュースは、与える量に注意しましょう。食物繊維の取りすぎで軟便になる可能性があります。

 

■スポーツドリンク


人用のスポーツドリンクを日常的に犬に与えることは、おすすめできません。
スポーツドリンクには、ミネラル成分や糖分が豊富な商品も多く、過剰摂取となってしまうことがあります。

※犬用の経口補水液の作り方はこちら!

しかし、ミネラル成分や糖分を必要とする熱中症や脱水、低血糖などでは、スポーツドリンクが応急処置的に活用できる場合もあります。
もちろん、これらの症状がある場合は直ちに動物病院へ行き、獣医師の指示のもと、与えてください。

まとめ

犬の水分補給は、基本的に水道水で問題ありません。
様々な事情で水道水の安全面が気になったりするようであれば、浄水できる給水機を活用するのもおすすめです。

寒い時期やシニア期の犬は、積極的に水を飲まなくなる場合もあります。
より栄養価の高い水分補給を促したいときには、鶏肉のゆで汁や犬用ミルク、ヤギミルク、スープタイプのレトルトなどを選ぶとよいでしょう。

飼い主さんの食べ物や飲みものに興味を持つ犬には、誤食や誤飲を防ぐためにも、きちんと「ノー」といわれたものは食べないようにするトレーニングも合わせて行いたいですね。

ペット栄養管理士・管理栄養士:村瀬由真

*1 4年制大学の管理栄養学科を卒業。食事と栄養の知識を活用し、動物病院や給食委託会社での勤務を経験。現在はチワワや猫たちと一緒に暮らすライター