- コラム
2026.03.23
【#真のプロフェッショナルに迫る × #未来につなげる健康美】犬用ブラシの使い分け方、正しい扱い方をマスター! ~トリマー伝授~
あまり目立たないけれど、実は犬との生活を陰で支えている繊細なプロの仕事。犬と暮らしていくうえで知っておきたい情報や技術などについて、ある方面で専門性の高い"真のプロフェッショナル"の方々にインタビューした内容をお届けします。
併せて、ポチから誕生した「犬の理想の健康美」のための獣医学に基づく総合栄養食「ボディヘルス」シリーズのテーマにちなんで、各方面の方々から伺った"健康維持のための工夫"をご紹介します。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報ブラシの使い分け
犬用のブラシはさまざまな種類があるけれど、どう使い分けたらいい? 被毛の長さ、毛質などによるベストなチョイスと、それらを活用した正しいブラッシング方法を、愛玩動物看護師の国家資格を持つトリマーの細野明子さんに教えてもらいます。
ブラシの種類によって用途が異なる
犬用のブラシには、さまざまな種類があります。
犬の被毛の長さや毛質、体の部位によって、どのように使い分ければいいかを、Dog’s home SUNKSのトリマーである細野明子さんに聞きました。
ブラシの握り方や使う際の力加減など、正しい使い方も教えてもらいましょう。
写真は、左から獣毛ブラシ、左から2番目と3番目がピンブラシ、面が長方形なのがスリッカーブラシ、右2つがコーム(櫛)です。
ほかにラバーブラシやトリミングナイフ、ディシェダーと呼ばれる熊手型のブラシもありますが、飼い主さんが行う日常のお手入れでは一般的ではないので、今回は紹介しません。
同じ犬種でも、どの部位をどのように仕上げたいのかによって、使用するブラシは違ってきます。
たとえば、スリッカーブラシ。これは、くの字型になった細いピンがついているブラシで、人間では使用しません。では、特に扱いが難しいスリッカーブラシを使ったお手入れ方法から、見ていきましょう。
スリッカーブラシを使うケース
「スリッカーブラシは、人間より細い被毛を持つ犬のために作られました。
針金のように細いピンが密生しているので、犬の皮膚にピン先があたらないように、またはあたっても刺激がない程度で扱うのが最大の注意点です。ブラッシング前に飼い主さんの腕の皮膚などで試してみて、痛くない力加減を確かめてから使いましょう。このとき、自分の皮膚にひっかき傷が残るようであれば、力が強すぎると言えます。
スリッカーブラシを選ぶ際には、個人的にはピン先に丸い玉がついていないタイプがおすすめです。皮膚を傷つけないように玉がついていますが、うまく扱わないと玉つきのものは被毛がからまりやすい印象です。力加減さえ気をつければ、玉のついていない従来のスリッカーブラシのほうが、本来の目的である、中毛から長毛犬種の全身の被毛をとくのに最適です。
どのブラシも同様ですが、使用する際は毛並みに沿って動かしてくださいね」(細野明子さん、「」内以下同)
毛並みに沿って、弱い力でブラッシングをしていきます
スリッカーブラシは毛玉をほぐすのにも有効です。
「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやプードル系など、垂れ耳犬種は耳の付け根が毛玉になりやすいですね。洋服をよく着る子も、洋服との接触部が毛玉になりやすいです。
毛玉予防のためにも、最低でも1日おきの頻度でブラッシングをするのが理想です。
なお、乾燥して静電気が起きやすい時期は、ブラッシングスプレーを、犬の身体から30cmくらい離れた距離から噴霧しておきましょう。」
部屋が乾燥していたら、犬の目に入らないように注意しながらブラッシングスプレーをかけます。
スリッカーブラシは鉛筆や卓球ラケットのように持ち、手首をやわらかく使うのがコツ。
毛玉が硬いと、ブラッシングによって犬の耳の皮膚が裂ける恐れがあるので、先に飼い主さんの手で毛玉をほぐしてあげてください。
被毛の根元から、毛並みに沿ってスーッとスリッカーブラシで被毛をといていきましょう。
被毛がブラシにからまるのを防ぐために、実際の被毛の長さの倍、空中で動かし続けてフィニッシュするのがプロのテクニックです。
“足”と“しっぽ”のスリッカーブラシの使い方
カーリーな毛質の犬種や、シー・ズーやマルチーズなどの足先が白い犬種は、散歩中に足先の被毛が汚れたりからまったりしがち。
「足の被毛の汚れやゴミなどを取るのにも、スリッカーブラシが適しています。
脇の下にも毛玉ができやすいので、足は念入りにブラッシングをしてあげてください」
脇の下に限らず、毛玉は最初に飼い主さんの指でほぐすと犬への負担が減ります。
脇の下をブラッシングする際は、犬の前肢が横開きの無理な姿勢にならないように気をつけて。犬の足先はなるべく鼻先のほうにむけながら、少しずつやさしい力でスリッカーブラシをかけます
スリッカーブラシは、スッスッとテンポよく毛束をほぐすイメージで動かしましょう。
足の写真は、こちらから見て右がビフォー、左がブラッシング後。アフターは被毛に付着した灰色の汚れも取れてキレイになりました。
しっぽはデリケートな部位で、ほとんどの犬が触られることを好みません。
しっぽの付け根から先まで一気にブラッシングするのではなく、根本からいくつかのブロックごとに分割してとくのがポイント。毛並みに沿って、スーッと流すようにスリッカーブラシをかけます。
しっぽに毛玉があった場合、ある程度までは指でほぐします。その後、毛玉の下に飼い主さんの手を添えて、手のひらの上で毛玉をほぐすようにブラッシングを。そうすれば、犬の皮膚を傷めません。
最後は尾先まで、ていねいにブラシをかけましょう。
顔まわりはコームも活用
「顔まわりの被毛が長い犬は、スリッカーとコームの両方を使用します。
まずはスリッカーで目の周辺以外、その後、コームを使って仕上げをしていきます」
スリッカーブラシでひととおり、顔まわりの被毛をブラッシング。その後、毛玉などが残っていないか確認をするようにして、コームで被毛をときます。
目ヤニは、コームで取ります。犬の目を傷つけないように、先端は鼻のほうを向けて細心の注意を払いながらといてください。
毛玉がないか確認する意味で、耳の被毛が長い犬種は最後にコームを仕上げに使うと良いでしょう。
用途多様なピンブラシ
「ピンブラシは、毛玉ができにくい長毛や中毛の子に使いやすいですね。
スリッカーブラシをする前の準備として使うのもおすすめです。
犬専用よりも安価な、人間用を使っても問題ありません」
毛並みに沿って、人の毛をとかすようにしてブラッシングを。写真は左が犬用ピンブラシで、右が人間用。使いやすいものを探してみてください。
短毛の犬には獣毛ブラシ
「短毛の犬も、ブラッシングが必要です。とくに獣毛ブラシは、ホコリや花粉や黄砂などの物質を散歩後や帰宅時に払うのに有効です。獣毛ブラシは被毛のツヤを出したり、マッサージ効果で皮膚の新陳代謝を促したりもできるので、ぜひ短毛の犬のために活用してくださいね」
獣毛ブラシをかけると、マッサージのように気持ちよさそうにする犬も少なくありません。
毛並みに沿って、なでるように使います。
スムースコートのチワワやフレンチ・ブルドッグやミニチュア・ピンシャーなどに、獣毛ブラシは適しています。ブラッシングが終わったら、抜け毛も取れて毛づやも出てスッキリ!
ブラッシングは、飼い主さんとうちの子とのスキンシップやコミュニケーションのひとつでもあります。飼い主さんも、やさしくうちの子に話しかけながらリラックスを。
時にはおやつをうちの子にあげたりしながら、プロ伝授のワザを活かして楽しいブラッシングタイムを過ごしてくださいね。


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健康維持のための工夫 By細野明子さん
我が家のゴールデン・レトリーバーのぼんには、トリマーという職業柄、ブラッシングなどで触るたびに耳や皮膚をチェックしています。日ごろからよく身体を触っているので、できものなどの発見も早くでき、小さな変化も見逃さず健康維持にもつながっています。
皮膚の保湿も心がけていて、日ごろのブラッシング時も保湿スプレーは欠かせません。
■ 指導:細野明子さん
Dog's home SUNKS (千葉県柏市)の愛玩動物看護師の国家資格を持つトリマー(グルーマー)。トリマーとしての20年以上のキャリアのうち、3年半は香港でトップスタイリストとして日本の技術を提供。帰国後は、大手トリミングサロンのエリアマネージャーや専門学校講師として活躍。独立後、渡米した研修先で「カット技術よりも、犬にとって良いことを優先する」考え方に共感し、現在は『犬と飼い主さんにとってのベスト』という視点からスタイルの提案をしている。
■ 文・取材:臼井京音


