2018.12.06
クリスマスの謎!サンタはどこから来たのか?
"クリスマスはイエス・キリストの誕生日(とされている日)"です。
私は中学・高校そして大学とキリスト教系の学校で青春を過ごしました。ご存知の方も多いかと思いますが、キリスト教の学校にも2種類あり、カトリック系教会が母体となっているカトリック系の学校と、プロテスタント系教会が母体になっているミッションスクールがあります。
私の場合は中高がプロテスタント系、大学がカトリック系という両方の学校で学んだのですが、どちらの教会でも共通した聖書が使用されており、買い換える必要もなく合計10年以上同じ聖書を使うことができました。
さて、枕が長くなりましたが、中高のプロテスタント系の学校では、クリスマスのシーズンになると、生徒たちがイエスキリストの誕生の場面を再現する降誕劇を披露するというイベントが毎年ありました。
そのため、私たち生徒にとってクリスマスといえば「イエス様が生まれた日ね」という認識だったのですが、世間ではイエス様やマリア様を差し置いて、赤い服を着た白いひげのおじいさんがまるで主役のような扱いではありませんか。
そういえば、サンタクロースってどこから来たんだろう…?皆さまはご存知ですか?
降誕劇(ページェント)ってご存知ですか?
これこそが私の抱く違和感の最たるものだったのですが、聖書を元にしたクリスマス当日の物語を劇にしたいわゆる降誕劇に、サンタクロースは影も形もありません。
登場人物は、イエスの母・マリア、その夫のヨセフ、受胎告知で有名な天使・ガブリエル、それから羊飼いや町の人々、羊、馬などの動物たち、それから三人の博士たちくらいのもの。
大まかな話の筋としては、神の子を身ごもったマリアとヨセフ夫妻がベツレヘムへ向かうのですが、道中でなかなか宿が見付からず、産気づいたマリアを連れてようやく見つけられたのが家畜たちの暮らす小屋でした。屋根があるだけありがたい、と休んでいたのですが、そこで遂にマリアはイエスを産み落とします。
イエスが生まれたと同時に星が輝き、それを目印に三人の賢者や羊飼いたちがその誕生を祝いにやってきます。神の子たるイエスの姿を見るや、博士たちは黄金・乳香・没薬をこの新しい王に贈り物としてささげたのでした。
……ここで降誕劇は終わります。
やっぱりサンタクロースは出てきません。
サンタクロースの正体とは……?
さて、肝心のサンタクロースですが、実はモデルとなった人物がいます。それは実際にイエス様が生まれたその日よりずっと後、紀元4世紀頃、東ローマ帝国の司教であった聖ニコラスという人物でした。
聖ニコラウスを英語で読むと、Saint Nicholaus(セイントニコラス)。これがなまってサンタクロースと変化したと考えられます。
ある日、聖ニコラスは、貧しい家族の子どもたちが身売りさせられそうになっていることを知ります。これをどうにか助けたいと考えたニコラスは、夜中にこっそり、この家を訪れて、窓から金貨を数枚家の中へと投げ込みました。この金貨は偶然吊るしてあった靴下の中へと入り、この金貨のおかげで子どもたちは家族とまた暮らせることになった、という伝承が残っています。
心優しいニコラスを称え、教会で定められたニコラスの祝祭日は
、宗派や地域などによって異なりますが、12月中にあります。
この伝承と、近い日程で行われていたイエス降誕の礼拝・ミサが結びつき、イエスの誕生にあわせてプレゼントを持ってくる三人の賢者とクリスマスの日のプレゼントを持ってくる、聖ニコラス=サンタクロースが重なって、現在の「クリスマスの日に子どもたちにプレゼントを贈るおじいさん」というイメージが固まったものと推測されます。
近現代のサンタクロース
さて、このクリスマスのプレゼントを配り歩くおじいさん=サンタクロースの風習が世界的に知られることになった大きなきっかけは、ずばり、誰もが知っているあの炭酸飲料メーカーにありました。
自社のロゴの配色と全く同じ装いをしているサンタクロース(もう皆さんお分かりですよね?あの会社です)を、クリスマスシーズンの広告に大々的に打ち出し、炭酸飲料の広まりと共にこの赤と白のイメージを定着させたといわれています。
実は、それまでは世界各地でサンタクロースの衣類や装いの色合いはてんでバラバラ。緑や茶色のサンタクロースまでいたのだそう。
そしてクリスマスの日にプレゼントを持ってきてくれる陽気なおじいさん……というだけではなく、(世界)無形文化遺産になった日本のなまはげのように、悪い子にお仕置きをする役割を持ったサンタクロースもいたのだそうです。
しかしこの広告が広まった結果、今のサンタクロースに限りなく近いイメージで世界中の「サンタクロース」は統一されることになりました。
ちなみに、日本にサンタクロースやクリスマスのイメージが輸入されたのは、約100年前のこと。戦争を経て、西洋の文化が徐々に庶民にも浸透するのに合わせて、冬のイベントとしてクリスマスやサンタクロースがあの炭酸飲料とセットになって広められたとされています。
サンタクロースは今どこにいるの?
さまざまな科学技術が発展した現在ですが、実はサンタクロースの追跡が行われているのはご存知でしょうか?今ではインターネットでサンタクロースの現在地を調べることも可能なのだとか……。
ことの始まりは今から約60年前のこと。とあるアメリカの百貨店がクリスマスを楽しみにしている子どもたちのために、サンタクロースホットラインという電話のサービスを行っていました。ところが、子どもたちのかける電話ですから、間違い電話が多発。遂にはなんと、アメリカ航空宇宙防衛司令部(!)へと繋がってしまいます。
子どもたちは無邪気に「サンタさんは今どこにいるの?」と世界の空と宇宙の管制を担うエリートたちに質問します。普通なら怒るところなのかもしれませんが、当時の担当者は「レーダーで確認してみようか」と最新技術で追跡をしてその結果を子どもに伝えたのだそうです。
もちろん子どもたちを喜ばせるための洒落だったのでしょうが、これが現在でもボランティアやアメリカ航空宇宙防衛司令部の職員たちの手によって続けられているのだそうです。なんだか夢がある素敵なお話ですよね。
そうそう、日本にもサンタクロースの公認試験に合格したサンタさんがいるのだそうですよ。
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POCHI スタッフ OKAPY
歴史と犬猫を愛するスタッフ。幼い頃は秋田犬と暮らす。今は猫と同居中。
学生時代の専攻は日本古代史における伝染病のほか、民俗史や習俗など。
でも生涯を通じて一番好きな題材は三国志・三国時代。
好きな犬のタイプはスピッツタイプ。アラスカンマラミュートやハスキー、サモエド、秋田犬など。大型犬と触れ合うと漏れなくテンションが上がります。