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2019.04.22
畑の肉、大豆は犬にとって良い食材?与えても大丈夫?
世界的にも人気が高まり続けている日本食。その健康を支える一つの柱としてたびたび紹介されるのが、大豆です。
人間に対しての有効性は健康、美容などで活用されていますが、健康維持などに役立つ代表的な成分としては、植物性タンパク質や豊富な繊維質や大豆イソフラボンなどがあります。
犬にとっても大豆は上手く食べさせることができればとても有効な成分を取り入れることができる食材です。ほかにも知っておくと「ちょっと嬉しい」成分が含まれていたり、大豆を使った豆腐などには大豆サポニンや亜鉛、栄養ドリンクにも入っているアスパラギン酸まで含まれていて、使わないのがもったいないというような食材なのです。
今回は犬にとって大豆はどのような食材なのか、嬉しい食材なのか、食べさせる時のポイントなどについてご紹介します。
大豆に含まれる犬に嬉しい栄養素とは。
大豆は、「畑の肉」と呼ばれるほど、タンパク質が豊富な食材です。ただし、大豆に含まれるタンパク質は植物性タンパクと呼ばれるものです。大豆に含まれるアミノ酸スコアの種類をチェックしてみると、白米との相性が非常によく、一緒に摂取すると必須アミノ酸をほぼすべてバランスよく摂取できるようになります。腎臓のトラブルなどでリンを抑える必要がある犬は、肉や魚などのタンパク質を抑えた食事を摂取する必要がありますので、そういった時には大豆と白米を上手く組み合わせた手作り食を食べさせてみるのも、気分転換として良いかもしれませんね。
また、大豆に含まれているタンパク質に関連する成分でいまもっとも注目されているのが、β-コングリシニンと呼ばれる成分。
これは、豆などの植物が発芽する際に栄養やエネルギーを貯蔵する働きを持っているタンパク質で、大豆タンパクの20%を占めています。つまり、発芽前でしっかり栄養を溜め込んでいる植物の種子や豆類であればあるほど、β-コングリシニンは豊富に含まれているということになります。
今はまだ、β-コングリシニンについては複数の研究機関での研究が進められている段階なのですが、脂質や糖の代謝に深く関わる成分だと考えられています。
体内で脂肪や糖の代謝を促進し、これらの栄養の分解を促す作用があるようです。
将来、この働きを利用して、血糖値や体重などのコントロールに利用できるようになるかもしれませんね。
犬に大豆を食べさせるなら、こんな食事がオススメ!
β-コングリシニンは、大豆などのタンパク質に含まれている栄養。だから、大豆を食べることでβ-コングリシニンも摂取することになります。
でも、大豆はきちんと調理(加工)しなければ、消化されにくい食材です。
そこでおすすめしたいのが、簡単に手に入る豆腐を活用すること。大豆を加工した豆腐などなら、より手軽に大豆が持っている栄養素を摂取することが可能になります。
犬たちに与える時には、豆腐を軽く潰してフードのかさ増しとして活用したりするほか、おからなどを使用したオヤツを与えてみるのも良いかもしれません。豆乳をオヤツやスープなどに少しプラスすることもオススメです。
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プレミアムフードの原材料には大豆が使われない傾向が見られます。
それは今から25年ほど前に新規参入メーカーが、それまで君臨していたプレミアムフードの原材料である脱脂大豆を良くない原材料として攻撃した影響ではないかと思われます。確かに脱脂大豆は大豆油の絞りかすであり、通常人間の食品にはなりません。カテゴリー的には大豆油副産物として家畜のえさなどに使われます。副産物=悪といった構図が、畑のお肉と言われる植物性タンパク源の代表選手である大豆が嫌われている理由なのかもしれません。
大豆と米を一緒に食べると肉に劣らないアミノ酸スコアが得られます。
肉の生産による環境に与えるダメージの大きさが指摘されてきていることからも、大豆がペットフードの原材料として再び評価されることになるかもしれません。