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2020.07.16
梅エキス、「梅の実」や梅干しを犬に食べさせても大丈夫?どんな効果があるの?
梅雨という言葉にも含まれている梅。おにぎりの具材でもある身近な食材「梅干し」はなかなか自宅で作れませんが、近頃さまざまな使い方ができる梅シロップなどを手作りしている方が多くなりました。
私たち日本人にとって梅干しが健康や衛生にうれしい食材としてお馴染みですが、犬にとっても同じように健康にうれしい食材なのでしょうか?
ちょっとした話題としてお楽しみください。
梅にはどんなうれしい成分が含まれているの?
私たちにとってはお弁当などにいれることで傷みを抑えてくれたり、適度な塩分を摂取することで熱中症などの予防にも役立てられている梅干しですが、犬にとっても嬉しい食材なのでしょうか?
梅自体にはクエン酸、リンゴ酸をはじめとしたさまざまな酸が豊富に含まれています。クエン酸は菌の繁殖を抑えるほか、疲労回復にも役立つ成分といわれています。
また、梅に含まれるカテキン酸は胃腸の働きをサポートし、ピクリン酸は肝臓の働きを助けるといわれています。
また、梅の実を煮詰めて作られた梅肉エキスには、フィトケミカルのムメフラールという成分があります。ムメフラールは梅エキスにのみ含まれているフィトケミカルで、加熱によってクエン酸と糖が結びつくことでムメフラールが作られるので、生の梅や加熱調理しない梅シロップには含まれません。ムメフラールにはスムーズな血流に役立つ成分とも言われています。
■ 梅干しが腐らない理由
お弁当などに入れると傷みを抑えることができる梅干しですが、その理由は、梅干しに含まれているクエン酸の働きによるものです。
クエン酸はとても強い殺菌作用を持っているので、食べ物が腐敗するときに働く菌が増えるのを抑えてくれます。また、梅干しは塩に漬け込んで作りますが、この塩も水分を吸ってしまうので腐敗菌が増えやすい水分量が多い環境を作りにくく、より腐敗しにくくなります。
クエン酸は現在でも防腐剤として食品などにも使用されています。
梅干しと一緒に保存すると腐敗しにくくなるという梅干しの特長は犬にとっては利点になりにくいですが、これも自然由来の防腐剤のような働きです。昔の日本人の暮らしの知恵ですが、改めてその仕組みを知るとちょっぴり違って見えてきますね。
犬に生の梅を食べさせても大丈夫?
初夏に、梅の木々のあるコースを犬と一緒に散歩していると、たまに梅の実が落ちていることがあります。これを犬がパクッと食べてしまいそうになる姿にドキッとした飼い主がいるかもしれません。
加工していない梅や種にはアミグダリンという成分が含まれています。熟しきっていない梅に含まれているこの成分は加水分解酵素=消化酵素によって加水分解されると毒性を持つという特長があるので注意したいところです。
ただし、梅の実の部分は熟していく過程で徐々にアミグダリンは分解されて無害化されていきます。
とはいえ、梅の種は大きくて非常に硬く、のどに詰まらせたり、消化不良で下痢になることもあります。
道端に落ちている梅の実の場合、熟しているかどうか微妙だったりしますから避けたほうがいいですね。
ご家庭で作った梅シロップなど砂糖漬けして熟した状態になっている梅の実は糖分が多いという点でちょっと注意は必要ですが、実だけを取り出して少量刻んでヨーグルトに入れるなどたまになら一緒に楽しんでもいいと思います。
おわりに
今回は梅シロップを作るご家庭が多くなったので、梅にどんな栄養が含まれているのかのおさらいと、梅の実は犬の健康にどうなのか?をご紹介しました。
梅自体にはよく知られている健康成分が含まれます。シロップ漬けの梅ならデザート感覚でたまに活用、またフルーツ感覚で実を与えるなら完熟したもの、と言いたいところですが犬が好む味なのかは疑問です。
これからの季節、さっぱりした味つけに、疲労回復に、と飼い主にとっては大活躍する「梅」ですが、意外にも犬には活用の幅がなく残念でした。お散歩中、道端で梅の実が落ちていたら、食いしん坊な犬は興味を示すかもしれませんが、青い実や種には注意したいので食べないよう誘導しましょう。
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ちなみに、梅によく似た見た目をしている花をつける植物に蝋梅(ロウバイ)がありますが、梅とロウバイは別の種類です。梅はバラ科の植物ですが、ロウバイはクスノキ目ロウバイ科の植物です。ロウバイのつぼみは解熱や咳止め、のどの痛みの薬に使用されるほか、根も生薬として使われています。
ロウバイの実はというと、梅と違ってアルカロイド性の毒があるといわれているので与えたりすることはできません。梅と書いても全く違う植物なんですね。