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2021.08.10
【#大きな犬と】老犬介護士が伝授!介護のお役立ちアイデア7選
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、遊びや食事や健康といった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報「介護」
大きな犬は体が重いので、老犬になると介護が大変です。少しでも寝たきり生活を減らすための筋トレ方法から、寝返りの打たせ方やおむつの工夫などを、老犬介護士の平端弘美さんに教えていただきます!
寝たきりや認知症を予防するために
動物病院や自宅訪問で老犬介護士として高齢犬のケア活動をしている、平端弘美さん。シニア犬になる前から、飼い主さんにぜひ介護についての知識を備えて欲しいと訴えます。
「まだ元気に動けるうちから、筋肉を“貯筋”するのが大切なんです。それが将来、寝たきりの予防につながりますから。もし、大型犬に多い靱帯損傷などをして後肢が不自由になってしまったら、車椅子を使い、前肢で歩かせる運動をさせるのがおすすめです。きっと、大きな犬たちも笑顔で歩いてくれることでしょう。散歩や飼い主さんとのコミュニケーションなどによる、脳への刺激も欠かせません。刺激が足りなくなると認知症の発症リスクがアップするので、老犬になっても庭やベランダに出してあげるだけでも、ぜひ日課にしてあげてくださいね」
このように語る平端さんから、老犬生活に役立つ7つの知恵を伝授してもらいました。
アイデア 1筋トレと体幹トレーニングで寝たきり予防
シニアドッグになったら、室内で簡単にできるトレーニングを日課にしたいものです。
おすすめは、バランスディスクを使った筋トレ。加齢に伴って衰えがちな、大きな犬の体幹と下半身の筋肉を鍛えられます。
<1>おやつなどを使って、ディスクに前足が載るように誘導。
<2>前肢が不安定な状態になり後肢で踏ん張るので、体幹と後肢の筋肉が鍛えられます。
アイデア 2マッサージとツボ圧しを日課に
高齢になってくると、大型犬は重い身体を動かすのが面倒になって、同じ姿勢で寝続けがちに。あまり動かないでいると、血行が不良になったり、内臓に負担がかかったりします。そんな大きな犬たちの健康を促進するために、マッサージやツボ圧しを毎日の生活に取り入れましょう。
<1>起床時など、大きな犬の身体が硬くなっている時に、両手で背中を撫でてあげるだけでも血行促進につながります。
<2>高齢になると痛いところも出てくるので、あまり力を入れすぎず、背骨の脇をゆするようにしてツボ刺激を。
<3>脇の下のリンパ節を、人差し指の側面を使って、ゆっくりクルクルと回すイメージでマッサージ。
<4>肢の付け根である鼠径部も同様に、人差し指の脇を使ってほぐし、老廃物を流してあげましょう。
<5>膝の裏側も、小指の側面を使って刺激をしてあげれば、後肢をラクに動かす手助けになります。
アイデア 3ストレッチで筋肉を柔軟に保とう
大きな犬は、老犬生活に入るとさらにゆったりと過ごしがちになるでしょう。筋肉はあまり使わないでいると固まってしまい、歩行の能力すら落ちてしまうので要注意。定期的なストレッチで、筋肉の柔軟性を保つように心がけましょう。
前肢と後肢のストレッチをすると、猫背や縮まった姿勢が改善され、大きな犬たちも動きやすくなります。
<1>大きな犬が寝たままの状態でもOKなので、ゆっくりと肘を曲げ伸ばししてみましょう。
<2>後肢もゆっくりと引くのがポイント。曲げると自ら伸ばそうとするのは元気な証拠。
アイデア 4寝返りを打たせるコツ
大きな犬は身体が重いため、寝返りを打つのが億劫になるかもしれません。同じ姿勢でいると床ずれ(褥そう)ができたり、筋肉がカチコチになってしまいます。理想的には、2~3時間おきに身体の向きを変えてあげたいものです。ただ、飼い主さんが四肢を握ってバタンと寝返りを打たせると、胃捻転を起こす危険性があります。筋肉量が落ちている老犬は、内臓を支えている筋肉の力も弱まっているからです。
大きな犬に負担のない適切な方法で、寝返りを打たせてあげましょう。
なお、横になっている時間が長い高齢犬におすすめなのは、高反発マット。低反発だと身体が沈み込んで寝返りが打ちにくいものですが、高反発のほうが体圧が分散され、褥そう予防にもなります。
<1>横になっている大きな犬の背後にまわり、上半身を起こして座らせるか伏せさせます。
<2>伏せの姿勢で後肢を折り曲げ、スフィンクスのような状態にします。
<3>人が上から覆いかぶさるようにして犬の身体を支えながら、ゴロンと向きを変えます。
アイデア 5褥そうパットの作り方
こまめに寝返りを打たせたり高反発マットを使っても、同じ姿勢で寝ていると、体重のある大型犬はどうしても床ずれ(褥そう)ができやすくなります。
そんな時は褥そうパットの出番。ペットシーツ、キッチンの三角コーナーの穴あきビニール袋、サージカルテープ(不織布テープ)を使って簡単に手作りできるので、覚えておけば役立ちます。
トイレシーツとキッチンの三角コーナーの穴あきビニール袋を傷よりやや大きめに切って、サージカルテープで四方を止めます。それを、犬の被毛が抜けにくいサージカルテープで褥そうにくっつけましょう。その際、ビワの葉エキスをパットに塗り、褥そうができた皮膚をケアするのもおすすめ。
アイデア 6おむつは人間用を活用
筋肉が衰えてくると、どうしてもトイレまで間に合わずにおしっこをしてしまいがち。そのような高齢犬や、立つ力も弱くなった超高齢犬には、おむつが必要になるでしょう。
おむつは、人間の赤ちゃんや高齢者用のものに尻尾の穴を開ければ、犬にも使えます。
オスには、ペットシーツを折り畳んで巻く方法も簡便です。
<左>尻尾の穴は三角形に開ければ時短になります。ポリマーが出てこないようにサージカルテープを貼りましょう。
また、腰の部分でテープを貼るタイプの赤ちゃん用のおむつの場合、人間とは逆で犬の背中にテープが来るようにして使ってください。
<右>オスの大型犬には、大きめサイズのトイレシーツを三つ折りにして巻き、不織布テープで止めるとよいでしょう。
アイデア 7シャンプーやドライヤーはひと工夫で負担軽減
老犬になると、お風呂場でのシャンプーやドライヤーで体力を消耗してしまいます。
シャンプーは、汚れが気になるところだけ部分洗いすると負担を軽減できます。その際、食器用のスポンジや100円ショップにある化粧用スポンジパフなどがあれば便利。
また、ドライヤーの使い方も工夫して、熱風によるダメージを防ぐように心がけましょう。
<左>洗面器のお湯で汲み置き洗い。あらゆるグッズを利用して、顔まわりなどを清潔に保ちましょう。
<右>ドライヤーは、洗面器などに風を当てて跳ね返る風で乾かすと熱による負荷の軽減が可能。
老犬介護は時短と工夫が大切
大きな犬の介護は、飼い主さんも力が必要なので大変です。赤ちゃん用品店やホームセンターで、介護に役立ちそうなグッズを探すなど、介護生活の中にも楽しみを見つけながら続けたいものです。
飼い主さんが暗い顔やつらそうな表情をしていたら、犬も申し訳ない気持ちになってしまうかもしれません。笑顔でたくさん話かけながら介護をすれば、きっと犬たちも安心してうれしい気持ちでいられるでしょう。
介護生活に疲れてしまったら、月に1日でもいいので、平端さんのような訪問ケアをしているプロにお願いして息抜きとエネルギーチャージをするのもおすすめです。
今回のモデルは、16歳のラブラドール・レトリーバーのもろっこちゃん。飼い主さんの日頃のケアが行き届いているので、ツヤツヤの黒い被毛は健在。顔まわりの白髪も、黒ラブの高齢犬ならではの愛らしさを引き立てています。
ライター:臼井 京音
■ 指導:平端弘美さん
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