- コラム
- 大きな犬と
2024.01.25
【#大きな犬と】ツボ刺激と食事で"温活"。健康に冬を過ごす秘訣を獣医師が伝授
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、健康や食事や遊びといった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報温活
東京都八王子市の「アキホリスティック動物病院」院長で、東洋医学にも詳しい菅野晶子獣医師に、大きな犬の“温活”につながるツボ刺激方法やトッピングに役立つ食材を教えていただきます。「身体はただ温めるだけでなく、潤すことも大切」と説く菅野獣医師からの役立ち情報を、うちの子の健康ライフにぜひお役立てください。
うちの子の冷えレベルは?
“温活”をする前に、まずはうちの子の冷えレベルをチェックしましょう。
「大きな犬の身体が実は暖房器具や洋服で温かいのであれば、あえて温活を積極的にする必要はありませんからね。
ちなみに、エアコンやストーブなどで暖かい部屋では、健康上の問題がない犬に洋服を着せないでおきましょう。皮膚が蒸れたりする原因になってしまいます」
アキホリスティック動物病院の菅野晶子獣医師は、そう語ります。
うちの子の冷えレベルは、足裏の肉球(パット)を触ればわかります。
「散歩から帰ってきたばかりのタイミングだと、どの犬も足裏が冷たいので、室内でリラックスしている状態の肉球を触ってみてください。
飼い主さんが触って犬の足裏が冷たいと感じたら、うちの子の身体も冷えていると思って良いでしょう。すごくひんやりしていると感じたら、非常に冷えています」(菅野獣医師)
乾燥も大敵!潤い度もチェックして
もし冷えていなくても、乾燥がないかも確認しておきたいものです。
「温めすぎると乾燥を招いてしまうので、ただ温めれば良いわけではないのです。
人だけでなく犬の身体も、体内の水分量が不足している状態は好ましくありません。乾燥しやすい冬期こそ、身体の潤いを保つことが健康生活の秘訣です」(菅野獣医師)
うちの子の潤いレベルは、足裏と鼻を触ればわかります。
「肉球がカサついていないかどうか、ザラついていないかどうかをチェックしてください。とくに、若齢の犬の肉球はプニプニと柔らかいものです。ところが、ザラザラ、カサカサである場合は、身体の水分量が不足している可能性があります」(菅野獣医師)
なお、足裏は、4本の足すべての肉球を触るようにしましょう。1本だけ足を折り曲げて胸の下に敷いていたなどの物理的な理由で、温かかったり潤っていたりするケースがあるからです。
「肉球が乾燥していると切れたりしやすく、肉球の傷から感染症にかかりやすくなるので要注意。乾燥している場合、肉球クリームなどで潤いを補ってあげるのがおすすめです」(菅野獣医師)
睡眠時以外で、大きな犬の鼻を触ってカサカサしているときも、身体が乾燥しているケースが多いとも、菅野獣医師は言います。
ではさっそく、冷えや乾燥からうちの子を守る“温活”になる、ツボ刺激と食材について、紹介していきます。
温活になるツボ・マッサージ2選
人間の鍼灸師の資格も持つ菅野獣医師から、大きな犬の“温活”にぴったりなツボを2つ、教えていただきました。
「うちの子のツボをピンポイントで探しあてて圧すのは、飼い主さんにはむずかしいかもしれません。そのツボのまわりをマッサージするような感覚で刺激してあげるとツボにもきっと当たるので、気軽にツボ刺激をしてみてくださいね」
ツボ刺激(1)足三里(あしさんり)
場所:後肢の両膝の外側の斜め下
大きな犬の身体が冷えてしまうと、下痢や便秘、食欲不振など胃腸障害が出やすくなります。冷えると膝関節なども痛みを生じやすくなるでしょう。
また、乾燥していると咳をしやすくなったり、冷えが原因で体内の水分や老廃物をうまく排出できなくなってしまう可能性も高まります。
このように、消化器症状全般や膝痛の改善、むくみ解消、鎮咳に効果があるのが、足三里のツボ。寒く冷えがちでも元気に冬を乗り越えられるように、足三里のツボ周辺をやさしくほぐすようにマッサージしてあげましょう。
ツボ刺激(2)天柱(てんちゅう)
場所:後頭部と首をつなぐ環椎から、翼のように出ている環椎翼という骨の後縁(首に近い部分)にあるくぼみ
寒いと身体を縮めて歩きがちなのは、犬も同じ。とくに、大きな犬は散歩で太めの首輪をするケースが多いので、首や肩が凝りやすいものです。
冷えて硬くなった首や肩の血流を良くするツボである“天柱”を刺激して、全身の気の流れを良くしてあげましょう。
環椎翼という、首の最上部にある翼のように横に飛び出ている骨のまわりのくぼみを、飼い主さんの指先でもんであげてください。
身体を温める&潤す食材を活用しよう
寒さに負けない健康な生活を送るためには、ドライフードのトッピングなどに使う食材選びにも気を遣えればベストです。
「飼い主さんが鍋料理などで使う野菜や肉などをゆでて、うちの子にあげると良いでしょう。以下、薬膳で使用する食材を中心に、身体を温める食材と身体を潤す食材の代表的なものを紹介しますね」(菅野獣医師)
■ 身体を温める食材
・羊肉……身体を温める作用が強く、冷え性を改善します。
・鶏肉……胃腸を温めて元気にします。
・鹿肉……身体を温め、エネルギーを補います。
・鮭………エネルギーを補い、胃腸を元気にします。
・じゃがいも……おなかの冷えを改善します。
・くるみ…身体を温めます。腸を潤して便通を促し、咳を鎮めます。
・かぶ……心肺やおなかを温め、消化不良や便秘を改善します。
・かぼちゃ……胃腸を温めて、心身のエネルギーを補います。
・大根……身体を温めて元気にします。
・黒ゴマ…五臓の冷えを改善します。(すりたてのトッピングがおすすめ)
■ 身体を潤す食材
・蓮根……肺を潤します。
・小豆……利尿作用があり、むくみを取り除き腎機能を改善します。
・大根……身体を温めて元気にします。
・黒きくらげ……肺を潤します。咳を鎮めます。
・にんじん……身体の潤いを補い、目の乾燥を改善します。
・山芋……肺を温めて元気にします。
・黒豆……血行を良好にし、余分な水分を排出して内分泌の働きを調整します。
POCHI編集部員からのQ&A体質を考慮してうちの子にぴったりな生活を
最後に、ポチ編集部員からの“温活”に関する質問に、菅野獣医師に答えてもらいました。ひょっとすると、うちの子も“陰虚”タイプでは?
Q(POCHI編集部員):
同じ犬種を多頭飼いしています。食事も生活スタイルも同じです。冬場に1頭は肉球が冷たいことが多いのですが、もう1頭は肉球を触っても冷たくありません。体質が違うのですか?
A(菅野獣医師):
肉球を触っても冷たくない子は、もし冬の室内でもハァハァと口呼吸をすることが多く、舌の色がもう1頭よりも赤っぽく、頭部を触ってみて少し熱いと感じるならば、東洋医学的に“陰虚”と呼ばれる、熱を冷ます力が弱い体質かもしれませんね。
熱を冷ますことは身体を潤すことにもつながるので、身体を温める力と冷ます力が同等であることが理想です。ところが、冷ます力より熱を生じる力が強いと身体に熱がこもってしまい、飼い主さんが肉球を触っても少し熱いと感じるのだと思います。その子には、身体を潤す食材を積極的にトッピングしてあげると良いでしょう。
逆に、肉球が冷たい子のほうは、もう1頭より痩せていませんか?
Q(POCHI編集部員):
はい。確かに、肉球が冷たい子はもう1頭よりほっそりしています。どうすれば良いですか?
A(菅野獣医師):
獣医師に相談をして、理想体型より少し痩せ気味だとわかったら、食事量を増やしてみましょう。
重要なポイントは、ただ増量するだけでなく、熱を生み出す役割も担っている筋肉を作るために、タンパク質を増やすこと。肉や魚や卵など、うちの子にあった良質なタンパク源を選んでトッピングするなどして与えるのをおすすめします。
うちの子が心も身体も潤いを保ちながら健康に冬を過ごせるように、飼い主さんの手もホカホカしてくるツボ刺激マッサージや、ホットミールにもなる食材トッピングをぜひ取り入れてみてください。
ライター:臼井京音 写真:蜂巣文香
取材協力
*1 アキ ホリスティック動物病院 https://www.akiholisticvet.com/
-
菅野晶子 先生
東京都八王子市のアキ ホリスティック動物病院の院長。獣医師、鍼灸師、国際中医師、
日本獣医ホメオパシー学会認定医。元保護犬や元保護猫と暮らし、人や動物を癒すことをライフワークに幅広く活動を行っている。
こちらもチェック私たちが作った大きい犬のためのフード
大きな犬のために作った私たちのフード
- 中~大型犬向きの粒 粒サイズは約10-15mm、厚さ約5-10mm。タンパク質30%、脂質10%、315キロカロリー。関節の負担も考えた低カロリー設計で、関節にうれしいグルコサミン、コンドロイチンも配合。
- 『あ、生肉で作ってる!』 主原材料は、ポルトリー(チキン生肉 ターキー生肉 ダック生肉)、エンドウ豆、エンドウ豆プロテイン、リンゴ、アマランス、ポテトプロテイン、ポルトリー脂肪(チキン ダック ターキー ホロホロ鳥)など。
- 詳細を見る POCHI ザ・ドッグフード ベーシック ワイルドサーモン ミディアムラージ粒 サーモンが新登場。2.7㎏サイズでお試し
- 詳細を見る POCHI ザ・ドッグフード ベーシック 3種のポルトリー ミディアムラージ粒 ポルトリーがリニューアル!2.7㎏サイズでお試し