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2024.06.27
【#大きな犬と】往診専門の動物病院の活用で、犬も飼い主も負担減!
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は、小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、健康や食事や遊びといった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報往診専門の動物病院(獣医師)
大きな犬が病気やケガで動けなくなると、動物病院に連れて行くのが大変です。けいれん発作や胸水による苦痛なども、はやく取り除いて楽にしてあげたいもの。そんなとき、獣医師に往診してもらえれば、うちの子はもちろん飼い主さんの負担も軽減できます。そのほかにも、往診獣医師に助けられるケースはたくさん。
今回は、大熊慶子獣医師(往診専門 森のくま動物病院)の往診に同行取材して、往診のメリットなど色々と教えていただきました。
自宅に来る獣医師は受け入れやすい
「こんにちは~! わぁ、あいさつしにきてくれるの? きゃわいいね~。このおやつ、あげても大丈夫ですか? チェリーちゃん、お腹の調子はどうかな?」
東京都内の一軒家を訪れた大熊慶子獣医師は、その柔和な笑顔といいにおいのおやつで、さっそく2頭の心をつかんだようです。
「自宅に訪問する獣医師のことは、犬も猫もそれほど怖がりませんね。自分が暮らす場所で、飼い主さんと獣医師のなごやかな会話を聞きながら触られるのは、緊張しにくいですしそれほど嫌ではないようです。今日も安心してくださいね」とも。
ゴールデン・レトリーバーのチェリーちゃんと、フラット・コーテッド・レトリーバーのシュガーちゃんと暮らしている渡辺さんは、
「9歳のチェリーが、昨夜から下痢をしていて元気がいつもよりなかったんです。大型犬なので、いずれ動物病院に連れて行くのも大変になるだろうと思っていて、以前から気になっていた往診専門の獣医さんに、今回は初めて依頼することにしました」と、言います。
腫瘍の生検と眼科の診察も
大熊獣医師は渡辺さんの話を、まずはじっくりと聞きます。
それから、聴診や視診を開始。
「昨夜からの下痢に関しては、便を持ち帰り、顕微鏡で見てみますね。その結果次第で、今からお渡ししておく抗生物質をどのくらい続けるべきか、LINEでご連絡します。整腸剤はすぐにでも服用しましょう」
その後、渡辺さんが気になっていたという脇腹のポコッとしたできものを触診。
「この3つですよね。触った感じは脂肪腫のように思えますが、実際にはそういうできものでも細胞診をして悪性の腫瘍だった例もあります。なので、針生検しましょうか? その結果もLINEでご報告しますね。
はい、ではチェリーちゃん、針をちょこっと刺しますよ~」
チェリーちゃんは、リビングでママに撫でられながらなので、安心して大熊先生に身をゆだねていました。
続いて、渡辺さんとしてはここ最近気になっていた、2頭の白くなってきた目も診てもらうことに。
「は~い。大丈夫よ~。ちょっと光を当てたりして眼圧も図るからね」と、大熊獣医師。
眼圧計を持っている往診獣医師はあまりいませんが、緊急疾患である緑内障などの眼疾患をすぐに診断できるようにと、大熊獣医師は眼圧計や眼科用スリットランプも持ち歩いています。
「急激な眼圧上昇により、早ければ半日で失明する恐れもある緑内障だと心配ですが、ふたりとも加齢に伴う白内障ですね。まだ軽度ですが、かかりつけ動物病院などで、経過はこれからも観察していくと良いでしょう」
ここまで、およそ1時間。
「大熊先生、うちの子たちに愛情深く接してくださって、ありがとうございました。
往診専門の獣医師の存在は知ってはいましたが、生検や眼科の診察までしてもらえるとは驚きです。
レトリーバーはガンが心配ですが、往診でも超音波検査(高解像度エコー)や血液検査もできるということなので、今後もなにかのときには迷わずお願いができると、安心材料が増えました」と、渡辺さんは語ります。
動けない大きな犬や元保護犬のために
大熊獣医師によると、大きな犬では腫瘍を診ることが多いそうです。
「お腹に腫瘍がある大きな子のご自宅に、最期の1ヵ月間毎日、褥瘡のケアなどの介護も含めて通った経験があります。5名の獣医師と動物看護師とで連携してローテーションを組みながらだったので、飼い主さんには喜んでいただけました。
その子は、お風呂でうんちを取ってキレイにすると血行が良くなり、介助もしながらですがしばらく歩けるようになって、すっきりしたいい表情を見せてくれましたね」
抗がん剤治療をしている大きな犬の対応も、大熊獣医師は経験が豊富です。
「抗がん剤で副作用が出たり、体調が急変したりしても、往診獣医師であればすぐに自宅にかけつけて柔軟に対処できますからね。かかりつけの動物病院と連携しながら対応するケースも多いですよ」
心臓病で呼吸が苦しい犬の往診では、飼い主さんに助けられていると言います。
「今は酸素室がレンタルできるので、自宅で飼い主さんが管理する例も増えています。
以前、胸水があったワンちゃんの例では、ご家族が夜間の呼吸数のデータ収集を細やかに行えたため、利尿剤の量を適切に調整できました。飼い主さんが自宅で薬をあげながら、肺水腫の状態を脱したんですよ。
献身的に、そして適切にうちの子を扱える飼い主さんは、ご自宅診療において最高の看護師ですね」(大熊獣医師)
大熊獣医師への依頼が多いという、元野犬や多頭飼育崩壊現場出身の保護犬の診療でも、飼い主さんのサポートが役立っているのは言うまでもありません。
「つい最近も、動物病院やほかの人に触られるのが大の苦手で、咬んで抵抗する元保護犬さん宅に呼ばれました。その子は肛門腺が破裂していたのですが、ママさんがリードを持ち、娘さんが持つほうきを元保護犬さんに咬ませて……。その間に、私がお尻に麻酔の注射をして処置ができました」
どんな子にも治療のチャンスを与えたいから
大熊獣医師は、東京大学動物医療センターで内科系の研修医をしていた時代に、ある飼い主さんから聞いた言葉が、自宅訪問型の動物病院を開くきかっけになりました。
「『病気が良くなったのはうれしいけれど、それと同じくらい、動物病院に通うのがつらくて大変なんです』と。
大型犬だったり、怖がりや攻撃性があるペットさんだったり、また飼い主さんが通院の時間をたくさん確保するのが困難だったりして、動物病院に行くことをあきらめているケースも決して少なくないだろうと気づきました。もしかすると往診獣医師でなければ助けられないかもしれない、そんな子たちのもとへ、まずは私が行って診察すれば次の段階に進めるんですよね。
もし病院に行けなければ、診断もつかず治療もできませんから」
こうして、往診専門の獣医師となった大熊獣医師は、往診カーに乗って往診可能地域内を飛び回っています。
「獣医師が依頼すると、すぐに薬を用意して次の日には自宅に宅配便で届けてくれる薬局もあり、不自由な思いをすることはありません。
私たち往診獣医師が呼ばれて訪れたときが、たとえ最期の数日~数週間前であったとしても、診断をつけて最期のときをなるべく穏やかに飼い主さんと過ごせるように、力になりたいと願っています」
もし自宅診療を依頼したい場合、大熊獣医師も所属する「一般社団法人 往診獣医師協会」で、ご自宅エリアを往診している獣医師が探せます。
うちの子の心身の健康を守るためのひとつの選択肢として、往診獣医師の存在も心にとめておきたいものです。
文・写真:臼井京音
■ 大熊慶子獣医師
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