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2024.07.24
【#大きな犬と】獣医師直伝の"涼活"で夏バテ知らず!ツボ刺激と最適食材で健康生活
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は、小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、健康や食事や遊びといった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報涼活
中医学にも詳しく、鍼灸治療も行っている向後亜希獣医師に、夏バテの予防や解消に役立つ、ツボ圧しと食材選びについて教えていただきます。
犬も夏バテがある!
暑い夏は、人間だけでなく犬も体調を壊しやすくなるものです。
西洋医学だけでなく鍼灸治療など東洋医学も取り入れている、こうご動物病院(東京都多摩市)の向後亜希獣医師は、次のように語ります。
「犬は暑い季節になると、胃腸や皮膚のトラブルが生じやすくなります。
東洋医学では、汗などで身体から水分が出る際に“気(エネルギー)”も一緒に出てしまい、それが夏バテにつながると考えられています。人間同様、犬も夏バテに注意しながら、健やかな毎日を送らせてあげたいものです。
夏は、自宅でスキンシップを兼ねて簡単にできるツボ圧しや、フードのトッピングの食材選びをとおして、適切な“涼活”に取り組んでくださいね」
ではさっそく、向後獣医師に、“涼活”におすすめのツボと、夏バテしがちな季節に身体を健やかに保つ手助けをしてくれる食材を教えていただきましょう。
熱中症の心配もあるため、夏は散歩時間も短くなりがち。快適な環境の自宅で気軽に、うちの子の夏バテ予防や改善のための“涼活”を!
涼活になるツボ5選
向後獣医師が涼活におすすめのツボは、5ヵ所。
「まずは、背中全体をマッサージしてあげてもらいたいと思います。背中には、東洋医学で、身体機能を健やかに保つための気(エネルギー)の通り道である”経絡(けいらく)”があります。なので、背中をマッサージしながら経絡上にいくつもあるツボを刺激してあげると良いでしょう。
とくに小型犬では、冷房で身体が冷えてしまっているケースが少なくありません。冷房による冷えを改善するのにも、背中のマッサージは最適です」
飼い主さんとのスキンシップやツボ刺激の導入として、背中のマッサージは日課にしてあげたいものです。
「ピックアップして紹介する4つのツボも、いずれも、ピンポイントで圧そうと構えなくて大丈夫です。ツボのまわりをマッサージする感覚で、気楽にうちの子のツボ刺激をしてくださいね」(向後獣医師)
ツボ刺激1合谷(ごうこく)
熱を取るツボとして知られています。
前足の親指の付け根のくぼんでいる部分にあります。
犬の様子を見ながら、最初は軽い圧をかけてみましょう。親指のまわりをほぐすイメージでマッサージするだけでもOK。
ツボ刺激2山根 (さんこん)
夏バテをして食欲が落ちている犬が、食欲を取り戻すサポートをしてくれるツボ。
鼻の付け根の中央部にあります。
犬がびっくりしないように、そっと圧してあげるのがポイントです。
ツボ刺激3足三里(あしさんり)
胃腸を整えるツボの代表格。夏場に出やすい消化器症状である下痢を止めたり、便秘を解消したりします。
膝の外側の斜め下あたりにあるので、後肢の膝まわりをマッサージしながら刺激すると良いでしょう。
なお、足三里のツボは、人間でも足や腰の疲れや倦怠感の改善にも使われるので、犬の夏バテにも有効です。
ツボ刺激4天枢(てんすう)
おへその外側にあるツボで、下痢や便秘や腹痛など腸の症状を改善します。
ツボがある辺りを、便を止めたいときは上方向に、便を出したいときは下方向にマッサージする感覚で刺激してください。
トッピング食材を工夫して体調管理
東洋医学の基礎となる“陰陽五行説”では、夏は“心(しん)”の養生が大切になります。
「夏は心臓が活発に働くので、心臓に負担がかかりやすいです。胃腸にも負担がかかることがあります。
また、東洋医学の考え方で“陽気”が最高潮に達する夏に、うまく熱を逃して“陽気”を発散しないと、身体に熱がこもって不調を引き起こすとされています。
毎日口にする食べ物も活用しながら、夏の養生に心がけると良いでしょう」(向後獣医師)
以下、飼い主さんも一緒に夏の養生ができそうな食材を紹介します。
ふだんのフードのトッピングなどに、ぜひ積極的に取り入れてあげましょう。
■ 夏の養生におすすめの食材
◆清熱(せいねつ)……熱を取る食材
キュウリ、チンゲン菜、あさり
◆利水(りすい)……余分な水分を出す食材
トウモロコシのヒゲ(※ひげ茶などを飲ませると良い)、モヤシ、のり、昆布、わかめ
◆生津(しょうしん)……汗で出る液体を補う食材
豆腐、アスパラガス、オクラ、キュウリ、冬瓜、トマト、豆乳
◆補気(ほき)……汗などで出た“気(エネルギー)”を補う食材
サツマイモ、ジャガイモ、山芋、まいたけ、かつお、いわし、牛肉、鶏肉、豚肉、玄米、なつめ
◆安神(あんしん)……“心”を整える食材
あさり、いわし、牡蛎、なつめ、竜眼、チンゲン菜
◆寒涼性……身体を冷やす食材
馬肉、あさり、しじみ、のり、昆布、わかめ、しめじ、大根、ナス、トマト、セロリ、アスパラガス
「昆布やわかめなどの海藻類は、だし汁を飲ませてあげると良いでしょう。上記の食材は生で与えるのではなく、茹でるなどして柔らかくして与えるのもポイントです。」(向後獣医師)
冷えすぎない環境づくりもポイント
向後獣医師は、診察では鍼灸も行っています。
「実は夏に、冷えてしまった小型犬の背中の温灸をすることもあるんですよ。
冷房のベストな設定温度は、高温多湿が呼吸器に大敵なフレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種と、暑さに強い柴犬では違いますし、老犬は体温調節機能が衰えていたりしますので、『何度』と言い切ることはできません。
うちの子の肉球が冷たくなっているといった状態は、もしかすると冷えているかも……。
逆に、安静時なのに口を開けてハァハァしていたら暑すぎると思ってください。
うちの子の状態をよく観察しながら、暑くも寒くもない快適な環境を整えてあげることも大切です」
ツボ圧し、食材の工夫、そして快適な環境づくりをとおして、この夏の猛暑のなかでも、うちの子の夏バテ予防と健やかな暮らしをサポートしてあげたいものです。
文・写真:臼井京音
■ 取材協力:向後亜希
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