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2022.06.20

犬にショウガを与えてみよう!役立つ成分と与えるときの注意点

犬にショウガを与えてみよう!役立つ成分と与えるときの注意点

人間では料理や漢方などでよく使われるショウガ。すりおろしたものは少し辛味も感じますが、犬にも与えることはできます。
ショウガに含まれる成分や味わいなどに注目しながら、食べさせるときに注意したいことはなにかなど、今回はショウガと犬の健康についてご紹介いたします。

DOG's TALK

この記事を書いた人:POCHIのペット栄養管理士 岡安

ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。

犬にショウガを与えることができるの?

人間の健康維持のためにハーブや漢方として古くから用いられてきたショウガですが、最近ではドッグフードや犬用のオヤツ、ケーキなどでも使用される場面が出てきました。

最近では古くから伝わる健康に役立つ知恵として、ハーブや漢方を積極的に取り入れることをコンセプトとしているドッグフードも多く登場しており、犬がショウガを食べても健康上の問題はありません。

 

■ショウガの簡単な概略

ショウガはショウガ目ショウガ科ショウガ属の多年草で、アジアの熱帯地方が原産というのが定説になっています。
ちょっと意外な話としては、ショウガ目の仲間の中にはバショウ科の植物も含まれ、バショウ科の仲間にはバナナが含まれます。バナナはショウガの遠い親戚、ということになります。甘~いバナナとピリッと辛いショウガが親戚というのは面白いですね。

インドなどで長く土着の植物として親しまれてきたショウガですが、紀元前650年ころにはすでに中国大陸で食用として広く用いられていたことが分かっています。このころにはすでに健康に役立つ食材として認識されていたようで、日本には2~3世紀ころに伝わったとされています。当時の日本は弥生時代、卑弥呼やその娘が生きていたとされる時代ですから、日本人とのお付き合いもとても古い植物なんですね。

ヨーロッパでショウガが注目されるようになったのは中世以降であり、貴重なスパイス・香辛料の一つとして取引されていたようです。当時、ヨーロッパ各国で宝石と同じくらいの貴重で高価な貿易商材とされていたコショウに匹敵するほどの高値が付いたこともあったそうです。
このころから徐々にヨーロッパでもショウガがハーブとして健康維持に役立てられるようになっていったと考えられています。

ショウガに含まれる役立つ成分とは

ショウガの成分分析値をチェックしてみると以下のようになります。

ショウガの食品成分(100g中)
水分:96.3%
タンパク質:0.5%
脂質:0.2%
炭水化物:2.1%
灰分:0.7%

ショウガの成分の大半が水分で占められていて、それ以外では炭水化物が多いことが分かります。とはいってもショウガに含まれる炭水化物のほとんどが繊維質であり、不溶性食物繊維が多く含まれています。ショウガをすりおろすと繊維状のかすが出ますが、あれは不溶性食物繊維です。
これだけ見ると、あまり犬の健康に良いものという印象はないと思います。
しかし主な成分以外の、フィトケミカルにこそショウガが役立つ理由があります。

 

ショウガに含まれるフィトケミカル

フィトケミカルとは、植物が紫外線や昆虫など、植物にとって有害なものから体を守るために作りだされた色素や香り、辛味、ネバネバなどの成分のことです。フィトケミカルは必須栄養素ではないため、ドッグフードや食品への表示義務はありませんが、健康を維持するためにはぜひ摂取したい重要な成分として注目されています。

ショウガに含まれるフィトケミカルには、ジンゲロール、ショウガオールに由来する特有の辛味の成分、そしてジンゲロン、ジンギベレン、ジンギベロール、シネオール、シトラールなどの香り成分があります。

生のショウガに含まれるジンゲロールの代表的な働きは、殺菌作用、免疫細胞を活性化させる作用です。お寿司の付け合わせとしておなじみのガリは、生魚と一緒に殺菌作用のあるジンゲロールを含むショウガを食べることで食中毒に配慮した生活の知恵の一つです。

ジンゲロールとほかのショウガに含まれるフィトケミカルに共通しているのが、血行を促進する働きがあるということ。運動不足や加齢により、縮こまりやすい老犬の体は、筋肉などもこわばってしまいやすくなります。そんな時にはショウガに含まれる成分が役立ちます。

また、ショウガに含まれる香りのフィトケミカルは食欲を刺激し、清涼感を与えるとされています。夏の暑い時期などに食欲が落ちたとき、冷たい冷ややっこや焼きナスにすりおろしショウガを載せることがありますが、さわやかな香りで食欲を刺激してくれるのは、フィトケミカルの働きのおかげです。

さらにショウガの香り成分は口臭への対策としても期待できます。

こんな時にショウガを取り入れてみよう

・口臭が気になるとき

・生肉や食べなれないものを食べてお腹の状態が気になるとき

・老犬や運動不足で血行が気になるとき

・寒い日の体調管理を意識したいとき

・暑い日、食欲の低下がみられるとき

犬に与えるときのポイント

犬にショウガを与えるときの重要なポイントになるのが、「辛味」です。
基本的に犬は辛味を苦手としていますので、生の状態では辛味が強く食べてくれないことが多いです。
ドッグフードや犬用のオヤツでは乾燥させたショウガをパウダー状にしたジンジャーパウダーが使われることがほとんどです。加熱や乾燥することで強い辛味成分であるジンゲロールが別の成分に変性しますので、こちらであれば問題なく食べてくれることが多いです。
ただし香りが強いものなので、体に良いからとたくさん入れてしまうと強い香りで犬が嫌がることもあります。

オススメなのは、スープに少しショウガを入れて香りづけをすること。これで香り成分のフィトケミカルをプラスすることができます。
犬が好んで食べてくれる量を模索して、ショウガの量を少しずつ調整してみてくださいね。

おわりに

今回は、ショウガのフィトケミカルが犬の健康維持のどんなところに役立つのかをチェックしてみました。ショウガ自体、嗜好性は高くないので、取り入れるときにパウダー状になっているものから与えるのが無難です。また、肉や魚と組み合わせたスープなどの手作りに少々入れてもグッド。ぜひ活用してみてくださいね。