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2022.12.29
【#大きな犬と】ハズバンダリートレーニングを始めよう!~ストレスフリーな生活のススメ~
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬に特化した、遊びや健康、食事など暮らしの情報を集めていきます。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報ハズバンダリートレーニング
ハズバンダリートレーニングって何? と思われた方のために、ハズバンダリートレーニングのすばらしさを、まずは解説。そして、ぜひ覚えておきたい3つのトレーニングを紹介します。
さぁ、さっそく、ドッグトレーナーの細野栄作さんに、ハズバンダリートレーニングの方法などを伝授してもらって、飼い主さんも今日から実践を!
ハズバンダリートレーニングって何?
近年、欧米で広まったハズバンダリートレーニングが、日本でも行われるようになってきました。
ハズバンダリーとは、直訳すれば受診動作。水族館の海獣や動物園の動物が、ストレスを感じることなく身体のケアや医療行為を受けられるようにと始まったのが、ハズバンダリートレーニングです。
「大きな動物を押さえつけてケアをするのは、むずかしいですし、かわいそうですからね。
ハズバンダリートレーニングの最大のポイントは、動物たちが自ら喜んで取り組めること。無理強いしなくとも、動物たちが率先して行動してくれれば、動物の心身にも負担がかからずにすみます」と、細野栄作ドッグトレーナーは語ります。
たとえば、「チンレスト」「マット」「ゴロン」などのハズバンダリートレーニングをマスターできれば、受診時はもちろん、トリミング時もみんながストレスフリーに。
ぜひ、“うちの子”が身体ケアや医療行為やお手入れに協力してくれる“大きな犬”になるように、飼い主さんはハズバンダリートレーニングを教えてあげましょう。
「“お手”を2分間続けられれば、その間に飼い主さんは大きな犬の爪切りもできますよね。つまり“お手”や“ゴロン”といったトリックを極めれば、ハズバンダリーになるんです!」と、細野トレーナーは言います。
ハズバンダリートレーニング(1)「チンレスト」のレッスン
チンレストは、代表的なハズバンダリートレーニングです。
英語のチンとは、あごのこと。大きな犬が自発的に台や飼い主さんの膝の上にあごを乗せて静かに休む姿勢をとってくれれば、お手入れなどがぐっとしやすくなります。
(1) 大きな犬が、あごを乗せてラクな姿勢がとれそうな椅子や台を用意。飼い主さんはフードやおやつを手に持って、準備完了。
(2) おやつのにおいを嗅がせながら、犬が台にあごを乗せやすい姿勢に誘導していきます。あごが乗ったら、ほめておやつをあげます。
(3) 何も合図を出さなくても、自発的に犬があごを乗せてじっとしていられるようになったら、ほめてあげましょう。
(4) ハンカチなどの持参可能なものを台に載せ、そこにあごを乗せられるようにステップアップを。できたら、ごほうびにおやつをあげます。
ハンカチやコースターなど、持参可能なアイテムにあごを乗せられるようになったら、それを今度は飼い主さんの膝の上に置いて。大きな犬が自発的にその上にチンレストをしてくるのを待ちましょう。
(5) おやつも使いながら、自発的にハンカチにチンレストをするのを待ちます。チンレストができたら、興奮を高めないように静かにほめてあげてください。
チンレストができるようになったら、日常生活で応用を。チンレストのまま、安全にストレスフリーに、足拭き、目ヤニとり、ブラッシングなどができるようになります。
ハンカチやコースターを持参した先の動物病院では、それを使ってチンレストのまま動かずにいてもらえれば、注射などの際に役立ちます。
ハズバンダリートレーニング(2)「マット」のレッスン
外出や旅行時のカフェやダイニングの床、動物病院の診察台、トリミング台、クレート(ハウス)内など、“うちの子”が敷いたマットに自発的に来てくれておとなしく伏せてくれたら、みんなが安心で安全な環境を手に入れる第一歩になります。
大きな犬は、好んでマットの上にいられるので緊張がやわらぐでしょう。まわりは、大きな犬が動き回ったりせずおとなしくしているので、落ち着いていられるでしょう。
「マット」は、応用範囲の広いハズバンダリートレーニングです。
「マット」という合図やコマンドを使わずに、マットを敷けば自発的に大きな犬がマットに乗るようにします。
(1) マットの上に、大きな犬が好きなおやつやフードを置いておきます。
(2) 後ろ足がマットの外にありますが、まずはこの程度からで問題ありません。自発的にマットに乗ってくるのを待ちます。
(3) 四肢がすべてマット上に乗りました! これで、大きな犬もマットに対して警戒しなくなったでしょう。
(4) マットの上で座れるように。飼い主さんはそばで見守りつつ、マットの上におやつを追加してもOK。
(5) 自ら伏せてリラックスし始めたら、ひとまず「マット」の完成型!
ハズバンダリートレーニング(3)「ゴロン」のレッスン
マットに大きな犬が自発的に乗るようになったら、マットの上でゴロンと横向きで寝て、そのままじっとしていられるように教えましょう。
そうすれば、動物病院ではエコー検査やレントゲン検査、トリミングサロンや自宅では足拭きや爪切りやブラッシングなどのお手入れの際に役立ちます。
(1) マットの上で伏せた状態の大きな犬に、大きなおやつのにおいを嗅がせながら首を後ろに向かせます。
(2) おやつのにおいを嗅がせ続け、背面に身体をひねるように誘導していきます。
(3) 片足が上部に上がってきたら、飼い主さんのほうにおやつを引き寄せます。
(4) 飼い主さんの膝あたりにおやつを移動させて。そして、犬がゴロンと横になったらごほうびにおやつをあげてください。
ハズバンダリートレーニングは可能性にあふれている!
ハズバンダリートレーニングを積んでマスターすれば、大きな犬の日常のお手入れはもちろん、お出かけ、トリミング、動物病院などでもラクな場面がぐっと増えます。
「ハズバンダリートレーニングを活用している動物園では、マットの上に自発的に動物が来ておとなしくしていたら手入れや毛刈りなどをして、ごほうびにおやつをあげるそうです。マットから動物が離れて行ったら処置は行わず、再び自ら来てくれるまで待ちます。
動物に選択肢があり、動物が決して嫌な気持ちを味わわないこと。これこそ、ハズバンダリートレーニングのすばらしさであり、人間と動物との信頼関係を深められる重要なポイントでもあると思います。
だから、もし、大きな犬がチンレストやマットをやめてその場を離れてしまっても、叱ったり追い戻したりしないでくださいね。犬の自由意志にまかせてあげましょう」と、細野トレーナーは語ります。
欧米では、ハズバンダリートレーニングを取り入れ、犬や猫などに怖い思いをさせない“フィア・フリー・クリニック”があります。
日本でも“フィア・フリー・クリニック”のような動物病院は、徐々に増えています。
“うちの子”にハズバンダリートレーニングをマスターさせるとともに、そうした動物病院を探して受診するのも良いでしょう。
飼い主さんが知識を得て実践して、大きな犬にストレスになく、心身ともに健康な生活を送らせてあげたいものです。
ライター:臼井京音、写真:蜂巣文香
■ 指導:細野栄作さん
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