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2023.05.08

犬のイボ、ケア方法は?良性、悪性があるって本当?獣医さんに聞いてみました

犬のイボ、ケア方法は?良性、悪性があるって本当?獣医さんに聞いてみました


犬も高齢になると体のさまざまな部分に変化が見られるようになってきます。その中のひとつが、皮膚の変化です。

シニア犬の体を見ていると、小さなイボを見つけたことはありませんか?色や形はまちまちですが、気が付くとたくさんできていて心配になることも。でも、犬自身はあまり気にしていないし、病院に行ってみても「イボのようなものだから様子見しましょう」となるケースが多いのが現実です。「これって、本当に心配いらないの?」と飼い主と獣医師さんとで温度差を感じてしまった…という方もいるかもしれません。

そんなシニア犬の「イボ」について獣医師が解説します。イボができる原因やオススメのケア、手術についてなどもご紹介いたします。

DOG's TALK

監修者:獣医師 菱沼 篤子

監修者:獣医師 菱沼 篤子

犬の栄養指導や犬の健康に関する専門知識を持つコンサル担当スタッフとして、さまざまな飼い主のお悩みを聞いている。

犬のできもの「イボ」とは?

「イボ」というと、皮膚から盛り上がっている小さなできものを指すことが多いです。
実は、「イボ」と一言でいっても、その種類はさまざま。原因や症状などによって分類されています。
件数でいうと、一番多いのはウイルス性のイボ、そして老化によるイボでしょうか。これらは犬の体調に影響するようなことはほとんどないため、経過観察になることも多いです。
以下は良性のイボと呼ばれるものです。

■ウイルス性のイボ

犬たちの皮膚のバリア機能が低下している時や擦り傷、切り傷を負ってしまった時、傷口からパピローマウイルス(乳頭腫ウイルス)が入ってしまうことで、イボができることがあります。また、このウイルスは接触などによって移ってしまうケースもあるので多頭飼いのご家庭では注意が必要です。
ただ、パピローマウイルスが原因になっているイボの場合は、数週間から数か月で自然に消えていくことも多いため、動物病院でも経過観察となるケースが多いです。

■老化によるイボ

犬が年齢を重ねていくことで、次第に細胞の入れ替わりの周期が滞ってしまい、サイクルが乱れることで徐々にできものやイボが出来やすくなってしまいます。
このようにできたイボは、基本的には犬の健康に影響はありませんが、腫瘍の場合もあります。注意深く犬の体調やできものの様子を観察し、気になる場合は動物病院で検査すると安心です。

 

■表皮嚢胞(ひふのうほう)

毛穴の上方部分の皮膚が何らかの原因によって皮膚の中に袋状のポケットができて、徐々に皮膚が盛り上がったようになるできものです。
何らかの原因で、皮膚の内部に袋ができ、その中に角質が溜まって大きくなってしまい、できるタイプのできもの(しこり)です。人間でもたびたび発生しますが、原因は体質的なものといわれています。
痛みなどはないのですが、犬が気にして引っかいたりかじったりすると、傷になり炎症を起こしてしまうことがあります。

良性/悪性のイボがあるって本当?

大きく分けて、イボには良性のイボと悪性のイボがあります。良性のイボであれば、犬の健康に直接的な害はなく、犬が気にしていなければ動物病院でも経過観察となることが多いようです。
しかし、悪性のイボ=腫瘍の場合は、放置することで転移して、大掛かりな手術や特殊な治療が必要になることがあります。
良性のイボと悪性のイボの見分け方を聞いたことがある方もいると思いますが、素人判断は危険。大きな後悔になる前に、信頼できる動物病院で獣医師さんにチェックしてもらうのがベストです。

犬のイボは手術が必要?取らないとどうなるの?

犬のイボは、良性であれば基本的には処置が必要な病気ではありません。
しかし、犬自身が気にして引っかいたり、かじったりする、ぶつけたり引っかけたりして、大きな傷になる、見た目が気になるという場合は、動物病院でイボを取る手術をすることもあります。小さなものであれば、麻酔なしで取ることも、当日に帰宅もできます。

悪性のものであれば、獣医師と相談しながら治療する中で手術が必要になることもあります。

犬のイボのオススメケア方法は?

良性のイボであれば、特別な治療をする必要はほとんどありませんが、日ごろから細胞のターンオーバーを滞らせないようケアするなら、ハト麦に含まれるヨクイニンは注目したい栄養素。

人間でも、イボなどのできものなどに対して家庭でケアを行うことがありますよね。家庭でのイボケアでたびたび注目されてきたのが、ハトムギの皮を除いた「ヨクイニン」です。

ヨクイニンは、人間では、スムーズな皮膚の細胞の入れ替わり(ターンオーバー)を維持する助けとなるといわれています。カラダの内側から肌に働きかけ、肌の水分代謝を促進し、余分な老廃物の排出をサポートし、肌への水分と栄養の循環を促し、衰えた肌のターンオーバーを正常に整えてくれるそう。
犬でも同じように皮膚の細胞の入れ替わりの健康維持のために、このサプリメントを試してみてはいかがでしょうか。

おわりに

今回は犬にたびたび見られる犬のイボについてご紹介いたしました。ふと気が付いたらできていることが多いイボは、良性のものが多いのですが、中には病気のサインになっているケースもあります。急激に大きくなっている場合など、気になることがあるようであれば動物病院で相談してみてくださいね。