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2019.08.29
犬の夜泣きや徘徊、認知症は予防できる?ポイントまとめ
飼っている犬が年齢を重ねるにつれて気になるのが、犬の認知症についてです。夜泣きや徘徊など、犬の行動のちょっとした変化で気付いてあげることができれば、心の準備ができて犬の介護の際に必要になりそうなアイテムの準備もスムーズにできそうですよね。
老犬に差し掛かる犬と暮らしている方はもちろん、現在認知症の犬と暮らし、治療などに取り組んでいる方、そして全ての犬の飼い主にとって必要な知識として、あらためて犬の認知症がどのようなものかを理解するのは大切です。
一緒に暮らしている犬に変化が現れた際にも落ち着いて行動できるよう備えたいですね。今回は、そんな犬の認知症と予防法についてご紹介します。
犬も認知症になります。
犬も人間と同じように、高齢になると認知症になるリスクが高まります。もちろん、全ての犬が必ず認知症になるわけではありません。認知症にならないまま生涯を終える犬もいます。認知症になると、脳の衰えにより犬の認知機能が低下し、飼い主のことが分からなくなったり感情のコントロールが難しくなったり、それまでには取ることがなかった行動をとるようになることがあります。
認知症は、全ての犬たちに起こる可能性がある病気です。認知症になりやすいといわれることがある犬種もありますが、個体差も大きいので議論の余地もあるようです。
また、犬が認知症を発症する年齢は大型犬だと10歳くらいから、小型犬だと15~16歳くらいからが多いと言われています。
認知症が進むと、飼い主による介護が必要になる犬も多いです。
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認知症になりやすいと挙げられている犬たちは、飼育されている頭数も多いため、発症する件数も多くなっている可能性があります。これらの犬種以外でも発症する例は多くありますし、ならないこともあります。犬たちが長寿になるとどんな犬でも認知症になる可能性が高まるので、犬種と発症の可能性についてはまだまだ議論の余地があるのではないでしょうか。
犬種に関わらず、認知症になるまで元気でいてくれたことは立派なことです。長生きの犬たちを褒めてあげても良いと思うのです。
犬の認知症予防には早期発見がポイント
犬の認知症の特徴はさまざまですが、以下では具体的な内容を挙げています。認知症の予防には、まずその初期症状を知り、犬の異変に早めに気が付くことが大切です。
該当するものがないか、犬の様子を観察してみましょう。
■ 犬の認知症のサイン
・同じところをぐるぐる回る(右回り)
・食欲が旺盛になる
・明け方、夜中に突然夜泣きをするようになった
・暗く狭いところに入りたがり、出られなくなる
・攻撃的になった
・トイレが上手にできなくなる
・飼い主が呼んでも反応しない
・入り口と出口を間違え、知った道でも迷うことがある
・刺激に対して鈍くなる、または過敏になる
・急に触ると、かみつくことがある
・後ろ向きに歩けない、後ずさりができない
・昼夜問わず、1日中寝てばかりいる
犬が認知症にかかり始めると、特に目立つ特徴は「トイレが上手にできなくなること」です。認知症になると犬がお漏らししてしまうこともあるため、お漏らしがひどいときにはペット用のオムツの使用をおすすめします。
そして、認知症にかかっている犬は刺激に対し敏感になることがあり、飼い主が何気なく手を近づけるだけで犬は驚き、かみつくことがあります。犬にはいきなり触るのではなく、一度合図をしてこちらに気付かせてから触るなどの工夫が必要です。
また犬に不安や心細い気持ちがあると夜泣きをすることもあるので、その際は優しく声を掛け、犬を安心させることが大切です。それでも夜泣きが続き、改善されない場合は体に痛みが発生しているなど体調不良も考えられるため、獣医さんに相談しましょう。
もちろん、これらの行動は困ってしまうものですが、犬たち自身は「飼い主を困らせてやろう」と悪意を持ってしていることでは決してありません。犬たちの変化に戸惑ったり、驚いたり、時には感情的になってしまいそうになることもあると思いますが、少しずつでもお互いの変化を受け入れる工夫をしてみてください。
犬の認知症を予防するためにできること
犬の認知症は早期発見がカギと言われています。さきほどご紹介した認知症の特徴に犬の行動が当てはまれば、その様子を動画撮影し獣医さんに見てもらいましょう。
また認知症の完治は難しいと言われていますが、認知症の進行を遅らせるための対策はあります。特に大切なことは、犬とのコミュニケーションを密にとり犬の脳を活性化させることです。
以下では、自宅でできる認知症対策についてご紹介します。
■ 犬の認知症予防のポイントまとめ
・定期的に運動や日光浴をさせる
・EPAやDHAなどの脳の健康に役立つ食事の栄養管理に留意する
・なるべく昼間に起こすようにする
・犬が楽しみになる時間をつくる
・犬とのスキンシップを心掛ける
・新しい知育おもちゃを与えたり、遊びに変化をつけてみる
・散歩コースを変えてみる
高齢になった犬は運動量も減り、できることが減ることでさまざまな物事に対する意欲を失ってしまいがちになります。認知症の予防のためには、ワンパターンになりがちな毎日の暮らしに少しずつ変化を起こし、刺激を与えることも大切です。
変化は小さなもので構いません。例えば、散歩のコースを複数用意して毎日同じコースの繰り返しにならないようにするとか、ドッグフードのトッピングを毎日変える、新しいオモチャを与えてみる、遊び方を変えてみるといったことも犬にとってはワクワクに繋がります。
また、脳の働きをサポートする栄養を継続して与えることも大切です。青魚に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸のEPAやDHA、細胞の老化を防ぐ抗酸化成分であるポリフェノール、神経系の働きを維持するトリプトファンなどの栄養がオススメです。また、筋力を維持するために役立つBCAAアミノ酸を中心として、適度なタンパク質を含む食事を与えることも大切です。
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認知症になった犬たちも「できていたことができなくなる」ということに戸惑ったり苦しんだりするはずです。そして、そんな自分にがっかりし、悲しみ、飼い主が怒っているように感じて自信をなくしてしまいかねません。
加齢によって引き起こされる認知症は、長く私たちに寄り添ってくれた犬たちにとっても大変なこと。実際に直面してしまうと、きっとオロオロして、あれこれ愚痴をこぼしたりするかもしれないけれど、あなたは私にとって愛しい存在なのだと、少しでも伝えることができればなと思っています。
おわりに
犬の老化により発症のリスクが高まる認知症。犬の認知症予防には、犬とのコミュニケーションを大切にする、規則正しい生活を送る、遊びや散歩で変化を与えて犬の脳を刺激するなどの対策を行うことが効果的と考えられています。また犬は飼い主にとって大切な家族の一員です。犬が健康で長生きするためにも日々の暮らしの中で認知症予防に努めましょう。