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2019.09.03
犬の毛艶、毛量を改善する食材は?犬の毛並みを守る栄養素について
犬の毛質は、サラサラとした感触の犬もいれば、毛先などが少しパサパサ・ゴワゴワしている犬もいて、犬種や年齢、個体差もありそれぞれですが、あなたの犬の毛艶は、いかがでしょうか。
毎日あげているごはんと毛艶は大きく関係しています。今回は、ドッグフードにトッピングすることで毛艶に作用する食材や、犬に必要な栄養素をご紹介します。
犬の毛艶に欠かせない、栄養素について
犬の毛艶に欠かせない栄養素は、タンパク質と脂質です。タンパク質は、犬の筋肉や皮膚、血液や臓器などを作る上で大切な栄養素で、犬の毛並みを美しくする役割もあります。タンパク質の不足が続くと、脱毛することもあるため注意が必要です。健康な毛を作り毛艶を維持するため、良質なタンパク質を取り入れた食事を与えてあげましょう。
毛量を増やしたい、と思った時も毛をより多く作るのに必要な栄養はタンパク質です。タンパク質を意識してみるのもいいですね。
脂質は、タンパク質に次いで、犬の毛艶を保つために欠かせない栄養素です。
具体的には、オメガ3(エゴマ油や亜麻仁油、イワシ・サンマなどの魚油など)とオメガ6(ゴマ油、ひまわり油、アーモンド油、コーン油など)の不飽和脂肪酸を含む油脂がおすすめです。犬たちの場合は、オメガ3:オメガ6の比率は、5~6:1が良いと言われています。しかし、脂質はカロリーが高いため、取りすぎないように注意が必要です。
良質なタンパク質って?
良質なタンパク質とは、必須アミノ酸をバランスよく含んだものです。犬の必須アミノ酸とは、バリン・ロイシン・イソロイシン・ヒスチジン・アルギニン・リジン・トリプトファン・フェニルアラニン・メチオニン・スレオニンの10種類です。これらのアミノ酸は、それぞれをバランスよく摂取しなくては、体内で効率的に使用することはできません。(参考:【獣医師コラム】アミノ酸スコアから考える、犬にはどんなタンパク質をあげるべき?)
また、アミノ酸には体内で合成できるものとできないものがあり、この必須アミノ酸は体内では合成できないため、食事で取り入れる必要があります。
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体調が悪かったり、栄養が足りていなかったり、栄養のバランスが崩れていたり、老化によるものだったりと犬たちの被毛の状態が悪くなる原因はさまざまです。撫でたり抱っこしたりと何かと触れる機会が多い犬たちの被毛の状態は変化にも気が付きやすくなるのかもしれませんね。そういった意味で、健康状態を知るひとつのバロメーターと言えます。
被毛の状態が悪くなったり、抜けてしまうことが病気のサインになることもあるので、「あれ?おかしいな」と感じたら信頼できる動物病院で専門家の意見を聞いてみるのも大切です。
植物性と動物性、毛艶に効果的なのは?
タンパク質には、植物性と動物性の2種類があります。
【植物性タンパク質】
・大豆、豆腐、納豆など
【動物性タンパク質】
・肉、魚、卵、乳製品など
動物性タンパク質、植物性タンパク質はそれぞれ同じタンパク質ですが、含まれているアミノ酸の種類が異なるため、それぞれをバランスよく摂取することが大切です。どちらかだけに偏ることなく、満遍なくさまざまな食材を食べさせることが栄養の面でも、嗜好性の面でも理想的とは分かっていても、好き嫌いがあったりとなかなか難しいところですね。
ドッグフードに適量トッピングがオススメ
犬にあげるごはんをすべて手作りにするのは、手間も掛かり大変ですよね。まずは市販のドッグフードに、毛艶を良くする作用のある食材をトッピングしてはいかがでしょうか。ドッグフードにトッピングをするときは、ドッグフードをその分少なめにし、犬がごはんを食べすぎないように気を付けてあげましょう。
【トッピングにおすすめの食材】
・鶏肉、牛肉、豚肉、イワシ、タラ
調理のポイントは、できるだけ細かくみじん切りにすることです。ミキサーがあれば、時間短縮にもなります。犬の腸は人間よりも短いため、食材が大きいと食材に含まれる栄養素が効率的に吸収されません。ごはんに使用する食材は必ず小さく切ってから与えましょう。
また、ドッグフードに良質のオイルを垂らすだけでも、犬の毛艶に役立ちます。ドッグフードとオイルを組み合わせることで、バランス良く必須脂肪酸を取り入れることができるのです。ただし、亜麻仁油やゴマ油は酸化しやすいので、開封したら冷蔵庫で保存して、早めに使い切りましょう。
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哺乳類の皮膚や被毛は、代謝によって健康的な状態が維持される器官のひとつです。そのため、代謝に関係している内臓(消化器系や肝臓)や老廃物の排出に関わるリンパ系にトラブルがあることが原因となり、上手く新陳代謝が働かずに被毛などの状態が悪化することがあります。
動物のための植物療法士が作った、犬たちの被毛に働きかけるハーブミックスの中身を見てみると、肝臓などの代謝系をサポートするダンディライオンやデトックス効果のあるバードックなどで、毒素を排出する助けをしたり、皮膚や粘膜の健康的な新陳代謝を助けるカレンデュラ(マリーゴールド)、消化器系をサポートするカモミールなどが使われていることが多く見られます。このことからも、皮膚・被毛のトラブルと代謝、そして消化器系が深い関係があると考えられていることが分かりますね。
おわりに
犬にあげるごはんの食材を少し見直すだけで、犬の健康や毛艶の保持につながります。犬の毛並みをより美しくするためには、良質なタンパク質と脂質を毎日のごはんに取り入れてあげましょう。
しかし良質なタンパク質や脂質であっても、たくさん食べれば効果が出る、というわけではありません。適量をバランス良くごはんに加え、犬が喜んで食べる食事にしてあげたいですね。市販のドッグフードのタンパク質と脂質をチェックしつつ、上手に活用しながらトッピングをプラスして、犬の美しい毛艶を守ってあげましょう。