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2023.08.23
【#大きな犬と】防災対策を万全に!水害や震災の備えの違いや同行避難について知っておこう
同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、健康や食事や遊びといった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)
今回のお役立ち情報防災
動物支援ナース©のメンバーで人間の防災士、愛玩動物看護師でもある村井知美さんに、大きな犬との防災で注意したいポイント、同行避難と同伴避難の違い、備蓄用品の選び方などについて教えていただきます。
水害と震災・火山噴火の備えはどう違う?
“ペット防災”と一口に言っても、震災や火山噴火と、台風などの水害では備え方が違います。
「事前にある程度は予測が可能な災害か、予期せず突然に起こる災害かの違いです。
豪雨などによる土砂災害や水害は、自宅や旅先などの滞在場所が危険だと予想される場合、発災前に避難できますよね。気象情報などで事前に発災リスクがあると判断した場合は、とにかく早め早めに行動をするのがとても大切です」と、動物医療従事者による災害支援チームである“動物支援ナース©”メンバーの村井知美さん。
いずれにしても、避難をする際には大きな犬との“同行避難”が鉄則だと村井さんは強調します。
「たとえば、あとから大きな犬を迎えに来るつもりで人間だけ一時的に避難して、しばらくして帰宅したときには大きな犬のいた場所が水没している可能性などもあるからです。
人が危険な場所に戻ることで、二次災害につながる恐れもあります。
日ごろから、発災時はペットも一緒に行動するという心構えと準備をしておいてください」
同行避難と同伴避難の違いと、大きな犬との最良の避難先
ペット連れでの“同行避難”と“同伴避難”は異なります。
同行避難とは、避難先が避難所かどうかにかかわらず、災害が起きた際にペットと一緒に安全な場所まで避難すること。
同伴避難とは、避難所でペットと飼い主さんが一緒に過ごす避難方法を指します。
「大きな犬の場合、同行避難や同伴避難が可能な避難所であっても、スペースが広めに必要、吠え声が大きい、ほかの小型犬や猫などが怖がるのではないかと心配、ほかの犬が苦手といった理由で、飼い主さんが避難所への避難をちゅうちょするケースが多いようですね。
避難先は、避難所にこだわる必要はありません。大きな犬と同行避難ができる場所を、事前にいくつかピックアップしておくのも災害への備えとして重要です」(村井さん)
水害でハイリスクな地域に暮らしている場合、リスクの少ない親類や友人宅を避難先としておくのも良いでしょう。
「実際に、台風の進路に当たる自宅から、進路にならないリゾート地の犬連れ可能なホテルに安全なうちに、大きな犬と同行避難をした飼い主さんを知っています」(村井さん)
本媒体でも以前に紹介したマロンママ(【#大きな犬と】水害や震災など災害への備えを万全に!~大型犬との避難経験者から学ぶ~)も、水害発生の恐れを知ってバーニーズ・マウンテン・ドッグと避難していました。
みなさんも、自治体のホームページに掲載されているハザードマップや国土交通省が提供している「重ねるハザードマップ」なども参考に、まずは、自宅の災害リスクを調べるとともに、大きな犬にマッチした避難先を複数選定してみましょう。
避難時に安心できるよう、ノミ・マダニとフィラリアの予防と、狂犬病ワクチンだけでなくパルボウイルス感染症などのコアワクチンの定期接種も日ごろから行っておきたいものです。
大きな犬との避難時“持ち出し品”で大切なこと!
ペット防災において欠かせない備蓄品や持ち出し品のうち、以下がポイントになると村井さんは教えてくれました。
「まず、避難所や避難先では、クレート(ケージ)に大きな犬が入らなければならないシーンも出てくるでしょう。そのとき、クレート慣れしていないと大きな犬自身もストレスになってしまいます。また、いざというときに組み立て式クレートをなかなか組み立てられずに苦労する飼い主さんも少なくありません。
日ごろから、人が組み立て式クレートを組み立てる練習をしたり、大きな犬にクレートの中でごはんをあげたりと、家族みんなでクレート慣れをしておくのが大切です。
もし、保護犬出身などでクレートに悪いイメージがついていてどうしても慣れないのであれば、避難先で係留することを想定して、大きな犬が嚙みちぎれないチェーンやワイヤー素材のリードなども持ち出し品として準備しておいてください。
首輪やハーネスには、迷子札だけでなく犬鑑札と狂犬病予防注射済票を付けておくのも忘れずに」
大きな犬は、小さな犬と違ってキャリーバッグに入れたり抱っこをしたりできません。
「大きな犬と外を歩いて避難をする際、がれきなどが散乱していて足をケガする危険性があれば、靴を履かせたほうがよいですね。これも、クレート同様、日ごろから慣れていないと犬にストレスになってしまいます。
足を守るための犬用シューズを持ち出し品として用意しつつ、たまには履かせて散歩して、靴を履いてもスムーズに歩けるように練習しておきましょう。
老犬の場合は、大型犬用カートや台車が必要になるかもしれません。こちらも、大きな犬を載せて運ぶ練習をしておくのをおすすめします」
リュックに詰めた持ち出し品を背負い、大きな犬と飼い主さんが避難訓練を実際に行ってみるのもよいでしょう。
■ 持ち出し品リスト
・フード(数日分)
・薬(最低1週間分、可能ならば自宅にあるだけすべて)
・水(軟水のペットボトルを最低3本分)
・丈夫な首輪とリード(犬鑑札と狂犬病予防注射済票を装着)
・防災手帳(予防接種歴や持病なども記載 ※詳細は最終項目で)
・においが漏れないうんち袋(20枚程度)
・ペットシーツ(ワイド20枚程度)
・軽量の組み立て式ケージ
・洋服(※抜け毛飛散防止、ケガ防止等のため)
・犬用シューズ
・(必要に応じて)マナーベルト、犬用おむつ(最低1週間分)
■ペット防災での“備蓄品”で重要なポイント
とくに震災など、発災時に避難せず自宅にとどまる可能性も低くありません。
その場合の備蓄品について、村井さんは重要なポイントを指摘します。
「近年、手作り食やローフードを大きな犬に与える飼い主さんも増えています。けれども、発災時に停電が起きて冷蔵庫が使用できなくなる、支給されるフードがドライフードのみであるといったケースもじゅうぶん考えられます。同行避難する場合でも、手作り食の材料は持ち運びが容易ではありません。
災害時に苦労しないよう、大きな犬がドライフードを食べられるようにしましょう。
人とシェアできるお米や魚の水煮缶なども事前に大きな犬に食べさせて、アレルギーの有無も確認しておければ安心材料が増えます」
なお、大規模災害が発生した場合、都心部ではライフラインの復旧や、ドッグフードも含めて食料品が支給されるまでに1ヵ月以上がかかる可能性もあります。
「とくにドッグフードは希望する品が届くかどうかわかりません。日常的に使用しながらストックが切れないようにする、“ローリングストック”をしながら、最低でも1ヵ月分は備蓄しておいてください。発災時にさらに入手が困難になる療法食や処方食は、1ヵ月半~2ヵ月分は用意しておきたいものです」
大きな犬に必要な薬も、1ヵ月以上分はストックしましょう。
「ペット防災の備蓄のために多めに欲しいと獣医さんに告げたら、快く応じてくれるはず」
備蓄品も持ち出し品も、食料や薬など命にかかわるものが最優先です。
■ 備蓄品リスト
・フード(1ヵ月分~)
・薬(1ヵ月分~)
・水(軟水2リットル入りペットボトルを最低12本分)
・ペットシーツ(※人間用にも便利なのでワイド400枚~程度)
・簡易テント(※役立つケースもある。必要に応じて)
■防災手帳に記して役立てて
持ち出し品リストにも載せた“ペット防災手帳”も、ぜひ準備しておきたいアイテムのひとつ。
「防災手帳に記して欲しいこととして、豪雨による水害や土砂災害が予想される場合の家族や大きな犬の行動があります。家族のだれが、大きな犬を連れてどこに避難するかを、あらかじめ家族で話し合って決めておきましょう。
なお、動物支援ナースではこれを“マイ・タイムライン(自らの防災行動計画)”が重要と考え、オリジナルの防災行動計画が作れる“マイ・タイムライン防災手帳”の書き方をホームページで紹介しているので、ぜひ参考になさってくださいね。
筋道を立てて防災について家族のみなさんで考えておけば、いざというときにとても役立つはずです」(村井さん)
大きな犬のための防災手帳には、飼い主さんの住所や連絡先や持病などのプロフィールをはじめ、自分が被災した際に連絡して大きな犬のことを依頼できる親戚や知人やペット関連施設の連絡先、ペットの名前やマイクロチップNo.、ワクチン接種歴、予防薬の記録、持病名と薬の名称と給与量、フードの種類と給与量、性格や特徴を記しておきましょう。
「お住まいの地域の地形や気候、家族構成、一緒に暮らしているペットの種類や頭数によっても、災害に対してどう備えるかは違ってきます。
自分と大きな犬に合う最新の防災情報を取り入れられるよう、私も常にアンテナを張っています」(村井さん)
環境省の防災対策ガイドラインなどを参考にしたり、自治体のペット防災について定期的に情報を得るようにしたりしながら、防災意識を高め、うちの子との防災対策を常に万全にしておきましょう。
ライター:臼井京音
【参考】
*1 動物支援ナース© https://vnat.bitter.jp/
■ 村井知美さん
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