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2023.07.12
ドイツの街角から ~ポチンスキーの旅立ち~
*1 pochinski: スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。
わが家の「ポチ」ことポチンスキーが6月中旬、天国へと旅立っていきました。
彼が私たち夫婦のもとにやってきて15年、あと4カ月で16歳になるところでした。
いつかは別れの日が訪れることは分かっていたものの、それが現実のものとなった今、寂しさや悲しみが日々募っています。
ポチンスキーは老犬ではあったものの、今年の4月まではとても元気で「17,18歳くらいまで長生きするかも」と本気で信じていました。
ところが、5月に入ったころから、1日に何度もせき込むように。
動物病院での検査の結果、肺に溜まった水を抜く薬と、心臓の弁の働きを調整する薬を処方してもらいました。
薬を飲み始めると、せきの症状は治まり、心臓の弁の働きも改善された一方で、下痢(心臓の薬の使用説明書に言及されていた副作用の1つ)が続いたり、10年以上食べ続けてきたごはんを食べようとしなくなったり。
別のフードを与えると、1度目は食べても2度目からは食べようとせず、手を変え品を変えてなんとか食事をさせようとしても結果は同じで、次第に水以外はほとんど何も受け付けなくなりました。
ほとんど何も食べてくれないのですから体力は衰えるばかりで、やがて昏睡状態に。
ポチを助けるためにもっとできることがあるのではないかと思ったり、楽にしてあげたほうがいいのかもと思ったり、迷いに迷った末、動物病院で永眠させるというとても辛い決断をしました。
ドイツでは、最期の時期を迎えた犬を苦しみから解放するために安楽死させる、という考え方はかなり受け入れられています。
実際、私や夫が「ポチがこんなに具合が悪くて」という話を知人にすると、「安楽死をさせないのか」という言葉がたびたび返ってきました。
当初、安楽死という選択肢はありえないと強く考えていましたが、衰弱しきったポチを前に夫婦で話し合い、獣医師とも相談をして最終的にこの道を選びました。
果たしてそれで良かったのか、正直、わかりません。
ただ、眠っている間に静かに最期を迎えたのは確かで、安らかに旅立っていったことは救いだと思っています。
ポチ、15年間の幸せや喜びを本当にありがとう。