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2024.12.11
日本ともNZともちょっと違う、台湾の犬事情とは?~番外編・南半球のDog's letter~
世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?!共通してるかも?!と思える目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けしてるシリーズを、今回は番外として台湾編です。
日本人にもなじみ深いご近所、台湾。訪れたことがある方は、多いかもしれませんね。日本人に感覚的に近いと言われている台湾の人々は、どんなドッグライフを送っているのでしょうか?
近いけれど、まだまだ知られていない台湾で暮らす犬たちのリアルをどうぞご覧ください。
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この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
「毛の生えた子ども」と呼ばれて愛される台湾の犬たち
11月上旬に台湾を旅しました。滞在したのは首都・台北。
日本と似た風情ある街並みやおいしいグルメが楽しめる人口約260万人の大都市です。
日本やニュージーランド同様、犬好きの人が多い台湾。
2023年の統計によると犬の飼育数は約148万頭。台湾の人口は約2343万人なので、国民のおよそ16人に1人が犬と暮らしている計算になります。
ちなみに2021年の調査では犬猫を合わせた飼育数が295.83万頭と、15歳以下の人口283.52万人を超えたとか。
少子化が進む一方、ペットを子どものようにかわいがる人が増え、犬猫を総称する「毛小孩(毛の生えた子ども)」という言葉も生まれたそうです。
もっとも、ニュージーランドを含む英語圏でもペットのことを「Fur baby(毛皮のある子ども)」と称するので、こちらは動物好きの世界共通認識なのかもしれません。
柴犬人気が急上昇
台北は人口密度が高く、住まいの大半は集合住宅です。
犬好き大国といわれるニュージーランドでも、オークランドの賃貸マンションやアパートはペット不可の場合がほとんど。
では台北はどうかというと、基本的にどこもペット可なのだそう。
筆者は引っ越しの際、条件のいい家をペット不可だったために諦めた経験があるので羨ましく感じました。
そうした理由からか、台北の街ではよく犬の姿を見かけます。
主流はマルチーズ、トイプードル、ポメラニアン、ミニチュア・シュナウザーといった小型犬。
公園を訪れると、この数年人気が急上昇しているという柴犬を連れて歩いている人がたくさんいました。
「朝、公園に行くと、犬の散歩をしている人たちの半分くらいが柴犬を連れているよ」
そう話すのは、台北に4年ほど住んでいるニュージーランドの友人。
彼女によると台湾の柴犬人気には中国語で「柴(チャイ)」の発音が「財(ツァイ)」に似ていて縁起がよいからという説があるそうです。
しかし、ニュージーランドや昨年訪れた北欧でも柴犬を飼う人が増えているので、柴犬の魅力に世界の人々が気付いた結果なのではと思いました。
繁華街や夜市はカートでお散歩
筆者の友人が台北に移住してまず驚いたのが「犬をカートに乗せている人が多い」ことだそう。
日本では珍しくありませんが、確かにニュージーランドではまず見かけない光景です。
特に繁華街や人でごった返す夜市でカートに乗った犬たちによく出合いました。
どの犬も静かにくつろいでいて、周りに人が多くて騒がしくても興奮して吠えたりはしません。
カートに乗った犬以外も、台湾で会った犬は総じておとなしく、落ち着いている印象でした。
飼い主さんに許可をもらって撫でると目を細めて嬉しそうにはするものの、ニュージーランドの犬たちのように「もっともっと撫でて!」とグイグイ来ることはありません。この差は何なのか……アジアの奥ゆかしい(?)国民性が犬たちにも伝わっているのでしょうか。
地方では中型の台湾犬と放し飼いが多い
台北を離れて郊外へ足を延ばすと犬事情は一変。
小型犬よりも黒っぽい中型犬に会う機会が多くなりました。
純血ではないのかもしれませんが、台湾原産である台湾犬の血が入っているように見えます。
首輪をつけている犬もいますが、みんな放し飼いでその辺をウロウロしたり、寝転がったりしています。
野良犬も混じっているようですが、一見区別がつきません。
十分、九份、宜蘭などの観光地ではずらりと並ぶ商店や飲食店で飼われている犬のようで、それらの店に自由に出入りしています。
どの子がどの店の犬なのかわからないほどですが、犬も人間もかなりおおらか。
細かいことは気にせず、互いにいい距離感で気ままに生きている感じがしました。
台湾では犬猫の殺処分が禁止されていることもあり、飼い犬も野良犬も広い意味で地域犬という感覚なのかもしれません。
人も雰囲気も優しく、ホッと安心できる台湾で、犬たちがこれからものびのびと暮らせるように願います。