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2022.09.14
犬の目やにが気になる時の取り方と原因、食事の工夫。[#獣医師監修]
先日、ポチのコンサルティングサービスに「最近、犬の目やにが多くなってきていて…」と心配そうなお電話をいただきました。
いつも飼い主を追っている、可愛い犬の目。犬への指示の出し方として「アイコンタクト」というものもあり、とにかく犬の目を見る機会はとても多いです。
でも、だからこそすぐにみつけて気になってしまうのが、犬の目やに。
こまめに拭いているけれど、なんだか最近多くなっている気がする……そんな方のために、目やにができる原因や上手な取り方、食事の工夫などをまとめてご紹介します。
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この記事の監修 菱沼 篤子
獣医師。犬の栄養指導や犬の健康に関する専門知識を持つコンサル担当スタッフとして、さまざまな飼い主のお悩みを聞いている。
犬の目やにが増える原因
そもそも、目やにはどんなものなのかご存知でしょうか?
■目やにとは?成分や構成要素
「目やに」は、結膜や角膜上皮から分泌されているムチンを主成分とする粘液に、涙、血管から漏れた血液細胞、まぶたからの老廃物、ほこりなどが混じったものが乾燥した塊です。
目自体は非常にデリケートな器官で、乾燥に弱く僅かな刺激も大きなダメージになってしまいます。そのため、常に目の表面は涙で覆われているのですが、この涙は目の保護だけではなく汚れやほこり、ウイルスなどの異物を洗い流す働きも持っています。
健康的な状態であれば、まばたきによって涙は目頭の排泄用の穴に流されるのですが、さまざまな原因で上手く涙が排出できないとき、目から涙があふれて老廃物が乾燥して、目やにを作ってしまうことがあります。
人間でも犬でも寝起きのタイミングで目やにができていることもありますが、これは睡眠中はまばたきが行われないため、老廃物などが涙で流されずにムチンで固まり、目やにを作ることがあるためです。
眼のふちにできる目やにのほかにも、黒目の表面に白く張り付いてしまっているケースもありますが、同じものです。
■目やにと関係するトラブルとは
犬の目やにが多くなると、多くの方は犬の食物アレルギーを心配されますが、実際のところはそれ以外にも目やにが出やすくなる病気があります。
【犬の目やにと関係があるトラブル】
・鼻涙管が詰まっている
・結膜炎
・ドライアイ
・角膜炎
・アレルギー
小型犬、短頭種の目が大きなタイプの犬は瞼が十分に閉まらずに目が乾燥しやすく、目やにが出るということは比較的よく見られます。判断が難しい場合は、獣医師さんにチェックしてもらいましょう。
結膜炎や角膜炎は、動物病院で抗生物質などの適切な投薬治療が必要になることもあります。犬の目やにの量が多くなったり、ニオイが出るようになったなど、これまでとは違う様子が見られたら相談をするようにしてください。
犬の涙、目やにとアレルギーについて
犬の目やにと涙の多さが気になる時、「食物アレルギーでは…」と考える飼い主さんは多くいらっしゃいます。
とくに涙が多く、目の周りの毛が常に濡れているために、雑菌が繁殖して涙焼けを起こしてしまっている状態を見て「食べ物が原因かも…」と考える飼い主も少なくありません。
でも、実際はアレルギーが原因になっていたとしても、食物がアレルゲンになる「食物アレルギー」ではなく、ハウスダストや花粉、空気中に舞う特定の成分が原因だった…というケースも多いです。
私たち人間でも、春先に涙が止まらなくなってしまう、アレルギーの症状に見舞われる方は多いですよね。いわゆる花粉症もアレルギー症状のひとつです。同じような状態だと思うと、イメージがしやすいのではないでしょうか。
このタイプのアレルギーの場合、まずは犬の生活エリアのハウスダストや花粉などをなるべく減らしたり、空気清浄機を設置することで改善されることもあります。
花粉症のようなものに対して、フードを変更して劇的に改善される…というケースはあまり多くはないと思います。
獣医師が教える、犬の頑固な目やにの取り方
準備:タオル、ラップ、脱脂綿、メイク用コットン等使い捨てできるものを用意する。
1.蒸しタオルを作る。水で濡らしたタオルをラップで包み、電子レンジで約30秒加熱する。人肌くらいの温かさになったらOK。
2.蒸しタオルを犬の目の周りに当てる。強い力は入れず、優しく数秒温める。
3.蒸しタオルを外し、脱脂綿などの柔らかいもので目元を拭き取る。頑固な目やには、濡らした脱脂綿などでふやかすと取り除きやすくなります。
4.涙や目やにが続いていると、目の周りで雑菌が繁殖して「涙やけ」を起こしやすくなります。毛の流れに沿って水分を拭き取るようにしましょう。
5.涙焼け対策のアイローションがある場合は、拭き取り後に使う。
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おわりに
今回は、犬の目やにについてご紹介いたしました。
目やにには汚れだけではなく、古くなった細胞や血液細胞なども含まれてできています。涙の量が増えたことで目やにができやすくもなりますが、それ以外にも原因が考えられますので、気になった時には動物病院でしっかりと診察をしてもらえると安心ですね。
日々のお手入れには使いやすいアイローションを、時間がある時は「目やにの取り方」をぜひ参考にしてみてください。目やにが出ることが続くようであれば、動物病院で目薬をもらうなどしてケアを受けることをオススメします。