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2023.02.20
非常事態にはどう備える?NZにおける犬の防災事情~南半球のDog's letter~
世界の様々な地域に順応して、暮らしている犬たち。ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?共通してる?目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。
今回は、多くの人が犬と暮らしている国、ニュージーランドの「防災」についてご紹介いたします。
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この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
自然災害の多いニュージーランド
距離的には遠くても、意外に共通点のある日本とニュージーランド。
自然災害が比較的多いことも似ています。
とりわけ近年は温暖化の影響から気象災害が目立ち、例えば今年1月には私の住むオークランド近辺で、異常な大雨による洪水が発生。
4人が流されて亡くなるという大惨事となりました。
これから4月まではサイクロンのシーズンということもあり、政府は災害への備えを呼び掛けています。
そこで、犬と暮らす人々が多いこの国で対策がどのように行われているのか調べてみました。
災害時は同行避難が大前提
まず大前提となっているのは、犬や猫の安全を確保するのは飼い主の責任だということ。
オークランド市役所の災害対策本部やアニマルマネージメント部署(人間と動物の暮らしの安全を守るためのルール、管理を司る専門の部署です)、また、動物保護機関SPCAでは、災害時には基本的に同行避難をするよう推奨。
避難時には人間もペットも3日分の飲料水と食料を用意し、ワクチン接種記録やマイクロチップの詳細を記録した「犬・猫の健康手帳」を防水ケースに入れて携帯するよう指導しています。
犬・猫の健康手帳には、ワクチン接種だけではなく、病歴・けが歴などがすべて記載されています。
獣医さんに連れていく際に持参して記入してもらう手帳で、ニュージーランドで犬猫と暮らしている人なら皆持っているものです。
写真はうちの子を保護施設から引き取ってくる際に渡されたもので、犬猫でデザインやフォーマットも同じものを使っています。
万が一はぐれてしまった場合に備え、犬の首輪に飼い主の連絡先を記しておくのも必須です。
ニュージーランドではマイクロチップが義務化されていることもあり、犬を見失っても見つかるケースがほとんどだとか。
実際、2012年に起きた竜巻災害の際は、行方不明になって保護された100頭余りの犬が、すべて飼い主のもとに戻ったそうです。日本ではマイクロチップについて色々な意見があるそうですが、ニュージーランドでは過去の実績もあるためか、抵抗なく受け入れられている印象があります。
犬と一緒に過ごせる避難所も
日頃から犬を連れて身を寄せられる親戚や友人宅、あるいは犬と一緒に泊まれる宿泊施設などをリストアップしておくことも有効です。
もちろん、それが難しい場合や緊急時には政府が用意する避難所を利用できます。
ニュージーランドでも避難所として使われるのは、公民館や公営体育館など。
大きく分けてシェルターと防災センターの2種類があり、後者にはペットを連れていくことができます。その場合、犬はリードにつなぎ、可能であればマズルガードを着用するのが望ましいとか。
シェルターは基本的にペットの同伴不可ですが、専用の設備がそろったアニマルシェルターで預かることになっています。
災害後のケアも重要
ニュージーランドで家畜を含む動物全般を管轄する第一産業省は、災害時のペットのケアについて情報提供を行っています。
同省発行の防災ブックによると、ペットと一緒に避難先に落ち着いたら、まず体を触ってけがの有無を確認することが大切と書いてあります。
非常事態では犬もパニックになるため、思わぬけがをしていることが少なくありません。外傷ならわかりやすいですが、体の内部が損傷していることもあるので、注意深くチェックし、少しでも異変を感じたら獣医に相談するよう書かれていました。
ほかに、災害や避難生活によるストレスで異常行動をするようになった場合のアドバイス等もまとめてありました。
防災ブックでは、全体を通して実用的なことが書いてあるのが印象的でした。
また、先日の洪水の際は、水質が元に戻るまで犬を川や海で遊ばせないよう注意喚起していました。
普段触れることがない細菌や化学物質によって洪水後は河川が汚染されていたり、割れたガラスや金属が川底に流れ着いている可能性もあるので思わぬ病気や怪我を引き起こしかねないからです。
いつ起こるかわからない自然災害。
日本でもニュージーランドでも知識と備えが安全を左右するという点は共通です。
一方、日本国内では犬や猫と一緒に避難する場合も想定した防災ブックのようなものはあまり聞いたことがありません。(地域によってはあるのかもしれませんが…)
日本の各自治体でも同じようなものができれば、多くの方の役に立つような気がします。