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2024.03.14

Dog Snapshot R 令和の犬景Vol.36 2024年冬の「雪遊び景」

Dog Snapshot R 令和の犬景Vol.36 2024年冬の「雪遊び景」

写真・文 内村コースケ

犬は太古より人類と一緒に歩んできました。令和の世でも、私たちの暮らしにさまざまな形で犬たちが溶け込んでいます。このフォトエッセイでは、犬がいる情景を通じて犬と暮らす我々の「今」を緩やかに見つめていきます。

この冬の雪は2月に集中



あくまでも自分が住む長野県の山間部での体感だが、この10年ほどの傾向として、12月はほとんど積雪がなく、1月に少し積もって、2月・3月に何度かドカ雪が降るという巡り合わせが多いように感じる。雪の季節が、以前に比べて1、2か月後ろにずれているような気がするのだ。

この冬もそのパターンが踏襲された。シーズンの前半は各地のスキー場で雪不足に悩まされたようだが、1月後半から3月上旬にかけて、帳尻を合わすように何度かまとまった雪が降った。犬写真家としても、今年は雪の中を元気に駆け回る犬たちの姿をあまり撮れないかな、と心配していたのだが、2月に入ってから一気にその機会に恵まれた。

そんなわけで、今回は2024年冬の「犬の雪遊び景」の総括。「犬ぞり」「スノーシュー」「雪中ボール遊び」「雪のドッグラン」の写真を一挙に公開しましょう。

いきいきとした表情が魅力の「犬ぞりレース」





まずは、2月3日に長野県の霧ヶ峰高原で行われた犬ぞりレースの様子から。やはり雪が少なめだったものの、好天に恵まれた。昨年<Vol.24「犬ぞり」に見る犬と人の「最高の笑顔」>初めてこの大会を撮影させてもらったのだが、雪上を力いっぱい走る犬たちのいきいきとした表情は、見ているだけで楽しい。今後も毎年会い続けたい「雪遊び景」の一つだ。







大雪は「ボール遊び」のチャンス!





霧ヶ峰で犬ぞりレースを撮影した直後の2月5日には、この冬一番の大雪が降った。東京都心でも積雪があり、公共交通機関の運休や車の立ち往生による通行止めと大渋滞で、首都圏を中心に交通網が大混乱した。雪国の基準ではたかが知れている積雪でも、東京という大都会は必ず大混乱に陥る。毎年同じことが繰り返されているが、どうにかならないものだろうか。必ずパニックになるくらいなら、たとえ稀なことであっても、そのために備えるのはあながち無駄ではないと思うのだが。

この日はこちら軽井沢エリアでもかなりの積雪があり、東京の混乱を尻目に、愛犬の「ルカ」と近くの林道でボール遊びをした。この雪なら車は絶対に来ないし、冬眠中の熊さんもさすがに起きてこないだろう。ふかふかの新雪の上で、ボール遊びを存分に楽しんだ。
















「スノーシュー」で雪原を歩く自由時間



続く2月16日、福島県の裏磐梯で、毎年犬連れでスノーシューを楽しんでいるグループがあるというので、カメラを手に同行させてもらった。磐梯山の噴火によって多くの湖沼が点在するエリアだ。例年は凍結した湖の上を歩けるのだが、今年は氷が薄く、この仲間で集まるようになって初めて湖上歩きを断念したという。それでも、桧原湖を見下ろす山や周辺の散策路には十分に雪があり、人はスノーシューで、犬たちは肉球をいっぱいに広げて雪上を自由気ままに歩き回った。















一層楽しい「雪のドッグラン」





そして、いつものドッグランも、雪があると一層楽しい。ふかふかの雪にダイブしたり、思い切りかけっこをしたり。「犬は喜び庭かけまわり、猫はこたつで丸くなる」を地でゆく光景は、雪国の飼い主の、冬の最大の楽しみだ。









■ 内村コースケ(写真家)

1970年ビルマ(現ミャンマー)生まれ。少年時代をカナダとイギリスで過ごした。早稲田大学第一文学部卒。中日新聞の地方支局と社会部で記者を経験後、カメラマン職に転じ、同東京本社(東京新聞)写真部でアフガン紛争などの撮影に従事した。2005年よりフリーとなり、「撮れて書ける」フォトジャーナリストとして、ペット・動物愛護問題、地方移住、海外ニュース、帰国子女教育などをテーマに撮影・執筆活動をしている。特にアイメイト(盲導犬)関係の撮影・取材に力を入れている。ライフワークはモノクロのストリート・スナップ。日本写真家協会(JPS)正会員。