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2025.01.23
始めよう!犬の腸活(1)-基礎知識編-《RETRIEVER + POCHI archive003》
写真:岡崎健志 文:RETRIEVER編集部
モデル:成川タンゴ
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
カラダと心のあらゆる問題は腸に通じる! 腸の健康を保つ大切な理由
人間の世界でもたびたび話題に上がる「腸活」。
長寿や健康志向の高まりから注目が集まり、日々、新しい研究結果が報告されています。「腸のケアが必要なのは、犬も人間も同じと考えていいと思います」と、アニコムグループの安宅先生は話します。
「腸内の健康は下痢などの消化器疾患に影響するのはもちろんですが、腸内細菌が腸管免疫において大きな役割を担うことが広く知られてきています。また、最近では糖尿病などの代謝疾患、循環器疾患、腸からはイメージしにくい自閉症などの精神疾患、インフルエンザウイルスなどの免疫に対しても影響していることがわかってきています」 また、健康な腸ががんの予防を助けるのと同時に、がんになってしまったとしても、腸内細菌のバランスを正してあげることができれば、病気の進行を抑えることもできると考えられています。さらに、アレルギーについても腸内細菌との関係性が明らかに。腸内細菌のバランスが崩れるとアレルギー体質になるという研究が進んでいるのです。
〈腸の健康がもたらす3H〉
1 Health Body 健康で美しいカラダ
2 Health Spirit 健やかな精神
3 Health Longevity 健康寿命
腸は他の臓器とのハブ腸の働きと腸内フローラ
犬の消化器系の臓器は、食物の消化器官の移動経路にあるものと、消化にかかわる附属の器官(唾液腺、肝臓、胆のう、すい臓)によって構成されています。
小腸と大腸から成る「腸」は前者に当たり、特に小腸は、犬の消化での栄養の吸収において要の働きをしています。
そんな腸の健康を大きく左右するのが、腸内細菌。腸内細菌は宿主である犬と共生関係にあり、食物から得る栄養素を餌に醗酵することで増殖・活性化します。また、その過程でさまざまな代謝物を生成することで、腸の機能に大きな影響を与えています。
腸内細菌はカラダにいい影響を与える「善玉菌」と「悪玉菌」に分類されることがありますが、その割合や各菌の種類は犬と人間では異なると考えられています。
腸が第二の脳と言われる所以とは?腸管神経と腸脳神経相関
腸管の組織は多層構造になっていて、腸壁の粘膜の下に「粘膜下神経叢」があり、主にホルモン分泌などを支配。
さらにその外側の層には「筋層間神経叢」があり、腸のぜん動運動をコントロールしています。これらの腸管神経は、迷走神経を通じて脳とつながっています。
迷走神経は主に腸の動きを活発にする副交感神経の機能を持ち、逆に腸の動きを抑える交換神経は脊髄の中枢神経とつながっています。
近年、注目されているのが、脳からの一方的な指令だけでなく、腸と脳が互いに情報のやりとりをしている「腸脳相関」という考え方。
腸からも脳へメッセージを発信することで、腸内の不調は脳へと伝わり、そこからカラダの不調へと影響が広がっていくとされているのです。
腸はあらゆる臓器とかかわり、よくも悪くも影響を与えています。愛犬の健康なカラダと健やかな精神のためには、腸が健康であることが欠かせないのです。
出典:『RETRIEVER』Vol.102/「健康なカラダと健やかな精神はすべて「腸」からはじまります!」
*1 監修: 安宅 快 あたかかい。獣医師。アニコム パフェ株式会社代表取締役社長。東京大学農学部獣医学専修卒業後、ヒト用の臨床検査試薬・機器メーカーを経て、2020年よりアニコムグループに入社。同グループの提供する腸内フローラ測定サービスの責任者を務める。