- コラム
2025.01.16
犬と信頼を築く方法《RETRIEVER + POCHI archive002》
イラスト=ヤマサキミノリ
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドールを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にし、何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。
そんな犬種を愛する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
愛情ホルモンにあふれる、好循環な相互関係を
ほとんどの飼い主は、自分の犬がどこのコよりもかわいいと感じ、そして、ともに暮らす上で、その感情=愛情が犬との関係づくりの基本となっているのは間違いないと思います。
「それは、オキシトシンという脳内ホルモンが作用するから。飼い主が犬の欲求を満たしてあげると、犬の体内ではオキシトシンが上昇し、飼い主に注目し、期待感を高める行動を取ります。
すると、今度は人間の体内でオキシトシンが上昇。結果、気持ちがよくなって、さらに犬を大事に扱い、愛情を表現する行動を取るという好循環が生まれるわけです。それは、人間の親子関係に似ていますね」と鹿野正顕先生。
トレーニングや触れ合いでは、犬にとってより安心感のある方法を取れば、信頼関係が揺らぐことはない。
犬とより確かな信頼関係を築き、さらに絆を深め、継続するためには、いくつか大事なポイントがあるので、それを紹介します。
犬の生きていく欲求を満たす
★十分な食べ物を与える
食欲旺盛なレトリーバーをはじめ、犬の食欲を満たしてあげるのは重要なポイント。
ただし、食べ物の与え方に工夫を。一日2回だった食事を、総量を変えずに分割して与える回数を増やす。分割することで、たくさん食べた気になる。
また、コングなどにフードを詰めて、遊びながら食べることも有効です。
★ともに触れ合う
犬側がいつでもOK ではないのを前提に、犬との触れ合いを頻繁に行うこともポイント。
タイミングや犬の特性を考慮しながら、好みの場所をなでてあげたり、背中をマッサージしてあげたり。
くつろいでいる時に見つめ合うだけでもいいでしょう。それによりお互いにオキシトシンが上昇する。
★遊びの時間を持つ
毎晩の散歩程度では、実は必要な運動量が足りていないのが多くの犬の生活。
運動不足になりがちだとストレスをためてしまうことにつながります。
そこで、散歩以外に、日々、体を動かす遊びを行うことで運動不足を解消し、ストレスを発散させてあげましょう。
コミュニケーション上手になる
★シニアになってもいろいろな刺激を与える
シニアになってもいろいろな経験をさせたい。そうすることで脳が活性化し、若さを保てます。
特に遊び好きな犬は、無理のない程度にさまざまな環境へ連れ出して、好奇心を刺激しましょう。それによって筋力や体力の維持にもつながっていくのです。
★ほめるトレーニングを改めて行う
最近は犬もほめてトレーニングするのが当たり前。
ほめ言葉を使いながら、覚えてほしい行動と結びつけることを改めて行うと、あいまいになっていた行動の強化になります。
大声を出したり、たたいたりするのは信頼関係を損ねるので避けましょう。フードや場所など自分のものを奪われると、犬は本能的に“身の危険”を感じます。 同じようにたたかれる、どなられるなども恐れにつながり、敵対行動を促すことに…。
犬の尊厳を守るためにも犬が嫌がる行為をしないこと。トレーニングに暴力はいらないのです。
出典:『RETRIEVER』Vol.108/「改めて押さえておきたい飼い主と愛犬の信頼関係の基本」
*1 監修者 鹿野正顕 かのまさあき。『スタディ・ドッグ・スクール』代表。学術博士。麻布大学で学んだ 後、「人と人間の関係学」の分野で日本初 の博士号を取得。その後、ドッグトレーナ ―養成の会社を設立。自らドッグトレーナーとして指導の傍ら、著作、メディア出演、 講演会など、多方面で活躍中。近著『犬にウケる飼い方』が愛犬家にウケている。