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2025.01.27
始めよう!犬の腸活(2)-実践編-《RETRIEVER + POCHI archive004》
写真:岡崎健志 文:RETRIEVER編集部
モデル:成川タンゴ
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
目的を明確にしてから始めよう!腸活の五つの基本
1まずは目的を明確にすることから
腸活でまず行いやすいのが、腸にダイレクトに影響する食事での取り組みです。
食事は腸内細菌のパートナーであり、とるものによって腸内細菌による発酵・分解で生じる成分も大きく変わります。
そのために目標をきちんと定めておく必要があります。
免疫をサポートする、毛艶の健康を保つといったように、フードやサプメントでも飼い主がどこをケアしたいかによって製品の選び方も変わってくるからです。
また目標が決まっていれば、試した時に何を観察すればいいのかが明確なので、効果判定もしやすくなります。
2今、始めることがとっても大事
マウスで寿命と腸内細菌叢の関連を解析した論文があります。
それによると、マウスが長生きするかどうかは、人でいうと40代ごろの細菌叢が寿命に関連していたと報告されています。
つまり、年をとってからの腸内細菌叢だけではなく、青年期の腸内細菌叢も寿命と関連しているということになるため、先延ばしにすることなく若いころから始めておくのがおすすめです。
遅くともシニアにさしかかる7歳ごろから、犬のようすや変化により注意を向け、取り組んでいけるといいでしょう。
3定期的に腸内フローラバランスを調べる
腸内細菌叢の数やバランスは個体差が大きいため、腸活をしていても正解は犬それぞれで違います。
犬の腸内細菌バランスを計測すると、体調の変化と同時に腸内細菌がどう変化したかを見られるようになります。
このコはこういう状態がバランスがいいのだな、といった正常値を導き出すことができるようになると同時に、細菌叢の変化を知ることで病の予防や早期発見につながることもあります。
アニコムグループから腸内フローラ測定キットが市販されているので、キットを用いて手軽に犬の腸内フローラを検査することができます。
4腸内細菌叢の “多様性”と “バランス”が大事
よい腸内細菌叢とは、腸内細菌に「多様性」があり「バランス」がとれていること。
多様性とは菌の種類の多さをいいますが、数が多ければ、それだけ腸内細菌同士が複雑に相互作用し合います。
種類が少ない状態だと一つの腸内細菌が腸内細菌叢全体に及ばす影響が強くなるため、何かの菌が欠けてしまうだけでガラリとバランスが崩れてしまうようなことが起こります。
腸内細菌の多様性が高いことはすべての犬にとっての理想で、その上で、個々のバランスが一定に保たれているのがよい腸の状態といえるでしょう。
5最低2カ月は継続し犬をよく観察する
目的を明確にし、取り組む腸活の内容を選択・決定したら、次いで大切なことが「続ける」ことです。
その間は、ウンチの状態や毛艶など、犬をしっかり観察することが大切です。
下痢などの症状があって取り組む場合は変化が見てわかりやすいですが、そうでない場合は急激な変化は望めません。
しかし、あまり変化がないなと思っても、不調がなければ最低2カ月は同じ内容で続けてみましょう。
2カ月くらい続けてやっと、腸内細菌叢が変化を受け入れ活性化する可能性があるからです。
腸の健康に直接影響する 日々の食事
腸の健康を考えた場合、悪玉菌の増殖を抑え善玉菌を活性化させる「発酵食品」、善玉菌の餌となり腸内細菌叢のバランスを整える「食物繊維」、乳酸菌の餌となって善玉菌を増やす「オリゴ糖」の三つがポイントになります。
この三つをバランスよく組み合わせてとるようにすると、腸内フローラの改善に期待ができます。
腸内細菌の多様性と数、バランスには遺伝よりも食事の内容など後天的な影響が強いと考えられています。
また後天的な影響の中でも、生後すぐから離乳食を与えるころまでの影響が最も大きいといわれています。
腸にいい食べ物
1発酵食品
腸内細菌の仲間である微生物が含まれている発酵食品は、善玉菌を活性化します。中でも納豆やヨーグルトは微生物が生きて存在する食品です。
2食物繊維
食物繊維の中でも水に溶けやすく発酵を受けやすい水溶性食物繊維は腸内細菌の餌となり、細菌を活性化させ細菌叢のバランスを整えます。ゴボウや藻類などに多く含まれています。
3オリゴ糖
乳酸菌の餌となって善玉菌を増やし、悪玉菌の活動を抑えるため、効率よく善玉菌だけを増やせるのも特徴。リンゴやバナナなどに多く含まれています。
4EPA/DHA
腸の中の炎症を抑え、善玉菌が増えやすい環境に整えます。また潤滑油として便の通りをよくする効果も期待できます。青魚やアマニ油などに多く含まれています。
出典:『RETRIEVER』Vol.102/「健康なカラダと健やかな精神はすべて「腸」からはじまります!」
*1 監修: 安宅 快 あたかかい。獣医師。アニコム パフェ株式会社代表取締役社長。東京大学農学部獣医学専修卒業後、ヒト用の臨床検査試薬・機器メーカーを経て、2020年よりアニコムグループに入社。同グループの提供する腸内フローラ測定サービスの責任者を務める。