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2025.03.31
老犬デイケア施設で留守番や介護の負担が軽減!

実はあまり目立たないけれど、犬との生活を陰で支えている繊細なプロ仕事の存在や、犬たちの個性や特性はときに困った行動と捉えられてしまうこともありますが、個性を受け入れて前向きにうちの子と向き合う時間につなげる楽しい""チャレンジ""に変えている人、また、病気を受け入れ、病気と共に明るく生きるために工夫している人、里親以外でも飼い主がいない犬のためにできることを地道に実行している人など、#プロフェッショナル #チャレンジ #明るく生きる #犬の病気の専門家 をキーワードにインタビューした内容をご紹介しています。
今回は、老犬のデイケアサービスを行っている施設をご紹介します。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報老犬デイケア施設
高齢犬のお留守番や介護問題を、プロが解決してくれる犬用デイケア施設を利用する飼い主さんが、増えているようです。そこで、東京都江戸川区の老舗のデイケア施設“レッツ”で、老犬がどのように過ごしているかなどを取材しました。
老犬のデイケアサービスとは
高齢犬をうちに留守番させるのが心配……。
人用デイケア施設でのように、日中はリハビリや筋トレや脳トレをしながら健康的に過ごさせたい。
老犬介護・介助をプロにまかせたい。
このような理由で、老犬のデイケアサービスを利用する飼い主さんが増えていると、“ペットケアサービスLet's(以下レッツ)”の三浦裕子代表は言います。
レッツの「通所ケアコース デイケアサービス」では、ペットケアマネージャー、老犬介護士(シニアドッグケアアドバイザー)が朝から夕方まで犬を預かり、リハビリや介護ケアなどを行います。
「通所する犬のうち6割は8歳以上のシニアドッグで、そのうち介護ケアが必要な子が毎日7頭前後は来ますね。
それぞれのワンちゃんに応じたケアプランを考え、その日の体調に合わせたケアをしています。ゲーム感覚でできる筋トレや脳トレなど、お楽しみも満載ですよ」(三浦さん)

12歳のサモエドと遊びながらの“脳トレ”をする三浦さん
老犬デイケアの充実のサービス内容
レッツに11時頃までに到着したシニアドッグたちはまず、ほかの犬やスタッフにあいさつ。それから、健康チェックをしてクレートなど個別のスペースで休憩をします。
疲れが取れたところで、1頭ずつ約30分間の筋トレと脳トレタイム。その後、愛玩動物看護師または非常勤獣医師による細やかな健康チェックを受け、必要な犬はランチを食べ、お昼寝タイムに入ります。
午後は、再度ケアを受けたり、トレーナーやほかの犬と遊んだり再びお昼寝したりして過ごし、14~19時に迎えに来る飼い主さんを待つか、送迎サービスを利用して帰宅します。

ハーブのホットパックにうっとりした表情
カスタムメイドの個別ケアで行っているのは、温感療法など。
「みんな目を細めてうっとり気持ち良さそうにするのが、体調に合わせたハーブをブレンドして作ったホットパック(ハーブコンプレス/ハーブ温湿布)を、患部や体全体にあてている時ですね。
血行促進のために、ハーブのお湯で足湯をしたりもします」(三浦さん)
そのほか、身体の可動域を広げるためのストレッチ、筋肉をほぐすためのマッサージなど、レッツで受けられるケアは多種多様。
滞在中はもちろん、オムツ替え、身体の部分洗浄、床ずれケアといった身体介護もしてもらえます。

ストレッチをすることで、柔軟性が保てて四肢の可動域も広がります
「通うのが楽しい!」と思える場
レッツで行う筋力トレーニングや頭脳トレーニングは、犬たちにとっては遊びだと感じられるように工夫されています。
「シニア犬になっても、楽しみが多い日々を過ごしてもらいたいですからね。ゲーム感覚でエクササイズをしてトレーナーにほめられると、みんな満足そうな表情を浮かべていますよ」と、三浦さんはエクササイズ中のミニチュア・ダックスフンドを見ながら目を細めます。
「そうそう、車椅子もサイズ別に複数そろえているので、プレイタイムに装着させる子もいます。加齢によって足腰が弱り横になっていがちなシニア犬も多いですが、車椅子をつけると関節痛などもなくラクに歩けるので、自信が戻るのではないでしょうか。寝たきりの世界は、犬本来の姿ではないですからね。起きた時の目線を得られるだけで、やる気も活力も湧いてくるんですよ。ごはんもラクに食べられるから、食欲が戻るケースも少なくありません」(三浦さん)
レッツでは、犬の生活の質(QOL)向上にも力を入れています。

筋力アップのために行うエクササイズ
デイケアやショートステイで飼い主の気持ちも変化
レッツに犬を通わせる飼い主さんからは、次のような声が聞かれるそうです。
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日中起きている時間が増えるので、夜鳴きが軽減して獣医師から処方された睡眠導入剤が不要になりました。
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寝たきりに近く夜鳴きもするの子の介護で、飼い主が寝不足で心身ともに疲弊していました。ショートステイ(2泊~1週間可能)で1週間預かってもらい、私たちがリフレッシュして迎えに行ったら、なんと車椅子で歩いたり走ったりしていてうちの子にも笑顔が戻っていたんです。自宅のどんより暗かった雰囲気も改善でき、ショートスティを利用して良かったです。
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椎間板ヘルニアを患い、その後レッツでリハビリをしてもらったり、毎日10分程度の自宅で負担なくできるエクササイズやケア方法を教えてもらって実践したら、しっかり立てなかったうちの子が走れるようになるまで回復して、うれしさでいっぱいです。

体幹トレーニングで良好な姿勢を保てるようにすることも大切
レッツの老犬介護サービスを利用することで、犬だけでなく飼い主さんも気持ちが軽くなったり明るくなったりすることがわかります。
老犬のデイケア施設が増えることを願って
三浦さんは、2002年から始めたペットシッターの仕事で出会った飼い主さんからのひと言がきっかけで、レッツの施設をオープンしました。
「『年老いた犬の世話をしてくれる、犬の幼稚園のような場所があったらいいのに』と、老犬介護に疲れていた飼い主さんがつぶやいたんです。その言葉どおり、パピーからハイシニアまでお世話できる施設を作ろう!と、2007年に東京都江戸川区で今のサービスをスタートしました」

運動習慣と脳トレで寝たきりを予防
老犬介護のプロフェッショナルを全国でさらに増やして、犬たちの健康寿命を延ばすサポートがしたいと、三浦さんは一般社団法人Japanペットケアマネージャー協会も設立しました。
「人間同様、ペットケアのサービスの担い手はまだまだ不足しているのが現状です。この分野において、愛情にあふれ技術力と現場力があるスペシャリストの輩出こそ私の使命でもあると考えています。
今、ペットケアスペシャリスト講座の卒業生が全国各地で活動の場を広げていますが、ケアのプロがサービス提供できる老犬デイケア施設がもっと増えることを願っています」
このように語る三浦さんはまた、犬たちの笑顔から元気をもらっているとも語っていました。
文・写真:臼井京音
■ 取材協力:三浦裕子さん